TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

【NAMIMONOGATARI2021】万全な対策=安全という誤解についてと、問題視すべきは感染者の発生有無ではなくガイドラインからの逸脱である事

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回の記事では、音楽フェス再開への逆風ムードを嵐の如く悪化させた「NAMIMONOGATARI2021」への所感や、それを「密フェス」と名付け煽る空気感についての見解を書かせていただきました。

更新ペースがめっきり遅くなってしまっているもので、その記事を書いてから、はや12日が経過しましたが、一向にこの嵐は収まる気配がありません。

昨日だけでも「GREENROOM BEACH FESTIVAL」や「ODD BRICK FESTIVAL」といった野外フェスの中止がアナウンスされています。

 

無論、100%が「NAMIMONOGATARI2021」の悪影響によるものとは言い切れませんが、一部世論に加え、地域・自治体からの風向きの変化を感じずにはいられません。

 

「NAMIMONOGATARI2021」の開催状況によって、現時点でのフェス再開否定派や、ネット上に存在する燃やし屋に絶好の大義名分を作ってしまったのは確かですが、"感染の有無"や"感染者数"がバッシングの対象となることについては、非常に疑問を感じます。

 

ということで今一度、現時点で音楽フェスをジャッジ・批判する上で、私が重視すべきだと考える事柄を記しておきたいと思います。

 

 

連日報じられる「NAMIMONOGATARI2021」参加者の感染者数

音楽フェスに限らず、大規模イベント再開にあたり、実施の必要性を求められていたのが感染追跡システムでした。

コロナ感染には潜伏期間がありますので、来場者がイベント終了後に感染したか否かを追跡し、イベント主催者側が感染状況を管理・把握する必要性というものです。

 

個人的には「そこまで主催者に求めるのは少々酷では無いかしら...。」というのが正直な気持ちではありますが、これは理解も納得もできます。

 

その上でやはり関心ごととなってしまうのが、「密過ぎる!」、「マスクしていない人が沢山いる!」と大炎上した「NAMIMONOGATARI2021」来場者の感染状況でしょう。

この数日、連日「NAMIMONOGATARI2021」によるクラスター感染者数が報じられており、9/13時点で44人の感染者が認められています。

 

万全な対策=安全ではないという事実の認識

嬉々として報じられる(ように私には見えてしまう)「NAMIMONOGATARI2021」の感染者数のニュースですが、どうにもその中で違和感を感じてしまうのが、「NAMIMONOGATARI2021」はガイドラインに沿わなかったから感染者が出たというムードです。

 

確かに、報道された写真や映像を見る限りは密集やノーマスクは確認できましたし、その事が感染リスクを高める事は事実でしょう。

ですので、前回の記事でも書いた通り、批判されてしかるべき言語道断な場内の状況であったと私も思っています。

 

ただしその事とは別に、ガイドラインに沿った感染対策がなされていたとしても、同等かそれ以上の感染者が発生する場合はありますし、反対に全くの無対策で感染が発生しないこともあるはずです。

つまり、ガイドラインに沿った万全な対策=感染の無い安全な環境では無いはずです。

 

この点の理解を誤った一部の人達の"大声"によって、ガイドラインを遵守した他の音楽フェスまで強い風当たりを受けることになってしまったというのが、今音楽フェスやコンサート業界が置かれている立場だと私は認識しています。

 

そういった事からも、音楽フェスの開催によって感染者が出たかどうかはそのフェスの評価とは全く別の話であり、誤解を恐れずに言えば、それは”運”とさえ言えると私は思っています。

 

現段階で音楽フェスを開催するという事は、感染者がそこで発生する可能性をたっぷりとはらんでおり、その可能性を少しでも減らすためのガイドラインですから、それを遵守した上で感染者が出たのであれば、主催側が責めを負うべき要素は一切ないはずです。

このブログでは再三書いていますが、ガイドラインを守った上での開催に批判がある際には、そのガイドラインを作った政府や自治体を批判すべきという事になります。

 

問題視すべきは感染者数ではなく、ガイドラインからの逸脱

そのような事から、前回の記事と重複してしまいますが、「NAMIMONOGATARI2021」を始め、音楽フェス開催に関して注視すべきは感染者の有無や数ではなく、ガイドラインに沿っているか否かであるべきです。

 

