インタビュー・テキスト・撮影:八木橋一寛(TINY RECORDS)
コロナショック以降、存続が危ぶまれその今後が問われ続けている音楽コンサート業界。
当初は関係者やそのファンは各々に思案し、現在はその思案の内容を交換や提案して対策を模索するタームに入っているように思います。
ライブ配信やテキスト記事の中でも、そんな関係者への今後の展望の取材や、関係者間のトークセッションも多く見受けるようになりました。
不要不急と切り捨てられ、支援や救済も高いプライオリティでは受けれずにいる関係者や音楽ファンにとって、同じ想いを抱く著名人の発言はある種の安心感を確かに与えてくれました。
しかし私自身、違和感や物足りなさを感じてしまったのも事実です。
当事者同士となると、議論や意見交換がどうしても「音楽は素晴らしいからきっと大丈夫。」に帰結しがちだと感じてしまいましたし、私達が奪われたのは娯楽ではなく仕事や生きがいだと思っていたので、必要な事は安心だけではなく"解決・改善"です。
主観や共感に依存しない、客観的でドライな助言や知見を聞く事は、"解決・改善"の糸口を探るの為に有益ではないかと思うようになりました。
つまり、音楽業界とは関係のない異業種のビジネスパーソンの話を聞きたいと思ったのです。
思い立ってから2ヶ月ほどが経過してしまいましたが、ようやくお招きするにあたって及第点と言えるアクセス数や、キリ良く100記事にも到達したので、今後はしばしばインタビューや対談もここで掲載していきたいと思います。
インタビューとしては初回となる今回は、クウェル株式会社 / アクセンチュア株式会社で様々なサービスや広告のコミュニケーションプランニングを行う若月優さんに、
「あなたが今、音楽業界当事者だとしたら、どんな風に問題解決を考えますか?」
そんなテーマで意見を聞かせてもらいます。
異業種とはいえ、音楽についての関心もあり個人的な交流もあるお相手なので、前書きこそ少々仰々しくなってしまいましたが、気楽にのんびり読み進めていただければ幸いです。
「コミュニケーション・チャネルが広がった」という考え方のほうがあるかなと思っていて
──同業者ならずともニュースやSNSでおおよそ知っているとは思いますが、音楽業界、特に音楽コンサート業界は危機的な状況です。その解決や改善を見るためのヒントが一つでも見つかればと、異業界で活躍されている方からお話を聞ければという趣旨になるので、今日はよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
──まず、差し当たっての大きな問題となったのは、会場に観客を集客する事ができず、これまで同様のチケットセールスが取れなくなった事でした。その状況を受け、多くの取り組みとなったのがライブ配信だったと思います。この流れを見て感想や印象って何かありますか?
そうせざるを得なかったというのもあって、オンラインに移っていった流れがあったじゃないですか。みんな結構悲観的になっていて、ライブが出来ないから止む無くオンラインに流れてるみたいな感じになったと思うんですけど。
逆に言うと「コミュニケーション・チャネルが広がった」という考え方のほうがあるかなと思っていて、とはいえキャッシュが手元になくて直近ライブが出来なくて閉店してしまうライブハウスとかあったと思うんですけど、中長期的に見れば、これまでのリアルなライブに加えてオンラインもチャネルとして拡大するようになると、マネタイズの場所の広がりが出来るんじゃないかなとは思いました。
──置かれた状況的に音楽業界に近いと感じた業界って周囲にありましたか?
いわゆるリアルの場を売り物にしている業界、という意味では当たり前ですけど飲食業界は一番近しいかと思います。
音楽を消費する=食べ物を消費するという点では一緒なので、同じく打撃を受けている。
飲食業界はオンラインそのもにシフトしているというよりは、オンラインを通じてデリバリーにシフトしていたりはするんで、そういった意味では近しいのかなっていう。
──なにかライブ配信って見たりしましたか?もし印象に残っている配信などあったら聞かせてください。
そう多くは観れていないんですけど、BiSHのアユニ・DがやっているPEDRO(ペドロ)っていうバンドユニットがいて、結構狭い会場でやっていてそれはなんか今っぽいなって思って観てましたね。
あとは、kZm(ヒップホップクルーYENTOWN所属のラッパー)とPARTYっていうクリエイティブ集団が「ヴァーチャル・ディストーション」っていうバーチャル空間でライブをするっていうのをやっていて。
──ああ、フォートナイトで米津玄師がやったみたいな?
そうまさにそれです。
──これは有料配信?
