TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

ライブ・コンサート業界にとって致命傷になりかねない2度目の緊急事態宣言

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ソーシャルディスタンスを取る筆者のアンヨ...

れたくないけど触れない訳には...。

でお馴染みの新型コロナウイルスこと、COVID-19関連のお話です...。

 

案の定、2021年も早々に、目立ちたがり屋の彼は今日も全開です。

などと、彼のハシャギぶりはユーモアを交えて良いレベルではないので、切り替えます。汗

 

ご承知の通り、首都圏の1都3県に対して、1月8日から2月7日までを期限とした2度目の緊急事態宣言が発令されました。

更に、大阪府・兵庫県・京都府も、政府に対して緊急事態宣言の発出を要請するとのニュースも本日伝わっています。

 

私は音楽業界についてしか明るくないのでその目線でしか語れませんが、控えめに言っても多くのコンサート系企業にとっては致命傷だと思っています。

 

今回の緊急事態宣言は前回のそれとは異なる部分があり、こと"イベント"に関しては、中止・延期要請ではなく

【「収容人数の50%」もしくは「最大5,000人」のいずれか少ない方】

という制限に留まっています。

 

加えて飲食店に対しては、営業時間短縮の要請が出され、

【営業時間を午後8時まで、酒類の提供を午前11時から午後7時まで】

としています。

 

 

 行きたくても行けない20時閉店での営業

まず今回の要請・制限の前者、イベントやコンサートの収容人数。

キャパシティを問わず、どんなイベントでも5,000人以上を動員する事は出来ません。(厳密に言えば強制力はないので出来ますが)

10,001人を超えるキャパシティを持つ会場は、野外であってもアリーナであってもドームであっても5,000人となります。

これに関しては、「その会場に向かうまでの道中に"密"が発生する為。」だと言われてしまえば反論が難しい部分もあるので私としては致し方ないと思ってもいます。

 

そもそも世の中で数多開催されるイベントの多くは、5000人未満の収容人数で開催されています。

音楽イベントに関して言えばその多くを占める"ライブハウス"と呼ばれている会場の多くは、飲食店として営業許可を取得しています。

 

そのような会場にとっては、

「収容人数の50%かつ、20時までに閉店(お酒は19時まで)」

という制限になる訳ですが、これの傷が深いと思うのです。

 

テレワークとは言え、平日に仕事をしている人にとって平日の19時に酒類の提供が終わり20時にクローズするイベントに行く事はなかなかに難しいはずです。

 

巨大なファンベースを持つスタジアム級のアーティストであれば、「そのコンサートの為に仕事を休む」という選択肢も生れようものですが、小規模であるほどにそんな熱狂的なファン数は減少します。

私自身、これまで幾度となく「ライブスタート時間をなんとかお客さんが間に合うように後ろ倒しにしよう。」と試みイベントを開催してきましたが、19時〜19時半スタートまで後ろ倒すのが限界で、それでも仕事後だと間に合わない方は数多くいらっしゃいました。

 

多くのライブハウスは飲食店営業であるが故に、入場時に入場料とは別にドリンクチケットを購入して入場します。

引き換えて入場した時点で酒類の販売が終了しているというケースも増えるでしょうし、そもそも20時閉店だと1時間も滞在できないという人も増えるでしょう。

これだと行けませんor行きませんよね...。

 

緊急事態宣言"風"の緊急事態宣言

ちょっと思想強めに思われてしまいそうですが、今回の緊急事態宣言は前回のそれとは異なり"緊急事態宣言"風"、つまり営業そのものの停止要請ではなく営業時間の短縮要請に留まっています。

ですが、"緊急事態宣言"として発令されています。

 

これがコンサート業界にとっては第二の刃になり得ます。

 

「営業していいけど、20時までな。」

と、営業そのものは制限していません。

感染拡大防止だけで考えれば、休業を強制したいところですが、それだけの補償ができない事が当然その理由になります。

 

とはいえ、最大1日あたり6万円が飲食店には補償されるとの事ですが、ごく小規模なライブハウスであればなかなかばかにならない大きな補償だとは思います。

仮に月180万円その通りに補償されるとすれば(諸条件はあるでしょうけれど)、そもそも180万円前後の売上の店舗はザラに存在するからです。

 

問題は補償される金額以上の売上を作っていた店舗や、アルコール売上に依存していた店舗、そして会場ではなく、ライブハウスで行うイベントで収益を作っていた会社や個人です。

 

先に挙げた「20時までだと間に合わない。」というネックによって、イベントやコンサートの動員は確実に減少しますし、何より”緊急事態宣言”というワードの強度がネックになります。

無論、政府が今回も緊急事態宣言というワードを使用した事は、その言葉の強さを使ったアナウンス効果が目的でしょう。

 

ライブハウスに出演をして収益を作っていたアーティストや事務所、イベンターや舞台周りや運営関連のスタッフには店舗のように新たな補償は出ません。

 

「何とかしてよ!」

と訴えたところで、

「だからイベントやコンサートはして良いって言うてますやん。20時までだけどね。」

こんな具合で緊急事態宣言というパワーワードで消費者の行動抑制を促しつつ、補償はしないというハメ技的なコンボが見事成立しています。

 

最後に(まとめ)

と、かなりの音楽業界寄りのポジショントークである事は自覚していますが、その目線に立てばそんな印象を今回の緊急事態宣言から受けざるを得ませんでした。

 

ただ、もっと突っ込んだ私個人の本音を言うと、とっくに政府が何とかしてくれるとは考えていなかったので想定の範囲内でしたし、もはや喜怒哀楽どの感情も湧きません...。

 

アナウンス効果の使い方については"呆れ"の感情も幾ばくかありますが、この状況で全ての業種や国民の生活・収入を国が何とかするという事は流石に不可能だと理解している故の無感情でもありますので、特段批判がしたいという事でもありません。

 

私を含め、コンサート関連に収入・収益の依存をしていた人は、単に「引き続き物凄くアンラッキーだな...。」と思うまででした。

 

これによって、年度末の3月目掛けて閉店・廃業ラッシュが起こりそうな予感もありますが、 「音楽しかない!」とは思い込みすぎないよう視野を広く持つことを心がけて、一緒にサバイブしていきましょう。

 

ではまた明日◎  

P.S. かなりの確率で延長しそうというのもネックですよね...。

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