TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

コーチェラが3度目の延期発表。「行かない1年」を皆が知ってしまったという新たな懸念や不安

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行った事は無いのに、毎年Tシャツはお土産でゲットする筆者...。

界最大級の野外音楽フェスティバル『コーチェラ・フェスティバル』の3度目となる延期が先週発表されました。

 

先日グラストンベリーの中止もアナウンスされたばかりでしたので、多くの音楽ファンにとっては覚悟していた事かとは思われますが、このコーチェラの延期についても状況をおさらいしてみたいと思います。

 

 

コーチェラ・フェスティバルについて

正式名称は「コーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル」。初開催は1999年、来場者数は25万人にものぼります。

カリフォルニア州にあるコーチェラ・ヴァレーという砂漠地帯で行われる野外音楽フェスティバルで、例年は4月中旬頃に2週に渡り行われています。

 

その規模の大きさや4月という早い開催タイミングから、その年の音楽フェスの出演アーティストの傾向やトレンドを反映するフェスティバルとしても注目度の高いフェスと言えます。

 

コロナを理由とした3度目の延期について

延期プロセスのおさらい

今回の延期発表は新型コロナウイルスによるパンデミック以降3度目となります。

 

例年のスケジュール通り、2020年4月に予定されていた開催は半年後の同年10月にリスケジュールされました。

更に、10月の開催についても開催地であるアメリカでの拡大する感染状況から再延期となり、2021年4月を再延期として開催予定でした。

 

これで3度目の延期が発表された形となってしまいましたが、延期開催についての具体的な日程はまだアナウンスされていません。(おそらく再度10月が候補になると言われてはいます。)

 

「行かない1年」を皆が知ってしまった事による懸念

昨年10月に再延期を発表した時点から、2021年4月開催も難しいのではないかと多くのメディアでも言われていましたので、悪い意味で想定内にはなってしまいますが、正直なところ私は今年の10月も難しいと思っています。

 

コーチェラでもグラストンベリーでも、フジロックでもサマーソニックでも同様かと思いますが、長年多くのファンを楽しませ魅了してきた巨大フェスティバルを待望する声は非常に大きいと思います。

 

その事から、延期が重なるほどに、自粛期間が長引くほどに、開催ができた際には大きなカタルシスとブーストがフェスやイベント市場にかかるのではないかとこのブログでも何度か書いてきました。

 

しかし、ここまで事態が長引くと別の不安も湧いてきました。

音楽フェスはもはやそれぞれがその季節の風物詩となっています。

毎年その季節に同じ場所で行われる事で、参加する事がある種のルーティンとも言える状態になっている人も少なくないでしょう。

延期・中止が3度4度となると、このルーティンは崩れます。

 

つまり、「行かない1年を知ってしまった(慣れてしまった)。」事で、これまでの参加者の何割かが離脱してしまうのではないかという不安です。

 

「そんなヤツいるか??」

と、音楽ファンであれば思うかもしれませんが、特に強い音楽への関心がなく、ある意味"なんとなく"来場するというお客さんは案外多いです。

例えば、以前取り上げたMMD研究所による調査結果によると、ライブの参加理由の問いに対して【家族・友人の付き合いで参加したから】と回答した人は12.3%もいます。

私も遊園地や映画、スポーツ観戦などは自分で積極的に行くことはありませんが、誘われたら割と前のめりに行ったりしますし、同じような事でしょう。

 

音楽フェスが風物詩やルーティンから外れてしまうという状況までいってしまうと、こうしたライト層の顧客離れが顕著になってしまうというのが、私が新たに感じた懸念や不安です。

「行かなくても特に問題なかったじゃん。むしろ10万円貯金できた◎」

みたいな...。

 

加えてもちろん、コロナによって経済的損失を負った人であれば金銭的なハードルも高まりますし、浪費は控えないとと考える人だって増えるでしょう。

勤務する会社によっては、音楽フェスに参加している事を秘密にする必要がある人もいるでしょうし、慎重派の声を気にして言いづらいということも有り得ます。

SNSを大きな波及効果としてきた音楽フェス市場としては、そんな風にこっそり参加するスタイルの比率が高まってしまうと勢いを失いかねません。

 

仮にこの懸念通りに一定数の顧客離れや失速が起こったとしても、そもそも毎年ソールドアウトするようなフェスであれば、チケット購入倍率が変わるだけで、満員の場内を維持できるので大きな問題はないですが、リクープラインの線上で続けてきたフェスにとっては少々のロスが存続に影響する場合もあるのではないでしょうか。

 

最後に(まとめ)

コロナというウイルスに対してではなく、"コロナ禍"への免疫はこの1年でずいぶんとついたので、ビジネスを行う側も、サービスを享受する側も、やり過ごし方や事態の受け止め方もある程度心得ており、これ以上はマインド面を原因とした来場控えや顧客離れは起こらないようにも感じはするので、今回はちょっとした懸念・不安を挙げてみました。

 

私もそうなので実感として分かるのですが、イベントを主催する側に立つと、声をくれるのは音楽ファンばかりになるのでその声しか聞こえなくなってしまいますが、データを見たり他のエンタメに置き換えてみると、案外大きな思い入れなく来場されている方に支えられていたりもすると思うので、ノーケアにしない方が良いかもしれないですね。というお話でした。

 

大型フェスの再開時期に関しては、ひとまずはオリンピック次第(特に日本においては)になるかとは思いますが、有観客での開催というのはちょっと現実的ではない状況ですよね。

 

ではまた明日◎ 

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