TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

フジロックに集まるヘイトやネガ。フェス再開の出口とは?

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2015年のフジロックにて

FUJI ROCK FESTIVAL '21(フジロックフェスティバル '21)が8月20〜22日の3日間開催されました。

 

来場者キャパシティは例年の半分以下とし、酒類の販売や持ち込みは禁止など、感染対策を考慮したイレギュラーな形での開催となりました。

また、YouTubeのフジロックの公式チャンネルでは、無料のライブ配信も行われ、時間帯によっては10万人前後という多くの同時視聴者数を集めていました。

 

実際に会場へ足を運ばれた方や、ライブ配信を楽しまれた方のほとんどは、今回の開催に肯定的だったと思われますが、一方で多くの批判・非難の声が挙がりました。

 

度々お伝えしている通り、私のスタンスとしては、

「長く音楽関連の仕事をしている心情的には、出来るだけ早い再開や最小限の廃業数に留まって欲しいと願いますが、最短でコロナ以前に近い状態に戻すのであれば、今のタイミングで動くべきではない。」

そんなスタンスです。

加えてこれに、

「但し、明日にも廃業してしまうほどに経営が難しい状況の場合、延命の為の開催もルールの範囲内で行うのであれば致し方ない。」

という注釈が入ります。

 

私個人の意見としては、このスタンスに変わりはありませんので、主観的にお伝えしたいメッセージはこれ以上はありませんが、今回のフジロックの開催に対してかなり多くの賛否の声が飛び交っておりましたので、状況整理的にこの議論のポイントをまとめつつ、その今後についても少し考えてみたいと思います。

 

 

主な開催への批判内容とは?

比較対象としての東京オリンピック

少し前に、オリンピック基準では緩和しなかったライブコンサートへの規制 という記事でも触れましたが、フェスや音楽コンサートの再開やその条件について、多くのライブ関係者やファンは、オリンピックの開催条件・制限を指針に、再開のメドが立てられるという見立てや期待を抱いていたかと思われます。

 

しかしながら、東京オリンピックは他業種との兼ね合いなどは鑑みず、半ば強行的に舵が取られている印象を多くの人が受けたかと思います。

 

これに対し、憤りや我慢の限界を感じた業種や事業者は少なからず存在したと思いますし、ルールではなくムードをベースとした自粛からは離脱を図るケースが増えてきているように感じます。

 

リアルな会場に多くの集客を行うという意味では、オリンピックに代表されるスポーツ観戦と音楽フェスやコンサートは同様の為、度々両者は引き合いに出されてきましたが、結果としてオリンピックは無観客で開催されました。

その直後に行われたのが、フジロックの有観客開催でした。

 

その為、感染拡大が加速する中、

「オリンピックですら無観客だったのに、音楽フェスが有観客とは何事だ!」

そんな声が噴出したわけです。

 

前提として頭に留めておきたいのは、フジロックの開催内容は指定の制限内で行われたもので、ルールの上では咎められるものではありません。

なので、「何事だ!」という声はルール違反を咎める者ではなく、マナーや空気感を根拠とする非難の声ということになります。

 

オリンピック批判とフジロック出演という矛盾への指摘

重ねて物議となったのが、東京オリンピック開催に対し、批判的な意見を発信していたアーティストが、フジロック出演をする事についての矛盾を指摘する声でした。

 

これは擁護ではなく事実として、「やった!フジロックでライブできるぜ!」というテンションで出演をしたアーティストは1組足りともいないという事。

(実際、出演発表以降に複数のアーティストが、出演の辞退をしていました。)

これはオリンピックに出場した選手とも同様なはずです。

 

オリンピックの選手に対しての批判が噴出した際には、「選手を批判するのは違うでしょう。」と言った多くの擁護の声が上がったことも記憶に新しいです。

その経験値もあってか、フジロックに出演するというアナウンス時点でアーティストにネガを飛ばす声はそれほど多くなかったかと思います。(少なくとも私の目にそういった批判が映ることはありませんでした)

 

なので、開催そのものの是非を問う声はあれども、アーティストに直接ネガが飛ぶような流れは収まっていたものの、例外が存在しました。

 

東京オリンピック開催に対し、批判的な主張をしていたアーティストです。

これはオリンピック開催前に反対のスタンスを取っていた人に対して起こった、「だったらオリンピックが開催されても観るなよ!」という声と同じ構造で、「批判していたのにフェスに出るとか何事!?」といった具合で複数のアーティストが批判の矢面に立たされる事になりました。

 

