TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

グラストンベリーにイギリス政府から1億3500万円の文化支援基金が支給

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年2020年7月に発表されていた、イギリス政府による15億7000万ポンド(約2300億円)の文化支援基金。

今年に入り、この予算は18億7000万ポンド(約2800億円)に増やすことも公表されています。

 

この支援金により、グラストンベリー・フェスティバルに対し、90万ポンド(約1億3500万円)が支給されたというニュースが先日ありました。

 

この英国の文化支援基金は、新型コロナウイルスのパンデミックによって経済的影響を受けたライヴハウス、独立系映画館、美術館、博物館、劇場等に支給されたそうです。

 

今回の支給では、予算の約1/4にあたる4億ポンドが2700の団体に配布されたとの事で、グラストンベリー・フェスに関しては、

「2021年に2つの小さなイベントを行い、2022年にフェスティバルを開催するのを支援するために」

として、この支援金を受け取ったと報じられています。

 

音楽関連組織に対し、この金額を貸し付けではなく直接支給するというのは現時点で日本では聞いた事がないので、シンプルに「羨ましい話だなぁ。」とも一寸思いましたが、「2021年に2つの小さなイベントを行い〜」という前提が書き添えられている事から、以下の記事で触れた日本の話同様、何かしら再開に向けたポジティブな姿勢を示す事が受給条件に組み込まれているのかもしれませんね。

金額についても、巨額であることは間違い無いのですが、グラストンベリーの規模を考えると焼け石に水な印象も受けます。(ヘッドライナー1組分のギャラ相当なので。とはいえキャッシュで1億は状況を鑑みると救われますよね。)

 

仮に焼け石に水だったり条件付きだとしても、主催者のイーヴィス親子は

「文化支援基金から貴重な資金をいただいたことに非常に感謝しています」

「2度のフェスティバルの中止で多額を失ったので、この資金は私たちの未来を保証するにあたって大きな違いを生み出してくれると思います」

とのステイトメントを出していますし、言うまでもなく、何も受け取れないより救われる事は間違いありません。

 

ちなみに、グラストンベリーは以下の記事でも触れた通り、2020年に続き2021年も開催中止を発表していますが、先ごろ無観客配信ライヴイベントとして、『ライヴ・アット・ワージー・ファーム』の開催を発表し、コールドプレイやデーモン・アルバーン、ハイムらの出演が決定しています。

対して、日本において、音楽フェスに対してはイギリスのような支援は現状行われていません。(詳しくは以下の記事で。)

例えばGo Toイベントの予算は1200億円(うち280億円は事務委託費に...。)と、それなりの数字には見えますが、その内容はご承知の通り、なかなかセンスの無い座組みとなっており、直接的に事業者を救済するような内容だとは感じにくいものでした...。

 

無論、直接的にキャッシュで事業者を支援するとなると、申請をしても給付されない事業者も出てくると思いますし、日本にはその状況が届いていないだけで、「不公平だ!」といった声は多くあるのかもしれません。

 

日本においてもイギリスにおいても、基本としては集客の場となる会場に対しての支援が多くを占めているので(日本の場合、ライブハウスは飲食店としての補償対象となるのが主軸)、フェスのプロモーターだったり、例えば私のような二次的に経営被害があった音楽関係事業者が支援対象になるのは困難です。

 

だとしても、個人的には平等性を優先してせっかくの予算が広く薄く使われ、結局どの事業者も助からないくらいであれば、不公平感が多少噴出しても、直接キャッシュで支援する方が音楽業界の未来にとってはベターな気がしてしまいます。(そのくらいの状況に差し掛かっていますし...。)

 

この支援金は、グラストンベリーの他にも、リーズのライヴハウス『ブルーデネル・ソーシャル・クラブ』に対して21万3853ポンド(約3200万円)を、ロンドン『ラウンドハウス』には150万ポンド(約2億2500万円)が給付されたと伝えられています。

(会場に対する支援金としてはかなり大きいですよね。ライブハウスは従業員数的にフェス主催会社よりも固定費は掛からないようにも思うのですけど....。)

 

また、この支援金についてオリヴァー・ドーデン文化相は、

「記録破りのこの文化支援基金は既に経済的危機に直面しているこの国の文化遺産事業を続けさせる上で大きな頼りとなってきました」

「今回も彼らの側に立つことで、それぞれが観客を迎え入れる準備をすることができます。今後よくなった時に文化的な宝が再開して前進することを手助けしたいのです」

 と発言しているとの事です。

日本ではライブハウスや音楽フェスが"文化遺産"であるとはジャッジされてはいないと私は感じているので、日本の政治家の方々も伝統と文化を混同せずに、海外の輸入文化が独自に発展した日本のライブエンタメではありますが、今一度文化や経済活動としてどのように貢献しているのかを考え直して頂ければなぁと思う次第でありました。

 

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