一昨日、音楽ライブエンタメ業界4団体が政府に対し、「緊急事態宣言に対する要望」を提出した話題について触れました。
その要望提出の際、
「昨年5月25日に緊急事態宣言が解除されて以降、4団体会員社によって全国で無観客公演250公演、有観客公演約7,100公演(総動員数約230万人)が開催」
このような報告が含まれており、鬼姑のごとく目ざとい私は「ちょっと待てぇ。」と相席食堂のようにストップしたくなり(知らない方スミマセン。汗)、今日はこの点にフォーカスして考えてみたいと思います。
無観客と有観客の30倍の公演数
どこに引っ掛かったかと言えば、「無観客250公演、有観客7100公演」という公演数の開きです。
その数にはおよそ30倍の違いがあります。
「無観客少ない。。。!」
と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もちろん、この4団体会員社の中での数字になりますので、日本で行われている全てのライブ公演ではありません。
例えば、小規模ライブハウスが会場主催で行うようなものや、個人イベンターや小規模事務所などが主催するものなどはこれらの団体の会員社ではないので、そのほとんどがカウントされてはいないでしょう。(会員社のイベンターなどを挟んでいたりすると含まれると思いますが。)
しかしながら、一般的に我々が耳にするようなアーティストであれば、ほぼいずれかの会員社が絡んだ上で公演を実施しているはずですので、マクロに音楽コンサート業界の現状を把握する数字としては十分に参考になるものだと考えています。
私自身も「思ったよりも少ない。」と感じました。
だからこそ引っ掛かった訳ですが、と言うのも、自身としてはいっときは週一ペース位で無観客のライブ配信を視聴していたからです。
ですが言われてみると、私が観ていたライブ配信のほとんどは、この4団体を介していないインディペンデントな公演ばかりでした。
そのようなインディペンデントな無観客公演を含めれば、その数はグンと増すはずですが、同様に有観客での公演数も増すはずです。
あくまでも私個人の肌感でしかありませんが、これらを加えてカウントしたとしても比率としてはあまり変化は無いように思っています。
オンライン上で受ける実感ほど浸透をしていないライブ配信
これまで既に多くのビッグアーティストによる無観客ライブ配信も実施され、それを受けての考察などもいくつか書いてきました。
私の考えをかいつまむと、
「既に面を取り切っているビッグアーティストはより収益を増やす可能性が高く、インディペンデントなアーティストはファン獲得機会は増えるが無観客でのライブ配信に関してのみで言えば十分な収益化は難しい。」
おおよそそんな所です。
(細かく言えば多くの前提や条件などあるので、時間があればいくつか記事を読んでいただけますと幸いです◎)
どうしても反響の大きかった公演がニュースやSNS上にも立ち上がってくるので、「コロナ禍でもちゃんとやればライブ配信で稼げるじゃん!」と苦境を訴えるアーティストや業界を、世間や政府からバッサリと波田陽区されてしまうかもしれません。(「残念!」って感じで...)苦笑
私としてはそこに一抹の不安を感じていまして、それもありライブ配信で十分な収益化をする難易度について書き続けている所もあります...。
幾度かこのブログでも書いているので重複しますが、ライブ配信はその多くが有観客公演以上に開催コストが掛かります。
(野外イベントのように設営や多数の警備・整理スタッフが必要なものでなければ。)
これが公演数の伸び悩む理由の第1点。
もう一つが、音源ビジネスを凌ぐほどに隆盛を見せていたライブコンサート・ビジネスがファンや顧客としてきたのは「会場でのリアルな熱狂」に慣れ親しんだ層だという事。
日頃、ライブ会場などでコンサートを見る機会が少ない方が思う以上に、そうしたファンや顧客はすんなりとライブ配信に満足感を得ることができません。
そんな消費者心理の考察やそれに対応する案などについても、これまで度々書いてきました。
私自身も「思ったより少ない。」と感じはしましたが、その理由については過去に散々思案して考えもまとまっていたので不思議はありません。
ただ、
「それにしたって少ない。」
そんな風に感じたもので、今回はデータとして無観客と有観客の公演数のサンプルがあったので取り上げてみました。
まとめ(最後に)
もちろん、昨年後半からは来場数制限付きで有観客公演を行う事が可能だった為、シンプルに「無観客にする必要があまり無かった。」という事もあるので、"ライブ配信の浸透度"として直結させるべきではありません。
ちょうど本日、もう一つ別のライブ配信に関するデータが公開されていましたので、次の記事では後編的に、そのデータを見ながら一緒に考えていければと思っています。
そう言えば私、今年まだライブハウスに行っていません。汗
ではまた明日◎
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