TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

今の世代に対して、甲本ヒロトの「歌詞を聴きすぎ」発言に痛く共感した話

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2週間前くらいの放送に遡りますが、11月21日にフジテレビで『まつもtoなかい~マッチングな夜~』という番組に甲本ヒロトが出演していまして、ご覧になられましたでしょうか?

 

ダウンタウン&ザ・ブルーハーツ・ラヴァーな私は無論即座にその日に視聴しまして、番組内でのヒロトの発言のお話を今日はひとつ。

 

↓ザ・ブルーハーツが好きだというお話はコチラ↓

番組はタイトル通り、 松本人志と中居正広をメインに据えたトークバラエティで、この2人が会わせたい2人をマッチングさせるというコンセプトのもの。

 

何組かのゲストが入れ替わり登場していたのですが、トップバッターで登場したのが、甲本ヒロト×菅田将暉という組み合わせ。

 

正直な気持ちを言うと、

「せっかくヒロトが出るのに菅田将暉が話し相手では...。」

と思ってしまったのも事実でした。

 

これは菅田将暉に特別なネガティブイメージがあるという事ではなく、世代的にどうしても菅田将暉だとブルーハーツは重なっていないでしょうし、何より私がヒロトファンなので極力深い話を聞きたかった為で、彼に罪はありません。苦笑

 

が、これは「ダウンタウンの大ファンで。」というスタンスに終始していたダウンタウンなうの本音でハシゴ酒に出演していた際も同様でしたが、この番組でも「甲本ヒロトやブルーハーツの大ファンで。」という事で、トーク内容の多くは甲本ヒロトにフォーカスした形だったので、無事楽しむことができました◎

 

その内容は、ヒロトがロック音楽に興味を持ったルーツや他の出演者が思うベストソングについて、バンドを長く続ける上での思考の変化についてなど、話題としてはスタンダードなものでしたが、それでも随所にヒロト節が効いていて興味深かったりグッとくる言葉があります。

 

中でも、

「今の若い世代について思うことはありますか?」

という問いに対しての回答に痛く共感しました。

 

この質問に、「言う事なく全て素晴らしい。」と即座に全肯定をした事も素晴らしいと思いましたが、続けてこう発言しました。

 

「ひとつ感じるのは、歌詞を聴きすぎ」

 

これには私も、さよなら満塁ホームランばりのガッツポーズを見せてしまいました。

歌詞を軽視する訳では全くないですし、だからこそ「聴き"すぎ"」と言っているはずです。

 

この理由が日本のヒットソングの構造がカラオケ文化に依存している為なのか、国民性なのかは分かりませんが、過剰に歌詞がリスナーから重要視されている節を感じます。

 

ロックは特に世代の代弁者であったりメッセージ性を求められますし、大きな魅力でもあります。

ですが、彼らが表現したいのは音楽であってテキストではありませんし、リスナーもきっとそうであったはずです。

 

極論言えば、詩にシビレたいのであれば詩集や名言集で事足りますし、言葉をわざわざ音に乗せる気持ち良さは、意味だけではなく語呂や語感とリズムがかけ合わさってのもので、意味そのものよりもそれが優先されています。

 

だからこそ、オリジンであるアメリカやイギリスから得たロック音楽を、輸入カルチャーとして日本語で歌うという挑戦に多くのアーティストは長年挑んできたはずです。

 

この辺りは先日書いた『ヒットの崩壊』のレビューにも通じるところです。

私の世代(1978年生まれ)以上に、ヒロトはロック音楽を輸入カルチャーとして吸収した感覚や意識が強いはずですし、この番組内でも語られていましたが、ロックの原体験は「歌っている内容は分からないけど感動や興奮を得た」者にとっては、これまた極論言えば、「歌詞なんかどうだっていい。」と言ってしまっても良いかもしれません。

 

このことはひとつ前の記事で触れた、ニルバーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」に対し、カート・コバーンが「特に意味なんてない。」と語った事にも繋がってきます。

「歌詞を聴きすぎ」という指摘は、それほどまでにJ-POPや邦ロックと呼ばれる音楽が成熟し確立された証で懸念されるべき事ではないのかもしれませんし、老害的に受け取られてしまうかもしれません。

 

ただ、ヒロトファンだから擁護する訳ではなく、多分純粋に

「ロックってそんな小難しいものじゃなくって、何も考えないで鳴っている音を楽しむだけでいいよ。」

と言いたかったのだろうと思いますし、私もそう思っています。

私、普段聴いている音楽のほとんどの歌詞を理解していませんしね。

 

ではまた明日◎ 

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