TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

2020年の音楽フェス市場が前年比98%減という調査結果を受けて

f:id:TinyBicycleClub:20210423194246j:plain

「音楽フェスの市場規模が97.9%減に。」

 

なかなかにショッキングな数字でもありますが、考えてみればそれはそうなってしまいますよね...。

このマーケットの主となる、数万人規模のビッグフェスは一つもフルキャパシティでは開催していないのですから...。

 

この市場規模についてのデータは、ぴあ総研が4月16日に公表したもので、「2020年の音楽ポップスフェス市場に関する調査」という形で実施されたそうです。

 

この発表によると、音楽フェスの市場規模は前年2019年の330億円から97.9%減となる6.9億円

総動員数は295万人から96.8%減となる9.3万人となるそうです。

 

この調査対象となったのは、"ポップス分野"ということで、具体的にポップスの定義をどのようにしたのかは明言されていませんが、伝統音楽やクラシック音楽の大きなフェスというのは聞いたことがありませんので、イコールほぼ全ての音楽フェスと考えても良いかと思います。

 

また、調査対象とするフェスティバルの定義としては、"同時間帯に複数アーティストが出演する形式"としていました。

 

金額の算出については、チケットの販売額を推計したもので、オンラインライブは除外した数字となるそうです。

 

近年ずっと右肩上がりの成長を見せてきた音楽フェス市場でしたが、その成長を根幹から揺るがす大きな数字の転落であるのは間違いありません。

 

その理由は当然、新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言や、中止・延期・規模縮小要請、そして同調圧力とも言われる世論の強い開催への風当たりでした。

 

2020年5月以降は、開催における人数制限緩和も段階的に行われていた物の、夏フェスとして象徴されるフジロックやサマソニなどのビッグフェスは有観客の開催すら行えておりません。

 

 

2021年も1/3を過ぎようとする今現在も、これらの制限やムードに大きな前進は見えず、まん防こと"まん延防止等重点措置"の適用なども新たに始まり、「2021年こそは!」と多くの関係者やファンが願っている夏フェスシーズンの再開さえ危ぶまれています。

 

いずれにせよ、2021年の段階では、フルキャパシティでの開催は現実的に難しいと私も多くの関係者も考えてはいるはずで、一定の人数制限下での開催を想定していました。

 

この人数制限下での開催についてですが、例年通りの出演者ラインナップや設備で開催をした場合、おそらくほとんどのフェスが赤字、もしくは採算ラインに届くかどうかの収益しか見込めないと思われます。

 

というのも、音楽フェスの開催コストというのは他の集客ビジネスに比べ、非常に高く、一概には言えませんがチケットソールドアウトを100%とすると、70%前後くらいは販売できないと採算ラインを超えることができないというのが一般的かと思われます。

(世論の風当たりが強くなるほど、協賛も付きづらくなりますしね...。)

 

つまり、現在の状況下で仮に開催が行えたとしても、「赤字覚悟、もしくはトントンなら御の字。」という主催者も少なくないと私は想定しています。

 

音楽フェスやコンサート事業者や従事者の多くは、もちろんビジネスでもあり職業としてその業種に携わっているのですが、文化・カルチャーとしてそれを愛し、信じているか方が非常に多いのです。

 

これを、「知ったことか。」と素通りすることはそれぞれの自由ですし、私自身も正直「向こう数年はフルキャパで同じように動員するのは難しいと容易に想像できたのだから、業務のピボットすれば良いのに。」とは思ったりもしますが、音楽文化・カルチャーへの想いや心意気については同じ物を抱いてもいますので、多くのみなさま、つまり世論には、積極的に応援してとは言いませんが、せめて不要な自粛警察やアンチにはならずに、そっと見守って欲しいと願うばかりです...。

 

これは、飲食店についても同様に思ってしまいます...。

誰も外食そのものをしてはダメだとは言ってませんし、営業は認められているというのに、なぜか外食を一切絶っていたり、外食する人や飲食店にネガティブワードをブツけている方を見ると、本当に飲食店の方が気の毒に思えてなりません...。 

(お一人で小さな飲食店を経営されている方は、むしろウハウハの様子もありますけど...。苦笑)

 

今はあなたの業種にコロナの影響が少なくても、どこかのマーケットが落ち込むという事は、時間差であなたの業種や収入にも必ず影響が起こりますから、邪魔はしないほうが得だとも思いますよ...。

特に飲食業界が与える影響範囲は大きいはずなので...。

 

ではまた◎ 

にほんブログ村 音楽ブログへ

 

※今後新たにスタートしていきたい企画やサービス・情報もあるので、以下のLINE@やTwitterのフォローもお願いします◎