TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

イベント入場者数制限緩和の再見送りとその制限内容の問題点

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初は8月1日に緩和を予定し、感染拡大の懸念により8月末まで延長措置をしていたコンサートやスポーツなどの集客人数の制限措置。

この再延期を調整中とのニュースが出されました。

現時点では"調整中"との事なので決定では無いようですが、 こういった自粛要請と相反するGo Toトラベルキャンペーンとの並走などもあり、SNS上では否定的な反応も散見しました。

 

自身が音楽の仕事をしているという事を差し引いても、少々疑問や違和感を感じる点もあるので、それについてまとめてみたいと思います。

 

 

入場者数制限内容のおさらい

政府よりコンサートや展示会などのイベントに出された入場者人数の制限内容は、以下のようなものになっています。

7月10日からは

▽入場者の上限を5000人

▽または収容人数の半分程度以内の、いずれか少ないほうにまで拡大させるとしています。

 

このあと8月1日をめどに、収容人数の半分程度以内の人数であれば、イベントの規模にかかわらず開催を認めるとしています。

この制限の緩和が8月1日の予定から8月末となり、現在さらに延長を検討しているという状況になっています。 (ライブハウスについては上記目安の対象外となっています)

 

上記は5月後半の緊急事態宣言が解除されたタイミングで出された集客目安となるのですが、その時点での状況整理や考察を以下の記事に書いているので参照ください。

加えて、8月3日より8月末までの間、酒類の提供を行う飲食店(ライブハウスやナイトクラブ含む)の営業時間について、東京都では22時までとする短縮要請も出されています。 

 

制限内容の問題点について

会場キャパシティを問わず一律な人数上限

入場者人数制限の内容は、

【入場者の上限を5000人、又は収容人数の半分程度以内のいずれか少ない方】

という事ですから、3万人の収容キャパシティでも1万人の収容キャパシティでも5,000人が上限という事になります。

 

この制限の目的は当然、新型コロナウイルスの感染防止な訳ですから、いわゆる三密回避やソーシャルディスタンスの為の制限でなければなりません。

 

しかし、3万人キャパに5000人と1万人キャパに5000人では来場者間の距離は大幅に異なります。

 

この大味な制限に対しての否定的な意見を多く見ましたし、私自身も「雑だなぁ。」とは思いました。

ただ、おそらく会場内での密集度については、キャパの50%としても良いという判断を取りつつも、5000人を超える動員のイベントを行ってしまうと、そこに向かうまでの交通機関や入場待機列などでの密集を生んでしまう為、このようなガイドラインにしたのだろうと解釈しています。

(だとすれば、その説明や周知をしっかりとすべきだとは思いますけどね、、、。)

 

また、1万人キャパの会場に来場経験がある方はイメージできると思いますが、そこに5000人集客するというのは、隣の観客との距離は2m以内になるので十分なソーシャルディスタンスとは言い難いところがあります。

その為、この点について疑問や苦言を呈する方も見受けます。

 

Go Toトラベルキャンペーンとの並走

緊急事態宣言解除以降、日増しに増加する感染者数を鑑みると、この入場者数制限緩和の再延長も致し方ない所だとは思いますし、同様に多くの音楽コンサート事業者もそう感じたとは思います。

 

だからこそ、制限の解除や営業の再開をしないと廃業に追い込まれてしまうような音楽コンサート業界やライブハウスもこの制限には従って耐えています。

そんな中でのGo Toトラベルキャンペーンの実施でしたから、我慢して耐えていた事業者にとっては自粛との矛盾を感じずにはいられませんでした。

 

これは観光業の市場規模の大きさに起因するのだろうとは思いますが、2019年の国内旅行消費額は21兆9,312億円と巨額です。

 

対して、2018年の音楽コンサートとステージでのパフォーマンスイベントの総額は5685億円、2019年の音楽ソフトの総生産額は2291億円、配信の売上額は706億円という数字になっているので、こういった市場規模の違いにより音楽業界にとっては厳しいこの相反する対策が取られていると邪推されても仕方がないのではともうっすら思ってしまいます。

 

制限による自粛ムードの拡張 

こと音楽コンサートに関しては、これが一番長期的に引きずる事になりそうな回復への障壁だと感じています。 

 

「制限内であれば開催をしても問題ない。」

としても、音楽やコンサートに強い関心が無い人はその制限内容にまで細かく目を通してはくれません。

"自粛"や"制限"といった会見でのパワーワードやニュース見出しにどうしてもムードを引っ張られてしまうように感じます。

 

もちろん、要請に従い制限内で開催をしている事が伝わっていたとしても、リスク回避としてコンサートやイベントに行くのを控えようという方も沢山いらっしゃると思います。

そういった方に対して無理に来場を促すような事はできませんが、それとは別にまだまだ"コンサートやイベントは悪"というムードの漂いは私個人としては感じてしまっています。

 

自粛要請や今回の制限緩和の再見送りについても、それ自体は異論は無いのですが、「制限内であれば開催を行う事は問題では無い。」という事を同時に強くアナウンスをして頂きたいとは強く願っています。

 

最後に

何度もこのブログでも書いていますが、私見としては2020年内にこの入場者数制限の完全解除、および来場者が完全回復できるとは思っていません。

(同様に感染者を抱えた他国と比べると、5,000人上限ないしキャパの50%というのはかなり緩い制限であるようにさえ感じますので。)

 

なので、ここで挙げた問題点については私見というよりも客観的な整理としてまとめたつもりです。

私個人としては、最後の”自粛ムードの拡張”以外は矛盾や疑問は感じるものの、止むを得なさが上回っているので比較的すんなりと受け入れているというのが本音です。

 

もうこの制限下で収益を作るしかない事がはっきりしたと思うので、こんなエールは何の足しにもなりませんけれど、同業者の皆様、頑張りましょう。

 

タイニーレコーズ八木橋でした。

ではまた◎ 

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