専用アプリをダウンロードすることで、無料で参加可能なやつでした。
コロナ禍での音楽業界の新しいあり方の提示みたいな考え方だったと思うんですけど、クオリティがめちゃくちゃ高くて。今後のマネタイズのモデルとしてもすごいあるなって思って。
──今回に関しては無料のプロトタイプ的な見せ方だったけど、あとからキャッシュポイントはいくらでも作れるクオリティに達していたと?
ですね。全然達していると思いました。
音楽ってめちゃくちゃエモいメディアだと思うんで、もっと課金されてもいいのかなって
──大型フェスや小規模のライブハウスでも、視聴者数だけで見るとリアルのイベント以上の集客が出来ているケースも多く見受けました。
次のステップ的には、それをどうリアルに代替する収益にするのかという事になりますが、この点のビジョンって持てると思いますか?
まずは、どストレートに「視聴に対してチケット販売という形で強行的に課金させる」というのは普通にあると思います。
ただ、それがいきなり出来るのかは難しいかもしれないので、超ジャストアイデアなのですが、オリジナルのサービスで作れるものはないかなって考えてみたんですけど、お茶と音楽をセットにしてサブスク化したらって思って笑。
──お茶?
はい。つまり音楽だけでマネタイズするって今は少し厳しいとも思ったので、何か付加価値をつけてあげるっていうのが必要なんじゃないかと。その付加価値の付け方が、僕はなんかお茶だったんですよね。
この「GEN GEN AN」ってお茶屋さんなんですけど、ストリートな雰囲気とかなんかかっこいいなって。
ピンと来にくいかもしれないんですけど、ここはお茶のサブスクみたいなこともやっていて、こういうお茶のセットと合うアルバムとかを例えばQRコードとかカセットテープとか付けてあげたりする事で、音楽も定期的に提供するみたいな。
──サブスクというとお茶が定期的に送られてくるって事ですか?
そうです。お茶屋さんとかも付加価値つけたいと思っているでしょうし、タイアップみたいな形に近いかもしれないですけど。
──なるほど。例えばお茶単体では500円で販売する所を、音楽とパッケージする事で1000円で販売して売り上げシェアするみたいなことでも。
はい。あともう一つあって、これは多分誰かがやったほうがいいなと思っているんですけど、有料のライブ配信が観れるプラットフォームを大きなレーベルとかが率先してやらないといけないのかなって。
──包括して色々観れるサブスク的なプラットフォームって事ですよね?
ソニーがYouTubeで「THE FIRST TAKE」ってやってますけど、ああいうものも一つのプラットフォームとして課金して観るようになるみたいな。
音楽ってめちゃくちゃエモいメディアだと思うんで、もっと課金されてもいいのかなって。
──ライブも出来ない、音源も今後は収益化しづらいとなったら、グッズやファンクラブ、あとは映像は収益化に向いていますもんね。
Netflixとかは良いモデルだと思うんですけど、ああいう映像見放題とかで出来ると。
──確かに。ひとつこの場合TVer(ティーバー)とかオンデマンドとテレビ業界の話にも近いネックがある気はして、音楽もレーベル単位ならコントロールもしやすくて出来そうですが、ファンからするとワーナーも加入してソニーにも加入してみたいになっちゃうとそこが集客の障壁になりそうではあるので、ひっくるめて観れる統一したプラットフォームが作れると良いですよね。
ああHulu(フールー)だと日本テレビとか。
──FODとかAbemaとかテレビ局毎で全部分かれちゃっているので、ユーザーからしたらそこは一本化してくれたほうが当然良いけど、そうすると全体の取り分下がったり問題は色々あるだろうし、音楽もきっと同じようなネックは。
Netflixとまた別で、アメリカの「MASTER CLASS(マスタークラス」」(https://www.masterclass.com/)っていう年間2万円くらいで色々な著名人のレッスンが見放題というのがあって、一人の著名人が大体10分×5本くらいのコンテンツなんですよ。これもすごくサブスクリプション・サービスとしては良いなって。
──この形だと音楽に特化させるというより、付随するカルチャー全般の映像が観れるとかだとサービスへの集客も増えて、アーティストの収益先を新たに作るという意味で良いかもしれませんね。
この中でも例えばジャズアーティストとかが作曲の方法をレクチャーしていたり、音楽部分でのマネタイズの可能性が結構見えるんですよ。
──音楽業界ってこれまで音楽業界だけでやれちゃっていたからそうしてきた所がありますが、他の業界からすると音楽やミュージシャンってかなり魅力的なコンテンツなはずだと思うんですよね。こういう形でもっと露出や収益が作れるのはとても良いですね。
確かに閉鎖されている業界といえば業界なので、もうちょっと色々なカルチャーとの歩み寄りみたいな事があったほうが広がりにもなるしマネタイズの可能性も広がるのかなって。
生で聴く良さがあるから、デジタルトランスフォームする必要が無いという考え方もできるのかもしれないですね
──小規模の会場や公演だと、プレイガイドなどで事前にチケットを買う事なく来場時に入場料を支払うケースも多く、居酒屋に行く程度のカジュアルさで楽しめたのも魅力だったように思っています。
オンライン配信の場合、販売サービスに決済情報の登録やログインを行う手間もかかり、ここも収益ポイント作りの障壁になっているようにも感じているのですが、これってアイデアや技術次第で解決できたりするものでしょうか?
