昨日はスパソニ延期についての話を挟みましたが、今日もまた音楽ライブ配信についてのお話です。
以下の前回記事では、リアルな音楽ライブをそのまま配信に落とし込むには、音響環境の再現が困難であるという事にも少し触れました。
この話の中で視聴者側の音響環境については、主題ではないのでほぼ触れませんでしたが、今回はココについて深掘りしたいと思います。
消費者次第の音響環境
リアルな現場でのライブ体験の場合、来場者が聴く音楽は等しくその会場の音響設備になります。
アーティストを肉眼で見れる喜びや会場の熱気、そこで出会うファン同士の繋がりなど、リアルなライブ現場には多数の魅力がありますが、大きなスピーカーから大音量と振動を受けながら音楽を楽しめる事は中でも大きな体験価値のひとつです。
前回の記事では、
「いかに自宅の音響環境に投資をしたとしても、ライブハウスの現場で鳴る音に勝ることはありません。」
とだけ書いてさっぱりと通過してしまいましたが、何しろ音楽は"音"が鳴ってこそのアートですし、それを享受する際には最重要な項目でもあるはずです。
しかしながら、ライブ配信となると、その映像や音声の再生環境は視聴者側に委ねられます。
これについてはライブ配信に限らず、CDでもストリーミングでも同様にはなりますが、製作意図・動機が異なるかと思います。
何度も録り直し、ミックス、マスタリングを加えた音源と、ライブで聴く楽曲では、アーティスト側が届けたい物は異なる場合が多いですし、聴き手側も音源をそのまま再現したものをライブの場に求めている訳ではないでしょう。
映画館の需要と同じで、内容さえ分かれば良いというものでは無いのが音楽の奥深いところ。
CDや配信用のいわゆるレコーディング音源を製作する際には、スタジオのスピーカーだけでなく、例えばスマホでも聴いてみてその確認を行いますし、いくつかの視聴環境を想定して作られています。
対して、リアルタイムでの配信、いわゆる生配信の場合はリアルなライブ感をどこまでオンライン上にパッケージ出来るかに終始してしまいがちです。
映像面ではこのライブ感を補完しやすい所はあるようにも思いますが、音の補完となると視聴環境が消費者次第になってしまう以上、難しいように感じてしまいます。
前回記事で、
「リアルタイムのライブ配信である必要性は無いようにも思っています。」
「リアルとは別物として振り切ったコンテンツ作りに特化すべき」
と書いたのはそんな理由からもきています。
デバイスをターゲティングした配信を
これって(音楽業界に限らず?)比較的あるあるかとも思うのですが、業務として音楽に関わっていると、PCで多くの確認作業を行います。
例えば、ウェブサイト上で掲出するバナーなどでは、そのバナー商材の説明テキストを沢山入れたがる方がいらっしゃいます。
大きなモニターで確認をすると、確かにその文字数を入れ込んでも視認可能ですが、スマホで見ると潰れてしまったり読みにくかったりする場合があります。
徐々にその傾向は正されてはきていると思いますが、
「いや、このサイトは80%がスマホからの閲覧者なので。」
と説明をしてもなかなか理解してもらえずに困惑した経験も何度もありました。。。(過去にそういったWEB関連の部署にいた事もありまして。)
同じように、ライブ配信も配信者側やその関係者はPCでその映像確認している場合が多いかもしれません。(これは現場を何度も見たわけではないので分かりませんが。)
しかし、視聴者側は出先や移動中に観ている方もいれば、自宅でもスマホで観ている方も多いかもしれません。
これについては、私はおそらく少なくとも70%程度はスマホやタブレットからの閲覧なのではないかと思っているんですが、どうなのでしょう。
もしライブ配信の視聴環境の実態調査結果とかがあれば見たいですよね。
仮に、視聴デバイスの大半がスマホであれば、配信クオリティはその環境を意識したものにすべきですし、視聴者の満足度に直結する事柄だとも思います。
音声についてもPCにしろスマホにしろタブレットにしろ、その端末のスピーカーからなのか、イヤホンなのか、外部スピーカーに繋げて聴いているのか、主催者側でその実態を調べるのは困難ではあると思いますが、意識的ではあるべきかと感じています。
(主催側としての推奨環境を発信するとかでも良いでしょうし。)
最後に
私自身がこの数年、スマホやタブレット端末での映像コンテンツ視聴にかなりの時間を費やすようになっている事もあり、「その辺りはどの程度意識的に作られているのだろうか?」と気にもなったので、今回はこんな話を書いてみました。
ストレスの少ない通信環境で出先でもどこでも視聴可能という今の時代は、音楽ライブ配信にとってはかなりの追い風とも思えますので、まずは基本的な視聴デバイスへの意識を勝手に啓蒙させていただいて今回は締めたいと思います。
ではまた◎
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