「コロナ禍における文化芸術活動支援」を含む、第3次補正予算が1月28日の参議院本会議で可決されました。
この予算案可決前に共産党の小池晃議員によって行われた、萩生田光一文科大臣や梶山弘志経産大臣に対する質疑が話題に挙がっていましたので、今日はこの質疑や"コロナ禍における文化芸術活動支援"について触れてみたいと思います。
小池晃議員による文化芸術活動支援に関する質疑内容
まず、この小池晃議員は映画館や劇場、ライブハウス、クラブなどの文化芸術に関わる業界への補償を訴える立場を取っています。
まず質疑の中で小池議員は、
- 文化芸術業界が協力金の対象になっていない事
- 感染防止対策への取り組みの徹底から映画館では1件の感染事例も報告されていない事
- 劇場やライブハウス、クラブでも昨年7月以降、観客などのクラスターは発生していない事
これらを強調しています。
更に以下のような発言も続きます。
「何の補償もないのに自粛をする。
自分の暮らしが困っているのにお客様の安全を優先する。涙ぐましい努力じゃないですか。
大臣、この努力に政治は応えるべきではありませんか?」
これに対し、萩生田光一文科大臣は、文化芸術関係者による感染症対策の徹底について
「敬意を評します。」
と、その成果や努力を認識し認めています。
続いて小池晃議員は、250億円もの予算が計上される支援策「ARTS for the future!」に触れていきます。
この支援策は、以下に該当する事を条件としています。
【不特定多数に公開することによって収入を上げることを前提とした積極的な活動であること。】
【公演・演奏会・コンサート・ライブ、展覧会等を開催する際、下記のようなイノベーションを図る取組を行うこと。】
- 他の文化芸術団体とコラボレーション
- 新たな専門性を有する実演家等を招聘
- これまで訪問したことのない地域で公演
- これまで実施していなかった客層へアプローチ
小池議員はこれらの支援対象条件の非現実性について切り込みます。
この非常事態にイノベーションを求めた内容を要求する事に対し、
「今までやってきたことがやれないで苦しんでいる時に、新しいことをやらなければ支援しないって酷すぎませんか?」
こう指摘します。
キャッシュポイント作りのアドバイスとしては頷けますが、こんな時に他業種とのコラボや未開拓の地での公演、新規客層開拓が"条件"というのは、正直正気の沙汰ではありません...。
この質疑に対し、両大臣は論点をズラすようなのらりくらりとした回答をした為、「端的に答えてください。」と再度小池議員は問い詰めます。
これに対し萩生田光一文科大臣は、
「動ける団体と動けない団体があり、ポジティブに動ける団体は是非このコロナ禍であっても活動を続けてもらいたく、それについては応援したい。」
おおよそこのような回答を返します。
小池議員は再度、
「従来の活動ができないでいる時に、従来を超えたことしか支援しないで、それで支援にならないでしょうと私、言ってるんです。お答えください。」
と問い詰めます。
しかし回答は、
「マイナスをゼロにする仕組みを経産省と一緒に行ってます。」
「複雑なことではなく、是非動けるところには動いて頂きたい。」
といった論点の噛み合わない内容が繰り返されました。
文化芸術活動支援に関する質疑から見えたものは
端的にこの質疑内容をまとめると、両大臣は
- マイナスはゼロに戻す
- ポジティブに動ける団体にはオプション的な支援を増やす
そして、これらは「文化芸術団体の皆さんと相談して決めた」という点を大義名分として強調しています。
無論これらは言葉通りに受け止める事が出来ないものなので、その点について小池議員が言及していた訳です。
例えば、公演のキャンセルが起こった際、確かにキャンセル料の補償は組み込まれていますが、それではマイナスがゼロに戻るとは言えません。
固定費はマイナスとして流れ出続けます。
上述のイノベーション的な条件を満たした団体に対する支援については、助成金給付対象になれたとしても、給付はイベント終了後という立て付けになっています。
【文化芸術に携わる全ての人の実態調査アンケート】によると、
「今後、助成金を利用して企画を立ち上げる場合、概算払いなしでできますか?」
という質問に対し、「出来ない」が81.6%という結果になっているそうです。
加えてそもそも今回の文化芸術活動支援内容は、"団体"を対象としたものとなる為、これらの業界で大きな割合を占めるフリーランスは対象外となっています。
長尺の質疑応答でしたので、ここでは大幅にはしょっていますが、両大臣の答弁は実に政治家らしいのらりくらりと議論をすり替え続けたものだと言わざるを得ませんでした。
この記事の参考とさせていただいたライターの犬飼淳氏の記事では、こう綴ってありました。
絶望的な事実ではあるが「日本の文化芸術の灯を消してはいけない」という政府の答弁は真っ赤な嘘と判断せざるを得ない。
実際は、フリーランスなどの個人や中小の団体が利用しにくい支援制度をあえて設計し、美辞麗句を棒読みし、予算金額だけは潤沢に計上している。
この指摘はおおよそ同意ですし、この予算組みや支援策がただただ"ポーズ"でしかないという事が浮き彫りとなった印象を私は受けました。
最後に(まとめ)
「セイセイ!随分辛気臭い記事アップしてくれるじゃねぇかYo!!」
と思われた方も少なくないかもしれませんが、次回の記事は明るいものでバランス取りますので。笑
この記事で私が何が言いたかったかというと、
「引き続き自分の身は自分で守るしかないので、周囲の仲間などとも協力しつつ、自力でサヴァイヴするしかないので頑張りましょう。」
こんなところでした。
ではまた明日◎
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