TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

音楽フェス/イベント終了後の「感染者発生有無の報告」のやるせなさや怖さ

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楽ライブイベントが次第に再開をしています。

ライブハウスでの新型コロナ・クラスター感染の発生や緊急事態宣言により興行の完全停止が続いた中、無観客ライブ配信を再開の皮切りに、現在では一定の制限下で有観客ライブも増えています。

 

当然、コロナ以前と全く同じようにはいきません。

そんな変化やそれに関わる引っ掛かりや違和感、時には不満について、このブログでは既に何度も触れてきました。

有観客ライブについては、300人以下ほどの小規模ライブハウスを中心に再開されていましたが、この1ヶ月ほどで1,000人キャパ以上の大きな会場での有観客ライブも増えています。

 

そして、公演終了2週間後を過ぎると、

「感染者の発生はありませんでした。」

そんなアナウンスが主催よりされています。

 

このアナウンスが求められてしまう事や、関係者や音楽ファンがこの報告に一喜一憂しなければならない事に、引っ掛かりややるせなさを感じました。

 

今日はこの音楽ライブ公演終了後に、新型コロナ感染者の発生有無のアナウンスについて、その違和感や怖さについて触れていきたいと思います。

 

 

感染者を出さない前提で許された再開

コロナ禍での有観客ライブイベントの再開は、音楽業界従事者としても音楽ファンとしても本当に喜ばしい事です。

 

再開の機運の高まりも感じる良い流れですし、感染対策もナーバスに行なっているようで、いわゆる自粛派の声も徐々に小さくなっているようにも感じます。

 

そして冒頭に書いた通り、感染から発症までに要するとされる2週間を待ったのちに、

「感染者の発生はありませんでした。」

そんなアナウンスがされています。

 

この報告をしなければならないという風潮が出来上がってしまう事に、強い恐怖を感じました。

 

感染者を出さない前提で再開を許されている事を意味しているように思えたからです。

 

もちろん規定の感染対策をきちんと行う事は開催の大前提になって然るべきですし、その上で感染者が発生しない事は望ましくもあり素晴らしい事です。

感染者が確認できなかったと言うアナウンスを行い、同様の報告が重なることは、ライブイベント再開の見通しや機運を更に明るくもするでしょう。

 

「ほら、対策をきちんと行えば感染者は出なかったので、開催しても大丈夫でしょう?」

出なかった場合はそんな風に強気な主張が可能です。

 

では、感染者が発生した場合はどうなるのでしょう?

やはり今現在も、感染源となった責任の所在として、イベント主催者や会場は批判の矢面に立たされるのでしょうか?

 

だとしたら、私はそのことにやはりやるせなさや歯がゆさを感じずにはいられません。

「不要不急の音楽ライブは大人しく自粛していろ!」

という圧力により再び自粛を余儀無くされる未来が目に浮かびますし、恐ろしいと感じます。

 

責務は感染者ゼロではなく規定の感染対策

そもそも、

「感染者の発生はありませんでした。」

という報告を行う必要性についてクリアにしたい所です。

 

大きく以下の2つに分けられるのでは無いかと私は考えています。

  • 再開の機運作り
  • 主催会社への自粛圧力や否定派(開催への批判)への対処

コンサート業界は経営・経済的に非常に追い込まれています。

発端は新型コロナウイルスによるものですが、今日現在コンサート業界を追い込んでいるのはコロナではなく、ムードです。

国も地方自治体もどこからも、「有観客ライブをしてはならない」という指示や要請は出ていません。

 

従って、感染者の発生有無を開催終了後にアナウンスする義務はありません。

それを行う理由として2つ挙げましたが、意図はいずれもムードへの対抗や対策であるはずです。

 

「感染者の発生はありませんでした。」

という結果を告知する事で、自粛ムードを恐れた同業者への勇気や後押しにもなりますし、開催否定派に対しても感染発生が無ければそれを咎める理由を奪えます。

 

しかし当然、いくら感染対策を講じたところで、感染者発生リスクをゼロにする事は不可能です。

小規模な公演であれば大きなトピックや批判に発展しにくい面もあるかもしれませんが(それもあり再開は小規模ほど早かった)、大規模公演や大きな企業となると「ほれ見たことか!」と再開ムードをひっくり返されてしまうかもしれませんし、その主催会社は倒産にまで追い込まれる可能性すらあります。

 

私自身も、

「感染者の発生はありませんでした。」

という主催者アナウンスを目にした瞬間は「ああ良かった。」と安堵や勇気をもらえはするのですが、一方で、感染は努力ではゼロに出来ない事なので、「いちいちそれは言わないでも良いよ。」とも思ったという訳です。

 

"やるせなさや違和感"の原因としてはこれになります。

 

コンサート主催者が、その公演での感染者有無に一喜一憂しなければならないような現状に違和感を覚えますし、それは【ウィズコロナ時代の音楽コンサート】では無いと考えているという事です。

 

私の思うウィズコロナの姿は、咎められるべきは規定の感染対策を行なった場合のみで、感染者発生有無は咎めるようなものでは無いと思っています。

 

音楽業界側にいる心情的な気持ちを言えば、感染者が発生したことを批判するのであれば、開催そのものについての批判の方が理解も出来、まだいくらかマシだとさえ感じてしまいます。

 

最後に

コロナ禍における音楽コンサート開催機運の高まりを感じる喜びの一方で、感染者の発生有無の報告を散見する中で覚えた違和感ややるせなさ・不安も感じ、今日はこのようなお話を書かせていただきました。

 

ルール上、「規定のガイドに沿っていれば開催可」な訳ですから、"発生有無"を問うような"発生有無の報告"に怖さを感じたのです。

 

主催者は収益性がガクンと落ちた中でも、ルールに準じて費用を投じ、感染対策を実施して開催しているので、「音楽コンサートは自分には全く必要がない」という方もこの点にもう少しご理解やご配慮がいただけるような時期が来ることを願っています。

 

ではまた明日◎ 

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