TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

Clubhouse(クラブハウス)の音楽業界での使い道を考えてみる

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Clubhouseのアイコンの人に血の繋がりを感じる筆者...。

待たせいたしました。

突如として話題をさらいまくっているClubhouse(クラブハウス)のお話をしてみたいと思います。

 

先月末の以下の記事の最後では、招待が届かないことを嘆いていましたが、それを読んだ友人がすぐさま招待してくれて無事、オンライン上の孤島に取り残されずに済みました。涙

登録をしてから丸々1週間は、「なんだか私には使い道なさそうだな...。」と、事務的にフォローバックをするだけのロム専どころかログイン専状態でしたが、いよいよ昨夜、使ってみました。

 

 いざ利用をしてみると、思っていたよりも楽しみどころはありそうでしたし、何より多くの人が楽しむ為の利用ではなく、「どう使うか?」と、活用方法を思考錯誤しているタームのように感じましたので、私も一緒になって考えてみたいと思います。

 

 

Clubhouse(クラブハウス)概要

アメリカ発の招待制音声チャットソーシャルネットワークアプリケーションで、2020年4月にローンチしたサービス。

開発したのは、元Google社員のポール・ダヴィソンとローハン・セスの2人で、いわゆるゴリゴリのシリコンバレーのIT起業家になりますね。

 

現在はベータ版でのサービス提供となるため、iOSのみの対応しており、Android用アプリは開発中で未対応となっています。

 

利用は18歳以上、本名による登録が必要となり、招待制によってサービスの利用が可能です。

招待枠は1アカウントに対して2枠与えられ(2/5からは5枠に増枠。また、一定の条件を満たすと招待枠が追加付与されます)、招待希望対象の電話番号を電話帳に登録している事が招待条件となります。

 

日本では、2021年1月23日から運用が開始となっており、1月28日にはAppStoreの「無料アプリ」ランキングのトップになるなど、爆発的な利用者拡大を見せています。

また、現時点でインターフェイスは日本語に対応しておらず、英語のみ対応となっています。

 

Clubhouse(クラブハウス)の第一印象

「音声コンテンツの時代が来る」

とあちこちで言われ続けていたので、その一種として音声のみに狙いを絞ったサービスなのだろうというのが最初の印象でした。

 

招待制というのは、我々アラフォーmixi世代には懐かしいワクワク感は確かに感じましたし、「利用してみたい。」というサービスそのものへの興味以前に、「とりあえず招待だけはされておきたい。」という不安に近いものが感情としては優先されたように思っています。

 

いざ招待を受け登録をしてみると、日本語未対応ながら非常にシンプルなUIで、手軽さは感じたものの、「喋るだけなら電話かビデオ電話で良くない?」とか、「わざわざ不特定多数に向かって会話を流そうとは思わないかなぁ。」といった気持ちが上回り、実際に活用をすることは登録から1週間の間ありませんでした。

 

いわゆるロム専的に著名人などの会話を聞いて楽しむという活用方法も考えられましたが、私既に、VoicyやYouTube、ラジオで耳の可処分時間がパツパツでしたので、冒頭に書いた通り、フォローバックをたまにする程度しかアプリを開くことはありませんでした。

 

で、昨夜。

以前インタビュー相手としてこのブログにも登場いただいたBuzzFeed Japanの友人から、

「アーティストへのインタビューに使ってみては?」

と提案され、

「それもそうね。でもまだClubhouse使った事ないから練習相手になって。」

とClubhouse筆下ろしを2人で夜な夜な行ってみた訳です。

 

初夜という事で腰の引けた我々は、「Open」設定ではなく「Social」という自身のフォロワーにしか発信されない皮かむりスタイルでの入室になりましたが、実際に体験をしてみると一皮ムケて随分とオトナになれました。

 

お互いに初めてという事で、言わば電気を消した暗闇でのプレイのような形でしたので、30分ほどは誰も我々のルームへ入室する人は現れず、2人で愛を育みました。

すると、ピコン!とアラートが表示され、我々の愛の巣への入室者が確認されました。

 

とはいえそこは皮かむりスタイル。

身内しか入室する可能性はなく、良く知ったDJ仲間でしたので我々は快く彼を迎い入れ、既に幾度かClubhouseでのプレイを楽しんでいた彼から心得などを学ぶ事ができました。

(ここまで、下っぽい表現過多で申し訳ございませんでした...。)

 

音楽業界での活用方法はありそう?

