TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

音楽業界についての考察

クラブヒットを生んだDJとSNSインフルエンサーの相違点や類似点

「ロックにDJってあるの?」 と思われる方も多いかと思いますが、一応、あるんです。 そんなニッチな存在であるロックDJを長くやっていた私が書くので、多くの方が思うソレとはもしかしたらズレてしまう部分もあるかもしれませんが、クラブヒットやDJについ…

THE FIRST TAKEの勢いと覇権を握るまでの夢想

2019年11月にスタートした「ミュージシャンの歌唱・演奏の一発撮り」を収録・公開するYouTubeチャンネル。 ロゴでは「THE F1RST TAKE」と、”I”が"1"で表記されています。 企画コンセプトは「音楽とは、何か。一発撮りで、向き合う」。 公式サイトやチャンネ…

「所属会社の名前で働き過ぎない方が良い」という話

万人向けの考え方ではないと思っていますが、今日は「所属会社の名前で動き過ぎない方が良い」というお話をしたいと思います。 この考え方は20年以上の長い間、私が徹底している唯一(?)の強いマイルールでもあります。 何故そんなマイルールを課している…

「富裕層しかDJできなくなるのでは?」というちょっとした不安

日本国内のクラブやライブハウスでDJをしている人の多くは(おそらく9割以上?)、DJで生計を立てている訳では無いかと思います。 生計を立てるまでとは言わずとも、出演料(ギャラ)をもらう事ができているケースでさえ割合的にはかなり少ないはずです。 私…

バンドとDJによるイベント中の音出しトラブルに寄せて

バンドとDJが交互に進行する音楽イベントというものがあるのですが、どのくらいの方がご存知なものでしょうか? 私の良く知る限りだと、ジャンルとしてはロック系のイベントに多くある開催形式なのですが、しばしば論争やいざこざがこの両者の間で起こること…

目線を視聴者全てに提供できるという配信ライブの強み

ライブ配信の場合、演奏者のカメラ目線=目が合っているような錯覚を覚えますよね。 好きなアーティストであれば、目が合うと嬉しい場合が多いのです。 フレーム内の登場人物が少ないほど、私的な映像のように感じますし、バストアップくらいに寄りの絵だっ…

「音楽文化」と「音楽業界」を混ぜない議論にするために

コロナ禍でライブコンサートを中心に不安の募る音楽業界ではありますが、SNSやニュース記事等でのコメントや議論をみていると、「音楽文化」と「音楽業界」を混ぜてしまっていると感じる事も多かったので、その使い分けなどを整理してみたいと思います。

音楽業界において最も難い局面を迎えるコンサートプロモーター【コロナ禍】

Go Toイベントキャンペーンもスタートが迫り、うっすらとではありますが、再開の兆しも見えてきた音楽コンサート業界。 音楽業界はかつてのCDセールスを中心としたビジネスモデルから、ライブコンサートに軸足を移して久しく、コロナ禍によりコンサート業界…

音楽業界の飲みニケーションの頻度やその必要性について

音楽業界って飲み会多そう。。。 もしかしたらそんなイメージを持たれている方も少なくないかもしれません。 結論から言うと、確かに一部毎日のように後輩などを伴って飲み歩く人もいるにはいますが、音楽業界だからとその頻度が特に多いといった事は無いと…

6万人の視聴者数を集めたサカナクションのオンラインライブ『SAKANAQUARIUM 光』に見る収益化の可能性

8月15日、16日の2日に渡り開催された、サカナクションによるオンラインストリーミングライブ『SAKANAQUARIUM 光』は、チケット料金4500円(早割4000円)で視聴が可能となり、メディアやメンバーの口からも6万枚をセールスしたことが発表されています。 チケ…

エンタメ化へのマイナス感情と憧れ。アーティストの二極化への分岐点

様々な分野で思慮や推量されている中間層の衰退による二極化。 アパレル業界を見てみると、バレンシアガやルイ・ヴィトンをはじめとするハイブランドや、ユニクロのような低価格帯の小売店はなるほど好調のように見受けられます。 確かに、インターネットやS…

「レコードの売り上げがCDを上回る」というニュースの正しい読み方

先日、アナログレコードの売り上げがCDを上回ったというニュースがあり、それを受けてレコードファンを中心に湧き立っています。 しかしながら、このニュース見出しだけを見ると、レコード需要や売り上げが爆伸びしているようにも感じてしまいますし(レコー…

1年に一度も行かない人が過半数!?高い成長可能性を秘める音楽ライブ・コンサート業界

下降する音源販売ビジネスに代わり、音楽コンサート業界が成長ビジネスとして音楽業界を支えている大きな理由の一つとして、 「パイや潜在顧客を取り切っていない。」 という事を以前以下の記事で書きました。 これは体感や印象から書いた話ではなく調査結果…

時代は思うほど急に変わらないので、音楽業界もそうかもしれないというお話

加速度的な世の中・時代の変化を多くの知識人やビジネスパーソンが声高に唱えて久しいです。 今年42歳を迎える私ですが、これまでそういった方々の未来予測がその通りに進んだ事を記憶の限りではほとんど感じた事がありません。 ”変わりそうな機運”のような…

オトナとアーティストが揉める罠。作品と商品の折り合いの難しさ

音楽ファンならどこかしらで一度は目や耳にした事があるであろう、ミュージシャンによる業界関係者(大人)への否定的・批判的な意見。 そうした意見には様々な事柄を挙げたケースが存在しますが、根幹にある理由は一つだと思っています。 アーティストは"作…

