TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

「歌」と「曲」の使い分けから推察する音楽へのマインド

f:id:TinyBicycleClub:20210323205924j:plain

筆者のヒゲ面と見せかけて、これはフリー素材です...。

日はかなりさっぱりと簡単なコラム的雑記をひとつ。

 

少し前に、こんな記事を書きました。

要約すると、YouTubeなどにアップされているMVのタイトル表記において、

「欧米のアーティストのほぼ100%が、ハイフンをアーティスト名と楽曲名の間に入れて表記しているが、日本のアーティストはスラッシュやカギカッコを使う事も多く、ハイフンの使用有無で、海外アーティストの影響下にあるか否かの一定の目安になる。」

大まかにこんな事を書きました。

 

 

今回は、その続編ぽい感じと言えるかもしれません。

 

"歌"と"曲"という使い分けです。

 

「あの歌良いよねぇ。」

と言う人もいれば、

「あの曲良いよねぇ。」

と言う人もいます。

 

英語で言えばどちらも"Song"です。

 

日本でもあまりこの"歌"と"曲"と使い分ける際に、意識的にそれを行なっている人はそう多くはないかと思います。

 

ただ、これについても以前のハイフンを使った表記のお話と同様に、海外アーティストの影響下にあるか否かの一定の判断材料になり得ると私は感じています。

 

私の場合、自分の音楽的なルーツやその後の興味の多くも海外アーティストが占めていましたので、交友関係もそれに近い人が多いです。

そんな友人・知人と音楽の話をする際に、”歌”と言われたことは記憶する限りほとんどありません。

稀に、OASISの「Don’t Look Back In Anger」のようなシンガロング系の曲を指して、「いい歌だねぇ。」みたいに言うことはあったかもしれませんが、その際は意識的に"歌"と言い表していると思います。

 

転じて、さほど海外の音楽や、音楽そのものに強い関心のない友人・知人と話をしている際には、楽曲を指して"歌"と言っているのを聞くことは俄然多くなります。

 

テレビなどの大きなメディア内で楽曲の話題が出る際にも、"歌"と言っているケースがかなり多い印象です。

 

そんな風に感じる私がレアケースである事は自覚の上になりますが、"歌"と言い表されたのを聞くと、ちょっぴりこんな風にも思ってしまいます。

「いや、楽器パート全無視かい!」

あくまでも、心の中だけのツッコミになりますので、実際に声に出したりもしませんし、ツッコミでしかないので、イラっとしているとかでもありません。笑

 

とはいえ、日本国内で大流行や大ヒットする楽曲の場合、歌唱力や歌メロや歌詞といったボーカル関連の事柄がフィーチャーされる事は多くあっても、楽器を含めた演奏全体がフォーカスされている場面は極端に少ないようには感じています。

 

この理由が、ビートレスな国歌を持つためなのか、日本におけるポピュラー音楽黎明期を支えた演歌によるものなのか、はてはカラオケ文化によるものなのか、理由は断言できませんが、日本人が比較的、音楽を聴く際に歌メロを重点的に耳で追っている事は間違いないように私は考えています。

 

実際、メジャーアーティストのマスタリングなどは、意図的にボーカルのバランスを強くしている事も少なくないですし、テレビの音楽番組などを観ていて、「楽器の音、全然聴こえないな...。」と感じた経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。

 

で、いよいよ本題です。

 

日本国内のアーティストが取材等で、自身の楽曲を指して"歌"と呼んでいるか"曲"と呼んでいるかで、「自身の音楽表現がポップミュージックであるという事に対し、どこまで自覚的に挑んでいるか。」の簡単な判断材料になり得る部分があるように思っています。

また、傾向としては、以前のハイフン表記の話同様、海外アーティストの影響下にあるアーティストほど、"曲"と呼んでいる事が多いようにも思っています。

 

もちろんこれは、どちらが好きとか良いという話ではありません。

しっかりとセールスする事を意識して、ある種ビジネス的に消費されていく事を受け止める覚悟を決めた"歌"派も尊敬に値しますし、セルアウトせずに芸術として音楽活動を続けていこうと覚悟を決めた"曲"派も尊敬します。

(そういった意識的な覚悟があって”歌”と"曲"を切り分けているのであればですけども。)

 

まあこれは、ソロシンガーは"歌"と言いがちですし、バンドは"曲"と言いがちだったりもするので、以前のハイフン表記のお話に比べると、ガクンとその精度は落ちる判断材料ではあるかと思いますが、今日はそんな小噺でした。

 

ではまた◎ 

にほんブログ村 音楽ブログへ

 

※今後新たにスタートしていきたい企画やサービス、情報もあるので、以下のLINE@やTwitterのフォローもお願いします◎