実際にスピーカーとして使ってみて感じた事

まず、「電話とどこが違うの?」という特に多いであろう疑問に関しては、「何時から喋ろうか。」と待ち合わせた上で2人で会話するのであれば、電話と同じです。

 

昨夜はフォロワーにしかリーチしない"Social"設定で行いましたが、"Open"にしたとしても、有名人もしくは同アプリ内で活発に様々なルームに行ったりフォロワーを増やす努力をしていない限りは、おいそれと知らない人が入室したり会話に参加したいと願い出てくることもあまりないでしょう。(「挙手」して許可されると、喋る側(スピーカー)に回る事ができます。)

 

ただ、フォロワー(知り合い)とはいえ、我々が話をしているルームを見つけて入室してくれるのが誰になるのかは分かりませんし、昨日はたった1人とはいえ、話す予定に無かった相手と会話をする機会が生まれたのは、素朴に嬉しく楽しいものでした。

 

この「予定にない相手との会話の機会が生まれる」というのが、このサービスの1番の特色なのだろうと思った事。

加えて、複数人でのクロストーク通話に対応したタイムラグの少なさや、音声接続の安定感も魅力の一つと言えると思います。

 

なので、まず昨夜使ってみて感じたのは、「ビジネスにこうやって活かせる」というよりも、「身内で暇な時間に気軽に喋り相手が見つかるツール」として利用機会があるかもなぁ。というものでした。

 

音楽業界での活用方法について

既にそのようにも言われ始めていますが、Clubhouseの設計や聴き手側の需要上、著名人にとっては非常に広く大きな利用可能性はあると思いました。

 

ファンクラブやオンラインサロン、購入特典など、既に一定以上のファンや顧客を抱えた状態であれば、それらの特典として「会話ができる」や「会話が聞ける」を付加価値やサービス向上に繋げることができるでしょう。

 

音楽業界で言えば、アーティストは何がどう転んでも主役であり、その事から関わる人間の数さえ効果的に削れば収益設計はいくらでも可能だと私は考えているので、今後続々アーティスト発信のサービス提供は増えると思っています。

 

例えば上記の活用方法ほか、アカペラや弾き語り、作曲過程を披露したり、ライブ打ち上げトークを聞かせたり、逆にClubhouse上で発信した合言葉などをリアル会場でのなんらかの特典や割引に紐づけるなど、かなり無限にアイデアは出てくると思っています。

 

問題は(無理に使う事もないので問題って訳でもないですけど。笑)、音楽関係者、いわゆる裏方側による活用方法です。

 

これは楽曲の権利を持たない会社や個人がライブ配信で収益化を図るのが難しいのと同じ理屈で、アーティスト本人、レーベル、事務所以外が有効に使うとなると少々頭を悩ませます。

 

私が実際に初利用するきっかけとなった「インタビューに使ってみたら?」という用途は、既にそのような活用もいくつか散見しましたし、アリだと私も思います。

 

ただ一つ障壁を今日感じてしまいました。

著名な音楽ライターさんがインタビューしているのを見かけたので聞いてみたのですが、トークスキルが不足していて非常に聴き心地が悪かったのです...。

これはその方への批判ではなく、ライターさんは喋りのプロではなくライティングのプロですから仕方のない現象だと思いました。

 

ジェットカット編集や早口による時短やQOLを意識した発信や受信になれた人にとっては、ぎこちないトーク進行はストレスに感じましたし、タレントのようなユーモアも期待できず、効率的に情報収集や娯楽が楽しめているようには感じることができませんでした。

 