拡大は捨て、既存ファンのみをターゲットに(広げて駄目なら閉じてみるというお話)

ウィズコロナ時代の音楽業界の在り方。 のような意見交換や議論が飛び交う中で、私自身もそうした話をする事も多くありました。 現状フリーランスとして活動をしていますので、どこか具体的な業種の立場でそれに向き合うというよりも、感覚的にはもう少し俯…

ロックバンドが私を惹きつける理由

今日はロック音楽が長い間大衆音楽の中心であり続ける理由について触れてみたいと思います。 まず演奏者側になる事を考えてみた場合、ピアノやバイオリンなどクラシック音楽で用いられる楽器演奏と比較すると、ギターやドラムなどロックバンドで用いられる楽…

ロックファンの新参・古参のマウンティング合戦に終止符を

兼ねてからしばしば見受けるロックファンにおける古参と新参のいざこざ。 「若いファンは分かっちゃいない。」 とか、 「そのバンドのルーツはこのバンドだからそれを聴いてからにしろ。」 等々。 ピュアな若いファンに対して往年のファンがマウンティングす…

視聴デバイスへの意識を。消費者次第の音楽ライブ配信再生環境

昨日はスパソニ延期についての話を挟みましたが、今日もまた音楽ライブ配信についてのお話です。 以下の前回記事では、リアルな音楽ライブをそのまま配信に落とし込むには、音響環境の再現が困難であるという事にも少し触れました。 この話の中でこの視聴者…

SUPERSONIC(スーパーソニック)開催延期に思う事

SUPERSONIC(スーパーソニック)の開催延期が今日アナウンスされました。 ご存知の無い方に向けて改めてこのSUPERSONICを説明しますと、国内の4大夏フェスに数えられ毎年8月に開催される「SUMMER SONIC(サマソニ)」が、今年は東京オリンピックとの兼ね合い…

音楽ライブ配信はリアルの代替として作るべきか別物として作るべきか

昨日の記事に引き続き、今日もライブ配信にまるわるお話を。 「音楽ライブ配信が同業界の窮地を救うコンテンツになり得るのか?」 といった内容の議論や意見交換がこの数ヶ月至る所で行われてきたと思います。 観客を入れた公演が行えないという甚大な収益ロ…

無観客ライブ配信で告知から消えた会場名から感じたこと

ライブ会場で言うと、私はこれまで東京都内のライブハウス3店舗でブッキング業務を行なってきた過去があります。(どれもフル勤務のような形ではないのですが。) ですので、コロナ禍に限らず、これまで音楽業界の仕事をしたり、このブログなどでも物を書い…

繰り返される自粛要請とコンサート業界・ライブハウスの現在

東京都では8月3日〜31日の間、酒類の提供を行う飲食店やカラオケ店に対して営業時間の短縮要請が再び出されました。 これを受け、SNS上などではライブハウスやクラブを含めた多くの飲食店関係者の怒りや悲痛の声が投稿されています。 このブログでは政治的な…

コロナ禍で増加?アーティストの解散・脱退・活動休止への懸念

コロナ禍の影響を大きく受ける音楽関連職種として、ライブ会場やコンサートプロモーター、音響や照明、設営や警備など、ライブに直接関わる業種が直近の心配のタネでした。 しかし、観客を入れたライブの再開や社会全体の経済不安が長引く程に、心配の範囲は…

チケットキャンプ問題とは何だったのか?問題点や閉鎖までの流れのおさらい

今からおよそ2年前の2018年5月にそのサービスを終了した「チケットキャンプ」。 コンサートチケットの高額転売が問題視される中、その販売(転売)サイトの最大手であったチケットキャンプは大きな議論や反対を受け、メディアでも大きく取り沙汰され、SNS上…

「年内ライブイベント再開不可」というシナリオ想定におけるキャッシュポイントスライドのすすめ

東京では7月23日〜7月26日の4連休、都知事による外出自粛の呼びかけを行う意向との報道がされています。 タイミングを置いておけば、多くの人にとって想定の範疇であったと思います。 さらに言えば、まだ何度も外出や営業自粛の要請は出るでしょう。 私は音…

美術の歴史から学ぶ未来の音楽のあり方

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」 ドイツの政治家オットー・フォン・ビスマルクの言葉だそうです。 私が生きている間だけでも、レコードからカセットテープやCD、MD、音源のダウンロードやストリーミングへと音源フォーマットは変化し続け、コロナシ…

年齢と共にミュージシャンが奪われてしまう目標到達の可能性について

私が音楽関係の仕事を続けるにあたってのモチベーションになっている事がいくつかあります。 そのうちの一つに、 「自分が良いと感じている駆け出しのアーティストが目標に到達する事」 があります。 過去にも書いた通り、この目標はアーティストによりそれ…

ライブ会場が意識すべき、出演者と来場者という2種類のお客様

ライブハウスなどのライブ会場にとっての”お客様”は、大きく2通りに分けられると思います。 ”お客様”な訳ですから、当然どちらかに優劣をつけることは無いですし、特に現場で対面してやりとりや接客をするスタッフであれば尚更でしょう。 しかしながら、店舗…

日本特有のアーティストブランディング?「アーティスト名表記」と「ライブ写真」の取り扱いの違い

海外アーティストに関わる業務を行う中で、 「そこはアバウトなんだ。」 とか 「そこ気にしないの?」 と思う事がしばしばありました。 その際たる物に、「アーティスト名表記」と「ライブ写真」の取り扱いについての違いがあります。 アーティスト名にして…