報道やネット上での否定的意見を見ていると、”密集具合”についての苦言が多く目につきます。

無論、それも良くないのですし、ノーマスクの来場者がいる事も良くありませんが、私が最も引っかかっていたのはアルコール販売をしていた点でした。

 

音楽フェスの特性上、いかに徹底した運営を行なっていても、瞬間的に興奮をした観客が密集してしまう事態は起こり得ると私は思っていますし、マスクについても同様です。

この場合には、速やかに運営側がそれに対処する他ありませんし、ほぼ全てのフェスは適切に対処するはずです。

それでも、「その一瞬を切り取られて炎上する事はあるだろうなぁ...。」というのが私の懸念ではありました。

 

「NAMIMONOGATARI2021」についてはこの対処すら適切ではなかったと思われるので論外ですが、もっと論外だと感じたのがアルコール販売を行った事でした。(1人2杯までとしていたようです。)

 

前述した密集やノーマスクについては観客側にも問題がありますが、アルコール販売は主催側のみに責任がある上、確信犯です。

 

しかし、多くの報道やネット上の声では、この点よりもとにかく"密"がターゲットになっており、この数日は感染者数がターゲットに加わった格好となっています。

 

このムードはどうにも、「ガイドラインに沿った開催は認められている」という権利を、「クラスターも出ているしやっぱり危険じゃん!」にすり替えられた恐ろしい誘導&誤解だと、私は一人震えております...。

 

スパソニに対する千葉氏の後援名義の取り消し

少し斜めに話題が逸れるかもしれませんが、「NAMIMONOGATARI2021」開催後のトピックとしては他にも、SUPERSOCNIC 2021(以降スパソニ)の後援としてクレジットされていた千葉市の名義が9月9日に外れた事も挙げられます。

 

ちょっと汚い言葉を使わせていただきますが、率直な感想を言わせてください。

千葉市、べらぼうにダサ過ぎます。

 

そもそも「後援」という名義がピンとこない方もいらっしゃるかとは思いますが、その点で長くなっても本筋とズレてしまいますので、ざっくりと要約しますと、"後ろ盾"とか"名前貸し"、アウトロー界隈風に言うと、"バック"みたいなものです。

(ちょっとした事前準備進行や運営、宣伝の協力はケースバイケースで行われたりはしますが、資金的なサポートではありません)

 

わかりやすく、このままアウトロー界隈風の例えで進めさせていただきますと、

「おお、うちのシマで祭りするんか。じゃあウチの看板使っていいからなんか揉め事あったら言うてこいな。」

と言っていたアニキが、いざ揉め事が起きて怪我しそうな相手が出てきたら、

「お、俺は今回は関係ないから巻き込まんといてくれや...。」

とケツをまくるような圧巻のシャバ僧ぶりです...。

 

世論の風向きが変わる可能性など、「NAMIMONOGATARI2021」問題以前に十分考えられるわけですし、ちょっと理解に苦しむシャバさを感じてしまいました...。

 

とまあ、これは私個人的な印象なので置いておいて、「NAMIMONOGATARI2021」の余波によって、ガイドラインに沿った開催は認められるはずのフェス開催が、それに沿う沿わないではなく、感染者が出るリスクやそれによる批判を恐れ、自治体が手を下ろす事態に捻じ曲げられているのは非常に気に掛かります。

 

最後に(まとめ)

今回はワンテーマというよりも、「NAMIMONOGATARI2021」以降の風向きや風速の変化に伴うアレコレの所感といった内容になってしまったので、少々読みづらい内容だったかもしれませんが、特に書きたかった事というのは、

コロナ禍でフェスをやる以上、どんなに対策をしても感染者が出る可能性はあり、その点を許容したガイドラインが作られている。

といったところでしょうか。

 

なので、風向きが変わったからと言って、ガイドラインが変わっていないのに手のひらを返して主催や出演者をバッシングする人がいるのであれば、今一度考え直してみて欲しいと思うばかりでおります...。

 

なんどもなんどもこのブログで書いていますが、「今、フェスをやるなんて非常識だ!」という思考は全然持って良いしおかしくないと私は思っていますが、その場合の矛先は主催者や出演者ではなく、ガイドラインを作った人であるべきですので、その点も併せて再考頂けますと幸いです。

 

ではまた◎ 

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