他に取り上げることが色々あったので、少しタイミングが遅れてしまいましたが、イギリスの音源セールスのお話です。
タイトルにある通り、ストリーミングの好調を示す内容になりますが、基本的に音楽に限らず多くの事柄は、一定のタイムラグをおいて日本でも起こる可能性が高いと考えられますので、ポジティブに変換して読み解ける情報だと私は捉えています。
また、今回取り上げる情報はUDiscoverMusic掲載記事を参照しています。
2020年UKアルバム&シングル年間ランキング
2020年UKアルバム年間ランキング
- ルイス・キャパルディ『Divinely Uninspired To A Hellish Extent』
- ハリー・スタイルズ『Fine Line』
- デュア・リパ『Future Nostalgia』
- ビリー・アイリッシュ『When We All Fall Asleep, Where Do We Go?』
- ストームジー『Heavy Is The Head』
- ポップ・スモーク『Shoot For The Stars, Aim For The Moon』
- エド・シーラン『No. 6 Collaborations Project』
- クイーン『Greatest Hits』
- エルトン・ジョン『Diamonds』
- フリートウッド・マック『50 Years – Don’t Stop』
アルバムチャートでは、2019年発売のルイス・キャパルディのデビュー・アルバム『Divinely Uninspired to a Hellish Extent』が2019年に続いて1位になっています。
2年連続のUK年間アルバムチャート1位は史上6番目となる快挙になるそう。
往年のベテランアーティストも複数ランクインしている点も興味深いです。
2020年UKシングル年間ランキング
- ザ・ウィークエンド “Blinding Lights”
- トーンズ・アンド・アイ “Dance Monkey”
- SAINt JHN “Roses”
- ルイス・キャパルディ “Before You Go”
- ジョエル・コリー feat. MNEK “Head & Heart”
- デュア・リパ “Don’t Start Now”
- ダベイビー feat. ロディ・リッチ “Rockstar”
- ルイス・キャパルディ “Someone You Loved”
- ストームジー, エド・シーラン, バーナ・ボーイ “Own It”
- ハリー・スタイルズ“Watermelon Sugar”
シングルではザ・ウィークエンドの「Blinding Lights」が1位を記録し、セールスだけでなく最もストリーミングされた楽曲も同曲となっているそうです。
これに加え、英国レコード産業協会(BPI)が1月4日に発表したデータによると、英国の録音音楽消費量は年間で8.2%増加したとも伝えられています。
イギリスにおける音源市場の現在
2020年のUKでは、2019年と比較して20%以上の増加となる1,390億回のオーディオストリームが記録されたそうです。
その中で、1億回以上の再生を記録するアーティストは約200組とされています。
アルバムセールスについては、1億5500万枚相当の売り上げを記録し、売上額だけを見ればコロナ禍による悪影響はほぼ受けていません。
これを受けて英国レコード産業協会は、
パンデミックが「ライブ部門に壊滅的な影響を与えた」としながらも、原盤音楽の需要は「最初のロックダウンが始まった頃には落ち込んでいたが、ストリーミングだけではなくLPやCDといった物理的なフォーマットでの売り上げは回復し、1年を通して増加した」と報告している。
以下の過去記事はじめ、度々考察している通り、原盤音楽のビジネス規模はイギリスにおいても拡大傾向にあるようです。
加えて以下のような報告もあります。
現在UKの音楽消費全体の5分の4(80.6%)をストリーミングが占めるようになったとも発表。
しかし、2020年もフィジカルフォーマットの売上は好調で、特にアナログ・レコードの売上は約480万枚となり、昨年比で10分の1以上(11.5%)増加した。
もはや「絶好調」の一言ですね。
加えて、英国におけるアナログ・レコードの売り上げは13年連続の増加、カセットの売上は倍増して15.6万枚、CDの売り上げ枚数は全体の10.3%に相当する1,600万枚となっています。
アナログレコードの好調は度々話題として挙がっていますが、(元レコード店主でもある)私の考えとしては過去に以下の記事でまとめた通り、あくまでもミクロな話だと思っています。 (好調といっても年間累計で480万枚ですし。)
なので、私にとってのこの情報の要点は、ストリーミングの好調によって音楽ビジネスが売上規模を拡大しているという点です。
日本でも既に同様の傾向にありますが、CDがまだ根強くセールスされていますので、伸び代としてはイギリス以上にあるかもしれませんよね。
最後に(まとめ)
イギリスにおいては、前年比20%増、全体の80%を占めるストリーミングという結果になりましたが、まだまだこの割合は高まる事が容易に推察できます。
かといってCDやアナログレコードが存在しなくなるとは私は考えていませんが(今や便利ではありませんが非常に優れたパッケージ商品であると思っているので)、今のように大量にプレスして流通させるような物ではなく、アーティストが独自に制作して直接販売する形でのみ残ると思っています。
レコードオタクで元レコード店主でDJもしていた私にとって、ジャケットデザインにシビレ散らかして物体として共に存在するレコードは最高のカルチャーでしたが、それを素晴らしいと若者に押し付けてもなんの意味もないですからね。
そんな事よりもストリーミングやインターネットによって良質な音楽が適切に伝わるようになる未来を期待する方が私は楽しく嬉しいです。つまり喜ばしい傾向ですよね。
レコードの素晴らしさは、たま〜にジジイ同士で「レコードカルチャーって最高だったよね。」と酒のツマミにするくらいで十分かなと。笑
ではまた明日◎
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