皆様は最近、音楽を聴いて心震えたりしておりますでしょうか?
私はと言うと、久しぶりに今朝、震え散らかしました。
しかし、残念ながら近年のリアルタイムな楽曲ではなく、20年近く過去の楽曲でした。
私の場合、ロックやポップに分類される音楽を特に愛好しているのですが、久しぶりに震え散らかしてみて、何故それらを愛好しているのかについて、改めて直面しました。
私が考えるロックバンドの最も素晴らしい点は、歌唱力を含めた技術力の高さが必ずしも、評価や影響力に比例しない点です。(つまり、「俺でも出来そう!」と思える点)
バンドだけでなく、DJやラッパーなども同様だと思います。
以前も触れましたが、それは"軽音楽"と呼称されるくらいで、一寸、侮蔑的な呼称のような気もしてしまいますが、その軽さが良いのだと思っています。
圧倒的な歌唱力や演奏力も勿論、それはそれで楽しみ感動をする事もできますが、私の場合は感動はすれども、良く言う「人生が変わった」とか「自分も何かやってみようと思えた」といった類の感情は、技術力を売りにした表現から芽生えることはありません。(ビョークはめちゃくちゃ好きですけど、人生は変えてくれませんみたいな...汗)
一方で、私が最初に音楽に強く惹きつけられるきっかけとなった90年代中頃のブリットポップムーブメント。
いかにもそこらへんの兄ちゃんといった佇まいや、過度なショーアップもない簡素なステージング、技術力に圧倒されるような事も決してなく、月並みな言葉にはなりますが、まさに「自分となんら変わりのない若者による世代の代弁」のように感じました。
で、今朝、心震えた一曲に話を戻します。
こちらのThird Eye Blindによる「Blinded (When I See You)」という楽曲。
2003年リリースとなりますが、いまだに聴くたびに心臓を握られるがごとく心が締め付けられる感覚を受けます。
どの楽曲に対してそう感じるかは人それぞれですから、私はたまたまこの曲だったというだけで、無理にこの曲を聴いて共感して欲しいといった趣旨ではありません。
グローバルにみると、ロックがトレンドから外れて10年以上が経過し、"邦ロック"などと呼ばれる独自の延命がなされている日本においてでさえ、この5年ほどはシティポップの系譜上のアーティストに勢いが傾いた状況が続いています。
この事は、CDやレコード、ダウンロードのような売り切り型の音源ビジネスモデルからストリーミングが主流となったことで、ある種の"聴き流し"型の消費にスライドした事も理由に挙げられるかもしれません。
今回はその理由や傾向は主題ではないので、ささっと進めますが、そんな前提や現状の上で、ふと思ったことがありました。
これはあくまでも私の場合になりますが、今朝感じたような心の震えは、聴き流せるような耳当たりの良い楽曲からは得られた記憶がありません。
(「染みるぅ〜。」とか「グッとくる〜。」とかは勿論ありますが、それとは別の感覚です。)
私がロックやバンド音楽に求めている、突き動かされるような衝動や、心臓を握られるような感覚を得るには、一定以上のフィジカルに訴えかえるダイナミズムが必要なのだと気が付いたという訳です。
そう考えると、近年音楽シーンやチャートを席巻しているアーティストや楽曲を振り返るに、「良い曲だなぁ。」と思えるアベレージは高まってはいると感じますが、上述の一定以上のダイナミズムを感じる楽曲はあまり見当たりません。
音楽ビジネスやマーケティングとしては、需要を満たす供給をしているに過ぎないのでなんら問題は感じませんが、もし私のように、一定以上のダイナミズムが無いと突き動かされる衝動を感じにくい人が多数いるとなると、カルチャーとしての将来はいささか不安にも感じます。
分かりやすい例を挙げると、セックス・ピストルズやハイ・スタンダード以上に技術力の高いバンドは数え切れないほどいますが、逆に言うと彼らが超絶技巧バンドだったなら、確実にここまで大きな存在感を放つ事はできていないと思います。
そして、ここで言うところの一定以上のフィジカルに訴えかけるダイナミズムを持った楽曲だった為、多くの人が突き動かされ、「俺もバンドやりたい!」とか「生きる活力が湧いた!」というような感情を呼び起こしたようにも自分の体験を振り返った場合には思えてしまいます。
(アメリカのラッパーなどはかなりこのダイナミズムがありますよね。)
繰り返しになりますが、あくまでも”私の場合は”という話にはなるので、シティポップなどのダイナミズムとは無縁の楽曲から、これらの衝動や感情を得られる人だっているのかもしれません。
また、これは優劣の話では無く、エンタメや芸術として優れている事と、人を突き動かす表現はまた別の個性という意味合いです。
なので、前時代の老害おじさんの余計なお世話的な勝手な懸念なのだとは思いますが、素朴にそんな風にふと思ったので、今日は息抜きがてらそんな雑談を書かせていただきました。
ではまた◎
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