TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

GWに1万人規模の音楽フェスを開催したビバラ、ジャパンジャムに関する賛否と考察

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ールデンウィーク期間中に、1万人規模の二つの音楽フェスが開催され、その賛否の声が立ち上がっています。

 

ひとつは、さいたまスーパーアリーナで5月1日〜5日に開催された『VIVA LA ROCK 2021(ビバラロック2021)』

 

もうひとつは、千葉市蘇我スポーツ公園で5月2日〜5日に開催された『JAPAN JAM 2021(ジャパンジャム2021)』

 

いずれも本日全日程の開催を終え、SNSを見ると、来場者の「楽しかった!」「行って良かった!」といったポジティブな感想ポストを多く目にしました。

 

"賛否の声"と書きましたが、やはり時期的にポジティブな声ばかりではないようです。

 

今日現在の音楽ライブイベントの収容人数上限は再び5,000人までに引き下げられていますが、再度引き下げとなる以前にチケット販売済みの公演に関しては除外される事となっていた為、いずれのフェスも1万人を上限に開催が行われました。

 

 

主な否定的意見とは?

これはニュースなどでも報道されていましたが、駅やホームなどの人の密集に対し、近隣住民などの他の利用客の困惑の声や、場外での飲酒(両フェスともアルコール販売ナシ、飲酒後の来場や持ち込みも禁止)の姿などが取り上げられていました。

 

加えて、これは体感的にはかなり少なくなってきているようには感じていますが、やはりゼロリスク派の方などを中心に「時期的に開催は見送るべきではないか?」という声も散見します。

 

前者に関しては、ヤフーニュースなどにも上がっていましたが、ソースが地上波テレビ番組という事もあり、演出上かなり盛っている可能性も捨てきれないので、どこまでその困惑の声があって、場外飲酒がどの程度あったのかなど、信憑性はなんとも言えないと思ってはいます。(私は今回どちらにも行っておらず、自分の目で確認もしていませんし。)

 

後者に関しては、現在のコロナ対策のルールや条件に基づいて開催されているものなので、開催そのものについて主催側にネガを飛ばすのは明らかに誤りかと考えています。

どうしても開催して欲しくないのであれば、主催者ではなく、そのルールや条件を設定した国や県に言うべき事ですので...。

 

感染対策を行った上での開催決行

いずれのフェスも、当然感染対策を講じた上で開催を行いました。

 

マスクの着用は今や言わずもがなですが、特に混雑してしまう入場時の分散入場、飛沫対策としてのアルコール販売ナシ(飲酒後の来場や持ち込みも禁止)、ライブ鑑賞エリアのソーシャルディスタンスの目安となるパーソナルエリアのブロック分け等々。

 

ACPC(一般社団法人コンサートプロモーターズ協会)は、「コロナショック以降、加盟社による公演からはクラスターは一例も確認されていない。」と主張している通り、実際に音楽コンサートの感染対策は他業種と比べても細かく強い対策がなされているように私も感じていました。

 

度々このブログでも書いていますが、これはライブハウスが国内最初のクラスター発生源として槍玉にあげられてしまった事が理由として挙げられますが、皮肉にもそれにより、音楽コンサート業界は感染対策に非常にナーバスに取り組むマインドを手に入れたとも言えそうです。

 

大規模開催を終えたその後は?

今回の両フェスの出演者、関係者、来場者から感染者が出てしまうか否かについてはここから2週間の時間を必要としますが、 まずこの規模・期間での大規模フェスを開催し終えたことは、一つ大きなステップを踏んだと言って間違いありません。

 

そして、このパンデミックから1年以上が経過し、不用意に自粛を強要する声はかなり減ってきていますので、万一、感染者が出たとしても、よほどの感染者数でない限りは、以前ほどには「けしからん!」の声は出てこないようにも思えます。

 

もっと言えば、これはコンサート業界に限らず、飲食も観光業も同様かとは思いますが、「けしからん!」の声だけで自粛ができるほどにはもう余力もなく、ルール上、開催が許されるのであれば、少々の批判は振り切って今後は多くのコンサートやフェスが開催を決行する流れになっていくように感じています。