顔認証とかですぐログインできるプラットフォームとかはあるので多分ユーザビリティの問題だと思うんですよ、システム自体の。
あとはFacebookログインとか他のソーシャルと連動してログインができる機能が入っていればそんなにストレスではないかなって。
──個人的にはチケットに限らずログイン作業でサービスから離脱する事があってこの質問をしてみたのですが、顔認証と言わずとも指紋認証とかで良いからもうちょっとなんとかしてくれると確かにこのストレスはなくなるかも。
チケットをあまり自分の手では買わないのですけど、その理由の大半がこのログインやカード情報の入力の手間が理由だったりもしていたので。
逆に質問になるのですけど、小劇場とか小さなライブハウスに行っている人達って、デジタルのリテラシーがそんなに高い人がいないんじゃないか説ってあったりします?
──国民全体の平均と比べたらそんなに違いはないかもしれないですけど、いわゆる意識高い系と比べたら低いかなって。そりゃあ意識高いっていうくらいだからそれと比べたら低くなっちゃう訳ですけど。笑
基本キャッシュ主義とか?
──そうそう。それは個人的にかなり気にはなっていて、自分は完全にキャッシュレスで生活していて現金すら持ち歩いてない日が多いのだけど、今現金を使うのって自動販売機かライブハウスくらいで。ライブハウスはとにかくキャッシュレス化が進んでいないっていうのは。
それはありますよね。
──来場者からのキャッシュレス需要が少ないからそうなのか、単純にお店側が導入していないだけなのかはなんとも言えないですが、完全にキャッシュレスにしたい自分としてはかなりのストレスになっているので、ユーザー目線での個人的な意見としてはすぐに取り組んで欲しいなとは。苦笑
それでもし売上が下がるとかは少しあるかもしれないですよね。
──あとは、滞りないネット環境への設備投資が予算的に出来ないとかはあるのかも?
近年割とネット環境が出演者や来場者のクレームになることも多くて、小さな会場と言っても満員なら100人とかは入るわけで、その人数に十分なWifi飛ばしてキャッシュレスまでとなると。まあ決済とは回線分ければ良いのだけどそれでも予算はかかるわけで。
そもそも音楽自体アナログなものだったじゃないですか。ライブハウスとかコンサート会場に行ってそれを生で聴く良さがあるから、デジタルトランスフォームする必要が無いという考え方もできるのかもしれないですね。
──どこかにそういう「リアルなライブハウスとはこうあるべき。」のような伝統のようなものはあるのかもしれないし。
そうですよね。小劇場とか映画館とかもそうじゃないですか。昔ながらの風情があるみたいな。
──考え方によってはリアルな目の前のライブを楽しむものだから、「その最中にネットなんていらないでしょ、目の前のライブ最高なんだから。」とも思えるし。一方でSNSで拡散してくれたほうがアーティストも会場もプロモーションにはなるっていうのもあるけど。
それでも敢えて逆行してそこに価値を作るなら、バーニングマン(※)みたいに極端に原始的な場所にしちゃうとかはアリなのかも。笑
そのくらいにしないと中途半端に遅れているように見えちゃうかもしれないですし。
※アメリカ・ブラックロック砂漠で1週間に渡り、電気・水道・売店・食堂など生活インフラを排除した空間で参加者が過ごす大規模イベント。↓詳しくは過去記事でも↓
入り口で携帯没収するとか。笑
──そうそう、それ良いかも。笑
笑
──音楽に限らず、オンライン上で表現や芸術を訴求する手法やサービスは多くありますが、注目している物などはありますか?
ん〜。さっき話に出たお茶とかゲームとか。
──それで言うと音楽だけではなく、入り口は別の形で複数作るとかの方が良いのかもしれないですね。
音楽とゲームって親和性ありそうですよね。
──コンサート業界はこれまで開催当日にキャッシュポイントを全振りしてきたので、開催の中止イコール収益の完全停止でした。その為、いわゆるサブスクリプション型の収益モデルへの関心の高まりも感じています。
どのポイントにサブスク型の集金ポイントを設けられるのかに難易度も感じているのですが、若月さんならどう設計しますか?