従って、オープンにインタビュー音声を公開する事に価値を作るとするのなら、質問者のトークスキル、またはアーティストの強い求心力が必須になるかなぁと感じました。

 

それ以外には、権利や稼働条件のハードルはありつつも、やはりアーティストとの接触機会を設計するか、裏側の公開やQ&Aのような形が現実的かもしれません。

 

前者はアーティストとの条件交渉や許可取り次第なので割愛しますが、後者は顧客の満足度向上や新規顧客獲得に役立てることができるかもしれません。

 

割とヤンチャな私でさえも、このブログでも触れても大丈夫そうな範囲しか触れていないくらいですから、音楽業界というのは今も「で、実際何しているの?」など、その裏側が消費者側にはほとんど伏せられています。(もちろん悪い事をしている訳ではありませんよ。苦笑)

 

例えば「フェスの野外ステージはどんな段取りで設営されていくのか」、「どうやって出演者は決まっていくのか」、「舞台裏ではどのくらいの人数の人が何をしているのか」、「プロモーションのために何をしているのか」、「そもそも開催にいくら掛かっているのか」など、それらを知りたいというお客さんは相当数存在するのではないかと私は思っています。

 

場合によっては、この裏話そのものを課金対象にする事も不可能ではないように思いますし、直接収益に紐づけずとも、認知拡大やサービス向上のプランに加える事はそう難しい事ではないように考えています。

 

逆に、私個人的にですが、あくまでも音楽"ビジネス"上で可能性が薄そうに感じるのは、「音楽業界の今後」のような座談会や討論の類です。

業界当事者以外にはまるで関心を集めることができない為(少数のファンはいると思いますが)、スケールのしようがなく収益への紐付けが困難なように思ってしまいます。

(収益化に結びつきにくいと思うだけで、何かの企画の人材やアイデア、賛同者を求めるという意味では有用だと思いますよ◎)

 

Clubhouse運営側も「今後はスピーカーに収益が入る設計を加えたい。」とも話していると聞きますので、いずれにせよ視聴者にとって有益な音声を発信できていれば、投げ銭なのか定額課金なのかにより、将来的には直接的に収益ポイントとして加えられるのかもしれません。

(その期待から、我先にとClubhouse利用に躍起になる人がこの盛り上がりの初速を作ったとも言えますよね。)

 

但し、今の段階においてはClubhouse上のみで収益設計はできませんので、やはり何か別の主となるサービスがあった上での補助的な役割を求めるのが良いというのは間違いないでしょう。

 

近年は様々なSNSでダイレクト課金設計が出来るので、「どうしてもClubhouseである必要が本当にあるのか?」という点も検討する必要がありそうですね。

 

最後に(まとめ) 

というわけで、2月1日に登録、2月8日に初スピーカーをしたばかりの新参者甚だしい私なりのClubhouse利用法考察をしてみました。

(なので、「そこ間違ってるよ。」という箇所があったら教えてください◎)

 

コロナ禍からのZoom慣れ、からのZoom疲れ。

テレワーク普及による耳の可処分時間の発生。

殺伐としたTwitterやテレビ疲れにも起因する新たなSNSへの枯渇。

YouTubeへの参入タイミングを逃した人のリベンジ魂。

など、様々な条件が重なったタイミングとしては絶妙のローンチだったなぁと、この異様な盛り上がりをまだちょっと引いたスタンスで眺めています。

 

とはいえ私も当初は真っ先に、「どうにかして仕事に結びつかないものかなぁ。」などと考えてしまってはいましたが、mixiもTwitterもInstagramもユーザーとして楽しかったり便利だから使っていただけでしたし、それならそれで問題はないので、是が非でもマネタイズする必要はないですよね。

 

なので、私個人としては、"お友達との楽しいおしゃべり便利アプリ"として今しばらくは活用してみたいと思います。

 

サムネ画像にも載っていますが、@tinyrecords で私出てきますので、お気軽にどしどしフォローしてください。TwitterのフォローやLINEの友だち追加もヨロシクネ❤︎(42歳男性)

 

ではまた明日◎ 

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