TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

音楽フェス批判を見て感じた「黄色は止まれ」に対する考え方の違い

f:id:TinyBicycleClub:20210920203323j:plain

次ぐフェス中止を見ていて、ふと思った事をひとつ、今日は短めに。

 

音楽業界の中でも、昨今は主要産業でもあり、アーティストの重要な収入源となっていた音楽フェスティバルの中止が立て続けにアナウンスされている事は、報道でご存知の事かと思います。

 

大きな理由としては、新型コロナ感染拡大の状況を鑑みてという事は言うまでもありませんが(この数日間は感染は縮小傾向にはありますが)、もう一つ大きな理由は「密フェス」とも呼称される「NAMIMONOGATARI」の不十分な感染対策の中でのフェス開催でした。

それに関しての考察や所感は既に以下の記事に書いているので、そちらをご参照いただければと思いますが、今回「ふと思った」事はもう少し根本的なお話になります。

今一度、音楽フェスやコンサート業界が置かれた立場をおさらいしてみます。

  • ガイドラインに従った開催は公的に認められ、補助金の受給対象にもなる
  • ガイドラインに沿わない場合、法的な処罰対象ではないが、補助金が受け取れない・大きな社会批判にさらされるリスクが大きい
  • 中止判断は主催側に委ねられている
  • 中止理由は、批判や炎上の回避が主であると推察される

かいつまむとこんなところでしょうか。

 

その上で、音楽フェスティバルの2020年の市場規模は、前年から98%減という目を疑うような窮地に立たされています。

 

で、フェス中止にまつわる事でふと思った事というのは、本記事の見出しの通り、「黄色は止まれに対する考え方の違い」というものです。

 

道路交通法上、黄色信号は

「安全に停止できない場合を除いて、必ず停止線の前で止まらなければいけない」

と定められています。

 

これを現在の新型コロナ感染状況と音楽フェスに置き換えてみれば、「安全に開催できる」とは言い切れない状況と言えるでしょう。

前回の記事で書いた通り、コロナ禍でフェスをやる以上、どんなに対策をしても感染者が出る可能性は間違いなくあります。

 

しかし、その一方では、その点を許容したガイドラインが作られている事も、前回触れました。

 

この事から私は、黄色信号を以下のように解釈しました。

 

感染可能性で考えれば、黄色信号と言える現在の状況ですが、その可能性を許容したガイドラインが作られているという事は、黄色信号の定義が変わったと言って良いのではないかというものです。

 

もう少し細かく言うと、前年比98%減という音楽フェスの置かれた状況というのは、当事者にとってはコロナ感染以上に危機的状況と言って差し支えないと思いますし、政府からすると、補助・助成金でそのロスを全て支払うという判断はできません(したくない?)ので、開催してもらうほかないのです。

 

音楽コンサート業界側の視点で言えば、この黄色信号で停止する方が危険であるので、黄色でも停止せず進む為に作られた"黄色信号の定義の書き換え"として出されたのがガイドラインだとも思えます。

 

こんな風に、ふと思ったわけです。

 

しかしながら、音楽フェスティバルの壊滅的な状況や、開催にあたってのガイドラインの内容を把握している人はごく少数でしょうし、多くの人は音楽フェスに行った事もなければ、無くても問題のない不要不急で無用の長物という認識だという事も理解しています。

 

そう言った方々からみれば、「開催する以上、感染のリスクがあるのであれば、開催するなよ。」、つまり「黄色なんだから渡るなよ。」と考えても仕方がないでしょう。

 

これを私は、「黄色は止まれに対する考え方の違い」のように感じたのです。

 

音楽フェスに限らず、1年半以上の間、経済活動が大きく制限されている事業者にとっては、そのことが最も"黄色信号"と言える状況ですし、その点を重く見ての政府のガイドラインです。

しかし如何せん、コロナ禍と言っても、経済的には特段ネガティブな影響を受けていない業種はいくらでもありますし、被雇用者の大半は不安はあるにせよ「今は給料も出ているし大丈夫。」と、経済的な深刻さとは無縁なので、どうしてもゼロリスク寄りの傾向になりやすいように感じます。

 

そういった比較的コロナからの実害の少ない方々に向かって、音楽フェス当事者が「やらないと倒産・破産する」といくら訴えたところで、なかなか理解してもらえないでしょうし、「その仕事選んだ自分が悪いんじゃね?」とさえ思う方も少なくないでしょう。

 

ゼロリスク寄りに傾く方の多い背景には、もしかしたら「黄色や点滅は止まれ」と幼少から叩き込まれていたり、夜間などで車通りが一切ない場合でも赤信号なら渡らないという人も日本人には多い気もしますので、「少しでも感染リスクがあるのに動くなんてあり得ない!」といった黄色信号を遵守する倫理・道徳感が強めにあるのかな?とも思ったりしてしまいましたが、どうなんでしょう...?

 

そんな事をふと思っている中、一昨日、昨日と有観客で行われたSUPERSONICが、「どこかに火種はないか!?」と粗探しに躍起になるけしからん警察を完封する徹底した感染対策の上で開催を無事に終えたので、これで「フェスがダメなんじゃ無くて、NAMIMONOGATARIがダメだっただけなのね◎」というムードに変わってくれる事をお祈りして今日はこの辺で。

 

ではまた◎ 

にほんブログ村 音楽ブログへ

 

※今後新たにスタートしていきたい企画やサービス・情報もあるので、以下のLINE@やTwitterのフォローもお願いします◎