長くなるので理由は割愛しますが、私個人的な考えとしてはオリンピックへの批判とフェスに出演することは同じ天秤ではないように思っていますが(批判するポイントにもよりますが)、そのような批判に着地する構造は理解ができます。

 

私は会場へは行っておらず、配信を気まぐれにザッピングした程度でしたが、そんな批判の声や開催への風当たりを感じてか、ライブ中のMCでは大半のアーティストが開催や出演に対して、新型コロナによるパンデミックについて触れていました。

これは私が受けた勝手な印象でしかありませんが、私はミュージシャンが政治的なメッセージを発信する事に何ら疑問や問題を感じませんが、その際にアジテーションというよりも、一抹の後ろめたさが見え隠れする感じがして、それについては思うところがありました。

 

密を報じるネガキャン

開催中には、会場内のオーディエンスが密集する写真がSNS上に数多く投稿されました。

Twitterでは複数&長時間に渡り、#フジロックや出演アーティスト名がトレンド入りしたり、YouTubeのライブ配信が多くの視聴者を集めた事についても、奇しくもこのネガティブな情報の拡散が一役買ってしまっていたように感じています。

(ネットニュースもかなり、PV稼ぎの煽った記事を乱発していましたしね...。)

 

私は実際に会場に行っていないのではっきりとしたことは言えませんが、以前勤めていた会社でライブ写真周りの管理や写真セレクト業務も行っていた身として、一点だけ擁護を。

 

ライブのオーディエンスショットって、カメラを通して写すとめちゃくちゃ割り増して見えるところがあります。

実際に目で見ると結構スカスカな状況でも、カメラマンさんが撮ってきた写真で見ると「めっちゃ人集めているやん!」そんな風に感じたことが数え切れないくらいにありました。

とはいえ、最も多く"密"を煽る形で使われていたマンウィズのライブ時の写真は、それを加味しても批判されても仕方がない密集具合に見えはしましたが...。

 

この"密"への批判的指摘についても、ルール内での開催なので、あくまでも「けしからん!」という心情的なものが批判根拠になっています。

 

マスクを着用して歓声は上げないように主催側からアナウンスもしていますし、制限に従って開催もしているので、正直、私の考えとしては全くけしからんとは思いませんが、そう言った声が噴出することはやる前から明らかだったので、冒頭に書いた私のスタンスは、「こうなってまた開催がしづらい風向きが強まるから、今はやらないほうがベター」と結論付けていた訳です。

 

相次ぐ大型フェスの中止発表

これら、多くのフジロック開催批判を受けてか、この数日の間に複数の大型音楽フェスが開催や延期を発表しています。

前述の考えを持っている私としては、想像される中でもかなりバッドなシナリオになってしまったと感じています。 

 

無論、フジロックがこのタイミングで有観客開催をしたせいのみだという事ではなく、感染拡大ペースに起因する事ではありますが、けしからん警察に大義名分を与えてしまった事は否定できないでしょう。

 

ただ、フジロック側も現在の状況は織り込み済みで開催に踏み切っていると予想できますし(ライブ配信で観客をあえて写していますし)、黙って自粛していて誰かが(政府が)どうにかしてくれるものではない事は、この1年半で身を持って感じたはずですので、中止発表が立て続いた一方で、けしからん警察ガン無視で開催強行を行うフェスは一定数あるとも思います。

 

あちこちで語られている事ですが、世論と言っても、SNSなどネット上の否定的意見は、ごく少数の燃やし屋によるものという考え方もありますし、そうでなくとも元々音楽フェスやライブには一切関心がない層がほとんどだと思われるので、"バッドなシナリオ"とは書きましたが、開催を許容する者だけでも十分成り立つはずで、別世界として振り切って開催を続行するのも選択肢の一つとしてあるのだと思っています。

 

最後に(まとめ)

というわけで、ざっくりではありますが、フジロック開催で噴出した批判や音楽フェスへの逆風について、結局私見も混じりつつになってしまいましたが、書いてみました。

 

結局コレ、感染拡大を抑えるには人が集まったり出歩く事を控えた方が良いのは当然な話で、自分の仕事や生活に大きな被害があれば擁護に回るでしょうし、影響が少ない人は批判に回りやすいという構図なだけのようにも思ってしまいます。

それに加え、「こっちは我慢しているのに何でそっちは!」というムードとしての不公平感が憤りの火種になってしまうので、「規定の制限を遵守しているのであれば、開催は批判されるべきものではない」という事を政府が明言するか、もっと制限を締め付けるかするほかないのかなぁなどとも感じました。

 

ちなみに私は今月まだ一人として人に会っておりません...。

 

ではまた◎ 

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