一昨日、世界最大規模を誇る英国の野外音楽フェス「Glastonbury Festival(グラストンベリー・フェスティバル)」の2021年の開催中止が発表されました。
客観的に考えれば開催できる可能性は極めて低いと理解していましたが、心情的にはいたたまれないものがあります...。
中止は2020年に続き2年連続となり、その理由はもちろん新型コロナウイルス感染拡大によるものです。
主催者のマイケル・イービスとエミリー・イービス親子は、
「天地を動かそうと尽力したが、今年のフェスティバルはどうしても実現できないことが明らかになった」
とTwitter上で中止アナウンスを行いました。
個人的な想いを少し話すと、私は1999年のフジロック苗場初開催に足を運んだことから、それまでのアパレルの仕事から音楽の仕事に転向することを決めました。
そんな自分にとって大切で重要だったフジロックがロールモデルとしていたのが、1970年から毎年イングランドの農場で開催されるこのグラストンベリーフェスティバル。
今でこそコーチェラやEDM系をはじめとする巨大フェスは多数ありますが、やはり自分にとって音楽フェスと言えばグラストンベリーなので、憧れもひとしおです。
そんな思い入れもあり、私自身はまだ会場へ足を運んだ事はありませんが、最も行ってみたいフェスティバルです。
50周年となる2020年開催では13万5000枚のチケットが販売済みとなっており、2021年開催に繰り越して使用可能予定でしたが、これも2022年に更に繰り越されるとの事。
また、英音楽業界団体「UKミュージック」によると、
「グラストンベリーが地域にもたらす経済効果は1億ポンド(約140億円)を超える。」
とその影響の大きさを伝えています。
加えてUKミュージックは、
「新型コロナの影響でライブイベント業界が壊滅的な打撃を受けており、夏の音楽フェスティバルが永遠になくなる恐れがある」
として、イギリス政府に支援拡大を求めていたそうです。
一つ前の記事では、イギリスの音源市場の好調ぶりを伝えたばかりですが、コト消費であるコンサート業界は日本同様に非常に難しい局面を迎えていると言えます。
音楽業界の主役はアーティストであり、そのアーティストが存在する限り、音楽業界やビジネスは不滅であると幾度もこのブログでは書いていますし、音源ストリーミングやサブスクリプションサービスの浸透により、業界全体の売上は上昇傾向でもあります。
だからと言ってそれをそのまま"音楽業界"と一括りにする事はできません。
グラストンベリー主催のイービス親子による
「天地を動かそうと尽力したが」
という表現や、UKミュージックの
「夏の音楽フェスティバルが永遠になくなる恐れがある」
という声明はその切迫感を端的に伝えています。
おそらく、オンラインを主戦場とした音源ビジネスによって音楽業界全体のその売上規模は上昇を続け、好調が伝えられる機会も増えると思われます。
しかし、もしもあなたがその場その目でパフォーマンスを体感できる"ライブ"でのアーティストとの再会を望むのであれば、「ああ、音楽業界って好調なんだ。」と理解するのではなく、オフラインのリアルな現場のことも少し気にしてみて欲しいです。
ほとんど全てのアーティストは、どんなに音源で人気やお金を手にしていても、目の前の観客の前でライブをしたいと思っていますから。
ではまた明日◎
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