 

私もフリーランスではありますが、音楽ライブに案件を着地させる事が多かったので、コロナで大きな金銭的損益を被った人間だという事もあり(ライブハウスは飲食店としての給付金等があるので、それすらない私に比べたらかなりマシなくらいですよ。苦笑)、かなり反緊縮寄りの考えを持ってはいますが、今この瞬間の事だけではなくもう少しロングタームで日本の経済の事を考えると、そんな私ですら今は無理にフェスをやるべきタイミングではないという考えを持っています。

 

理由はシンプルで、これ以上死亡者や感染者増加ペースが増えてしまうと、今は「これ以上は補償も背負いきれないし。」とかろうじて営業や開催が許されていますが、これ以上に感染者数が増えてしまうとそれすらも止められてしまい、廃業や失業、そしてその後の増税に耐えきれない企業や個人が続出してしまう懸念を感じるためです。

 

だからと言って、フェスの開催をやめるべきだと声高に叫ぼうとは全く思いませんし、今やらないと廃業してしまうのであればそれを防ぐために開催して欲しいという気持ちもあります。

 

なので、正直なところ、かなり複雑な心境ではありますが、先にも書いた通り、国や県の設けたルールや条件内で開催している訳ですから、開催決行は誰も咎めて良いものではないと考えています。

 

若年者層がメインターゲットだったという幸運

加えて、この両フェスの開催決行や、来場者のSNSでの投稿を見ていて、一つ感じた事があったので、これはかなりの私見になりますがおまけで。

 

今回のビバラロックもジャパンジャムも、客層が非常に若く、10代〜20代中盤が来場者の多数を占めている事かと思います。

 

私自身もこう言った客層の音楽フェスに携わった事があり、その時の印象になりますが、この層は非常に純粋にアーティストに対する憧れとリスペクトを抱いている傾向が強く、アーティストが「やめて」「困る」と言っている事は決してやらずに守ってくれる印象がとても強いです。(分かりやすく例えるのなら、学校の朝礼のようにしっかりとアナウンスに沿ってくれます。)

 

これが例えば、もっと高い年齢層だったり、極端に言えばパリピだったりしたらそうはいきません...。

年齢を重ねている分、自身の思考や思想で行動もされるでしょうし、パリピに至っては実体験から言いますが本当に誰にも止められません...。(汗)

 

これが幸運の一つ。

 

加えて、弱年齢層がメインターゲットであるという事は、中には学生も少なくはないでしょうし、社会人だったとしても、まだ職歴も浅かったり、非正規雇用だという割合も高めであると想定されます。

 

今尚、社員に対して外出を禁止する企業は少なくないでしょうし、コロナ禍で給与が下がったり、下がらずとも今後に不安を覚えている人も多いように私は現況を理解しています。

 

まだ社会に出ていなかったり、勤め先が潰れても転職すれば良いやと考えやすい若年層は、この現実や不安が比較的少ないのではないかと考えたという訳です。

 

つまり、より高年齢がメインターゲットの場合には、「俺もそれどころじゃない。」と考える人の割合が高まるのではないかという仮説です。

 

最後に(まとめ)

途中に書いた通り、私自身の考えや想いとしては少々複雑な所もありますが、一つ確かなのは、このブログ記事を通して、なんらかの考え方に誘導したいといった事は一切無いという事です。

 

ビバラの鹿野さんは仕事でもお会いしたりDJイベントで一緒にDJをして飲ませていただいたりもしていますし、ジャパンジャムにしても仕事で関わらせていただいていました。

加えてもちろん、私自身も音楽コンサートをフリーランス転身以降も主な仕事の一つにしていました。

なので、そちら側のポジショントークになる事はこれまで多かったと自認していますし、そういった注釈も入れたりしていましたが、今回に関しては、かなり客観的にまとめ、忌憚なく話したつもりです。

 

ですので、今後も開催都度、賛否が分かれるであろう音楽フェスの開催を支持するにせよ、否定するにせよ、深めに情報や状況をディグってご判断いただける事だけを望んでおります...。

 

ではまた◎ 

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