ちょっと違うかもしれないのですけど、この「aRoom」っていうサービス、avexがやっているんですけど所属のアーティストがこういうオリジナルのグッズを作って売るっていうプラットフォームなんですよ。
──そのアーティストの公式グッズとしてとかではなく?
はい関係なく完全に受注生産にしていて、これもコロナ文脈で2,3ヶ月前から始まっているんですけど。
好きなアーティストが作っているオリジナルグッズって欲しいなって思うじゃないですか。
──基本的に単独でもフェスでも、グッズってそこで使うための物だったりするので、そもそもライブが無いならライブに代わる付加価値が無いとっていう発想でもありますよね。
そうなんですよね。
──会場で使う為のグッズではなく、「日常で必要な物を好きなアーティストが作ってくれているっていうのが一番消費に繋がるよね。」みたいな。
はい、好きな人が作ったさっきのお茶だったり、インフルエンサー戦略に近いなって。
──時代の空気感的にも、本当に必要な物にしか消費がしづらくなるかもしれないので、それであればお洒落な物とか好きな人が関わっている物を消費したいってなるでしょうしね。ヒト消費的な。
まさにそうですね。ただ本当に音楽を死ぬ気でやっている人からすると、どうなんだろうっていうのだけが。
──確かにアーティストによっては「そこまでして。」とは思うかもしれないですけどね。
アーティストが音楽だけで生活できなくなった時のための副収入を確保するという意味ではあるなって気はしますよね。
──ミュージシャンって、音楽以外の事柄にも強い拘りを持っている人が多いので、こういう企画に紐付けやすい人は多くて良いかも。
人によっては食に詳しい人もいれば、絵が得意な人も多いでしょうしね。
「リアルな場でのエンターテインメントの体験を設計してきました。」って言えば良いと思います
──これは最悪なシナリオになりますが、それでも職を失ってしまい音楽コンサート従事者が異業種に転職をするとしたら、フィットしそうな業界や職種ってありますかね?
僕みたいな仕事かなって気もしますね。
例えば、僕は企画をしてそれをどうやってリアルやデジタル上での顧客体験に落としていくのかっていう事をしているのですけど、今後リアルなタッチポイントは絶対数としては少なくなるのかもしれませんが、それは逆に貴重な場になるという事でもあるので、リアルな体験の設計とか企画職って良いのかなって。
──質問してみて自分がこの質問をした真意に気がつきましたが、音楽業界って資格職では無いので、例えば失業するなりして転職活動の中で面接をしても、異業種に対して自分が何ができる人なのかをプレゼンしづらい部分があると思ったんですね。
でもライブハウスのスタッフだったら「365日来場者や出演者が何をしたら満足してくれるのかを見てきたライブエンタメのスペシャリストです。」って言って良いのでしょうね。
そうですね。なので大きな括りで言うと「リアルな場でのエンターテインメントの体験を設計してきました。」って言えば良いと思います。
──音楽業界ってかなり独特でクローズした面もあると思っているのですが、今後は他業界との連動性にも意識が高まる機運も感じています。先程ゲームやお茶という話は出ましたが、ビジネスとして親和性が高そうな業界って何か思い当たりますか?
月並みというか今までの話と重なりますが、やっぱり”食”、”ゲーム”、”映像”とかはあると思うので、音楽だけではなくがっつり組んでいくとかですかね。
あとは医療とか福祉ってどうなんですかね?
──と言うと?
