TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

【Works紹介④】サマーソニックでのステージ作り【音楽フェス】

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己紹介的に、でもちょっとハウツー的に、音楽業界での仕事としてこれまで取り組んだ具体例を書いていく【Works紹介】の4回目です。

 

音楽業界の場合、情報がかなりクローズされているところもあり、「音楽業界に興味はあるけど、どんな職種があるの?」とか「どんな作業をしているの?」など、詳しく分からなくて一歩踏み出せないという方もいらっしゃるかと思いますので、そんな方のお役に立てればと、そんなシリーズ企画です。(とはいえ、クローズされているので強めな忖度の元、書かざるを得ないのですけどね...。)

 

今回は、国内最大級の音楽フェス「SUMMER SONIC(サマーソニック)」でのステージ作りのお話を。

 

こんなご時世ではありますが、音楽業界を志したり興味があるという方にとっての選択肢やHow To、モチベーションアップに少しでもお役立て頂ければ幸いです。

 

↓過去3回の「Works紹介」はコチラ↓

 

 

業務内容について

まず最初に今回のWorks内容を。

サマソニ2017での新設ステージ、その翌年に改称&アップグレードした同ステージのブッキング、ステージ運営、制作などのステージ全体の管理業務となります。

一昨年退社をしていますが、当時はもちろん外注ではなく、運営会社社員としての業務となります。

 

同社員としてはほぼ私一人の稼働という形でしたので、上記の主要業務から、WEB上でのアナウンスページ作りや告知画像作り、食事の発注、車両の管理など細かなところも担当範囲となります。

 

音楽フェスのステージ作りの流れとは? 

ステージコンセプトの設定

フェスのステージには、多かれ少なかれステージコンセプトが存在します。

ここでの場合は特に明確で、「新人アーティスト」を主軸とした出演ラインナップを観ていただく為のステージでした。

 

ステージやエリアの規模については、他のステージや飲食ブースを含めた他のコンテンツとの配置の兼ね合い、また導線などを加味して調整・決定していきます。

 

2017年に関しては、ロックバンドやヒップホップ系などポップアーティストを、2018年はそれらに加え、TIFというフジテレビ主催のアイドルフェスとのコラボステージとしても展開がされました。(逆にTIF内でサマソニとのコラボ展開も)

 

出演ラインナップの選定

先に書いた通り、 ブッキングや制作業務を兼任する形になるので、事前業務は順序立てては行えないので並行して進めていきます。

 

ステージを考える上では特に重要なのは言わずもがな出演ラインナップです。

この場合は新人系のステージなので、キャパシティの大きな主要ステージほどには集客やチケットセールスにナーバスではありませんが、「ずっとガラガラだった。」という訳には誰の為にも良くありませんので、意識としてはその点も考慮します。

 

もう一方で、せっかくの新人系のステージですので、今後の可能性を強く感じるアーティストを上記を考慮しつつ考えます。

 

ある程度ブッキングが進行してきたら、並び(出演順や流れ)も加味して出演枠を埋めていきます。

 

このステージに限らず、ブッキングはイベントやフェスの集客に直接的に関わるところなので、難航した時には大きなストレスになりますが、その分、無事決定して皆様に発表をする時には非常に大きな開放感からくる喜びを感じます。

(ライブハウスなどでの小規模イベント個人主催者さんを見ていると、この出演者発表で燃え尽きてしまい、以降の告知が手薄になっているケースを散見する気もしますが、そうなってしまう気持ちは非常に良くわかります。場合によってはそのくらいココが神経と労力を持っていかれますので。)

 

ステージ・エリア設営準備

好きな場所、好きなサイズでステージを作れるわけではなく、あくまでも複数あるステージやブースなどのひとつですから、それらとの兼ね合いをみて、ステージの設置場所やサイズを相談・決定していきます。

 

この話の場合には、大きな主要ステージではないので、どうしても優先的にアレコレと決定して進めてはいけないので、ブッキング以上にシビレる業務だったと言えます。

 

「この位置にすると、音は出せるけど導線が確保しにくい。」とか「この位置なら導線も音も問題なさそうだけど、来場者の通行を妨げそう。」など、ここを立てればあっちが立たずみたいな検討を繰り返し決定していきます。

 

無事、設置場所が決定をすると、今度は各関係業者への依頼・発注を行います。

音響や楽器・照明機材から、搬入出のトラックの手配、電源やテーブルやテント、ステージ設営などの手配を行います。

PAさんや照明さん、舞台監督等々、人の手配も並行して行います。

 

直前準備

開催まで日数が迫ってくると、各所への連絡事項が増えていきます。

 

アーティストに対しては、ステージプロットやセットリスト、当日の同行スタッフや車両の確認、出演時間や入り時間などの伝達。

ステージ周りの関係者には、それぞれの業務スケジュールや内容の伝達や確認など。

また、それらのリストバンドや駐車場、宿泊先などの手配だったり、食事(弁当)の手配など細かな事務作業も増えてきます。

 

開催数日前の設営の期間に入ると現地入りをして、ステージ設営に立会います。

この辺りは百戦錬磨の各業者の方々が万全を期してくれていますので、基本的にはいるだけ番長状態ではありますが、照明の高さや音量、各備品や装飾の配置などだけ指示やGO出しを行います。

 

「スタッフや車両を増やしたい。」、「こういう演出やパフォーマンスをしたい。」、「あの楽器を借りたい。」等々、変更や追加事項が直前になると増えてくるので、物理的な多忙さで言うと、開催1週間前くらいは最もハードかもしれません。

 

当日の業務内容は?

当日は完全に"運営業務"という格好になるので、ステージの裏に四六時中待機して、アーティストの入り状況やステージの進行状況を見守ります。

 

複数ステージが同時並行で進行するフェスティバル形式の際には特に、進行の押しはよろしくありません。

とは言え、流石に入り時間を大幅に過ぎているのに来ていないとか、10分も15分も演奏時間を押すようなアナーキーな出演者はいらっしゃらないので(事前連絡で念押しも勿論していますし)、基本は出演者のアテンドやケア、ステージ進行との連携が主な業務になります。

 

これは以前のWorks記事でも書いた気がしますが、フェスでもなんでも、音楽イベントは事前準備がかなり大変なので、それに比べたら当日はイレギュラーな事が起きた瞬間以外は気が楽ですし、何より、来場者の顔が見れるというのは「この為に頑張った◎」的な充足感があるので随分と気分は良いです。

しかしながら、物理的にはステージにずっといなければならないので、寝たりする時間はほとんどなく、寝るのが大好きな人だと辛い仕事なのかなとは思いますが。苦笑

 

最後に(まとめ)

しっかりと全ての業務内容を書いていくと、普通に書籍1冊分くらいのボリュームになってしまうので壮絶にかい摘んで書きましたが、また興が乗ったら業務をセグメント分けしてもっと詳しくお伝えできればと。

 

といっても冒頭の通り、クローズされた業界なので書いて良さそうな範囲はある程度限られてしまうとは思うんですけどね...。(悪いことをしている訳ではないですよ◎なので個人的には「今の時代ならもっとオープンにすればいいのに」と心底思っていますけど...。)

 

ブログではどうしても制限がありますので、こういった仕事に強い関心があって、「もっと詳しく聞かせて欲しい。」という方がいらっしゃれば、私は若い人や目標がある人を応援するのが趣味であり生き甲斐ですので、いつなんどきでも直接ご連絡くださいませ◎

 

ではまた◎ 

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