キリスト教の信者の宿舎の中で、EDMフェスをしているシーンがYouTubeにアップされていて、縦ノリでめちゃくちゃ盛り上がっていて。笑
あと前の広告代理店時代の先輩でヒップホップに関する本を書いている人がいて、いまだに印税収入もあるらしいんですけど、その本がどこで一番買われていたかというと少年院だったそうなんですよ。
つまりそういう年頃の子たちだから、ヒップホップとか興味を持っているのかもしれないですけど、ストレスとか鬱憤をそこで晴らさせてあげれるように音楽を聴かせるとか。助長させてしまう可能性もあるんですけど。苦笑
──その話でいうと日本の場合だともう少し時間が必要かもと思っていて。
まだギリギリ我々の親世代くらいは、ロックは不良っぽいとかヒップホップのことは完全に不良だと思っているだろうし、でも我々より下の世代になるとライブハウスやクラブがどんな場所かの理解度も高いので、あまりそういったイメージは強く持っていないと思うんですよね。なのでそんな親世代が入れ替わってくれば実現可能かなって。
今だとまだ、「なんで更生させようとしている子の前で不良の音楽を聴かせなきゃいけないんだ」ってなっちゃうっていう。苦笑
そりゃそうですよね。笑
リアルなイベントを設計していく上では特別感が重要になってくるだろうなって
──もう少し先の中長期的な話として、コロナが完全終息した以降の話も一つさせてください。
しばしば言われているように、不況による倒産や解雇が相次ぐような深刻な未来があったとして、そうなると特にエンタメ業界に対しての消費控えが起こり得る事も予想されます。
そうなった場合、これまで以上に「リアルの場に行きたい!」と強烈に感じてもらう必要性を感じています。
オンラインではこんな紐付けをしたら良いかもというお話をもらいましたが、リアルな現場に対して価値を高め得る紐付けって何か考えつきますか?
リアルな場がより特別な体験になっていくとは思っていて、リアルなイベントを設計していく上ではその特別感が重要になってくるだろうなって。
空間の使い方だったり、究極にラグジュアリーにするとか、例えば「Tomorrowland(トゥモローランド)」(※ベルギーで毎年7月に行われる世界最大級のEDMフェス)みたいに世界観を作り込むみたいな。
──とても良く分かりますし同感です。ただこの場合は”特別”をウリにするという事なので、シンプルに行く回数は減るという事にはなりますよね?コロナ以前は週一で行っていた人が月一になるみたいに。
体験が特別になるという事は、イコール消費者にとっては来場回数が減るって事なのかなと思って。
かなぁとは思います。
──そうですよね。音楽ライブの素晴らしさを中心に据えるのなら、例えばコーチェラの配信とかも「配信で観たから行かなくていいや」なんて人はほとんどいなくて「いつか行ってみたい!」ってなるのがあるべき姿で。それを小規模のイベントや会場でも応用できると良さそうですね。
配信は安価に1,000円で観せたとしても、現場行くとめちゃくちゃラグジュアリーだったり特別感があって、そこで満足ができれば7,000円とかにしてバランスも取れるでしょうし。
さっき言っていたみたいに「全く元通りには戻らない。」というのは、そうだなって思っていて、もう電車ってなんとなく一席ずつ空けるみたいな風潮って出来上がってきているじゃないですか。
そういう意味では今まではライブの楽しさの一つにはギチギチの会場の中で皆で楽しむっていうのがあったけど、ソーシャルディスタンスを保ちながらラグジュアリーに楽しめるみたいにした方が良いのかなって。
──近未来で考えるとそれしかないですよね。
自分みたいなリアルな現場どっぷりな人は、ギチギチの恋しさとの葛藤がまだあるのですけど、更にもっと先の超長期で考えたら、生まれた時からソーシャルディスタンスという世代が出てくれば、ギチギチの世界を知らない訳で、そこまでいけばそこの不満や物足りなさも起きないでしょうし。苦笑
親とかに「そんなに人の近くに寄っちゃダメよ!」とかそんな感じに育つって事ですもんね。笑
──運動会の騎馬戦とかって無くなるんでしょうね。苦笑
確かに!笑
──では最後に、若月さんが今後仕事として新たにスタートしたり考えているものがあれば聞かせてください。
色々あるのですが、同じ文脈でお話しすると、人も場所ももちろんプロダクトもリアルな場を含めた告知の場が失われているなと思っていて、、、。
そこに加えて、男女問わずなのですが特に女の子がマジで楽しんでる姿って可愛いなって思って、その思考のミックスで作った「笑女遊戯」というメディアがあります!
分散型メディアとしてやっていて、ようやくプロトタイプとしてローンチしてます。
いろんなところから問い合わせがあり、今後面白くなりそうだなと思ってるメディアです。いろんなクリエイターとコラボしながら成長させていきたいと思っています!
という訳で、このブログでは初のインタビューでした。
リード文を入れると1万字を越えるロング・インタビューとなりましたが、いかがでしたでしょうか?
個人的には思っていた以上に新しいアイデアや知見を聞くことができたのではないかと思っています。
最後にお話にあった「笑女遊戯」は、プロモーション活用なども出来るそうなので、ご興味あれば私の方でもお繋ぎできますのでご遠慮なくおしらせください。(ブログのプロフィール欄にメールアドレスを載せていますので。)
今後も月に一度くらいはインタビューは続けていければと思っていますので、是非また次回も読みに来てください。
ではまた明日◎
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