TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

新型コロナによる緊急事態宣言解除。ライブハウスはどのような営業が可能なのか?

急事態宣言が解除となりました。

 

以前、新型コロナがライブハウスに与える影響や現状についての記事を書きましたので、続報的に今回も書いていきたいと思います。

 

↓前回の記事はこちら↓

 

 

政府からの開催目安内容

前回の記事は緊急事態宣言中に書いたもので、ライブハウスには”全くお客さんを入れられない”状況でした。(厳密には、休業”要請”なので法的には営業は可能ですが。)

 

緊急事態宣言が出た現在も、まず前提として以下のような要請が政府より出ています。
※以下、それぞれNHKからの引用になります。

東京など首都圏の1都3県や北海道への移動は慎重に行うよう求めていて、6月19日からは全国で容認する方向。 

 

その上で、”コンサートや展示会などのイベント”に関して、以下のような開催に関する目安がアナウンスされています。

入場者数の上限は、

▽屋内で100人、

▽屋外で200人、

▽または収容人数の半分程度以内の、いずれか少ないほうとしています。

 

来月19日以降は入場者の上限を、

▽屋内・屋外ともに1000人、

▽または収容人数の半分程度以内の、いずれか少ないほうに引き上げます。

 

プロ野球やJリーグなどのプロスポーツの試合は、来月19日以降に、感染予防策を講じることを前提に無観客で開催するよう求めています。

 

さらに7月10日からは

▽入場者の上限を5000人、

▽または収容人数の半分程度以内の、いずれか少ないほうにまで拡大させるとしています。

 

このあと8月1日をめどに、収容人数の半分程度以内の人数であれば、イベントの規模にかかわらず開催を認めるとしています。

以上が、コンサートや展示会などのイベントに関する開催目安として発表されています。

 

ライブハウス営業再開の目安とその解釈

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コンサートは上記制限内であれば、開催しても良いという事になりますね。

 

ですがコレ、正直、少々分かりにくいです。

というのも、これとは別に”ライブハウス”については個別のアナウンスがあるのです。

接待伴う飲食業 ライブハウス

当面、専門家と感染防止策を検討するとしています。

そのうえで、来月19日以降は感染防止策を徹底したうえで営業の再開を認めることにしています。

 

ライブハウスは来月6月19日まで営業再開を認められないという事になりますね。

ということは、上述の”コンサート”というのは、ライブハウス以外で行われるコンサートという事なのでしょうか。

まあ、わざわざライブハウス名指しでこのようなアナウンスをしているので、そうなのでしょう。

 

そもそも、室内コンサートはOKでライブハウスがNGって、どこで線引きをするのでしょうか?

おそらく、座席が常設されたホールはOKという事なのでしょうけれど、ホールとライブハウスの線引き自体、絶妙に曖昧だと思われます。

 

会場としては、営業にあたり然るべき対処内容の確認を行なった上で、営業再開をするでしょうから、店舗毎に確認をとれば済むでしょうけれど、借りる側やお客さん的には少々困惑します。。。

 

いずれにせよ、再開にあたっては、 ”ソーシャル・ディスタンス”を考慮したキャパシティ調整を行う必要があるでしょう。

 

当然、観客同士の体が触れるような状況にはできませんし、ステージと観客の距離が構造的に近い店舗では、飛沫が飛ばないような対策をする必要もあります。

 

つまり、営業再開ができても、コロナ以前と同じ環境では営業できません。

もちろん、それは仕方がない事です。

クラシックのコンサートであれば、むしろ快適に観ることができるかもしれませんが、ライブハウスの場合は少々事情が異なります。

 

ライブハウス営業再開後の懸念点

ライブハウスで主に行われる公演内容は、ロックやクラブミュージック、アイドルなどのポップスがほとんどです。

 

ロックやクラブミュージックといったポップミュージックの場合、観客も声を上げたり、混雑による熱気も含めて、場を楽しんでいます。

ただ”ライブが観れれば良い”訳でもないのです。

 

そんな心配の中、広島のライブハウスで以下のようなTwitter上でのアナウンスがありました。 

無論、この白いバミリ位置でお客さんはライブを観る事になります。

おそらく、他のライブハウスも、同様に”距離を保った”上での営業再開になっていくでしょう。

 

めちゃくちゃ努力や熱意も理解できますし、「頑張って欲しい!」と心の底から思います。

ですが、こうも思わざるを得ません。

「この状況で楽しいかな。。。?」

 

ライブをするアーティストや会場を応援したいというお客さんは、この状態でも最初は行くと思います。

行くとは思いますが、この状況が続けば徐々に足が遠のくようにも思います。

 

なぜなら、お客さんは、”楽しむ為にライブに行く”のです。

お金や時間を使って(さらにはコロナ感染リスクまで)楽しみに行く訳ですから、満足度がそれを上回らなければ、次第に離れていってしまうように思います。

 

そもそも、この距離感を保つという事は、会場キャパシティを大幅に削っている事になります。

ライブハウスはチケット売上とドリンク売上で成り立っています。
そこから出演者への出演料も支払われます。

 

キャパを削れば、売れるチケット枚数上限も下がりますし、ドリンク売上も下がります。

けれど、人件費や家賃などの固定費は以前のままでしょう(多少のカットはできるにせよ)。

レンタルで貸すにも、キャパが削られている訳ですから、コロナ以前と同額のレンタル使用料は提示する事はできません。

 

キャパを削る以上、どうやってもチケットやドリンク売上、レンタル使用料での収益は落ちるのです。

 

まとめ

まず、どのような形であれ、営業再開ができる見込みが立ってきたのはひとまず喜ばしい事です。

ライブハウスのスタッフは皆、ライブハウスの仕事に誇りや情熱を強く持っています。

 

「やれる」

というのはそれだけでかなり救われると思います。

 

同時に、ここに挙げたような懸念もあります。

営業再開が正式に認められたとしても、「自粛しろ!」という近隣住民の圧力もあるかもしれません。

 

ここでは、現状の政府要請の内容の整理と、再開後の懸念のみを書いています。

なぜなら、どの店舗にも共通して有効な打開策は、私も全く見えていません。

 

前回のライブハウス記事で書いたような、急場しのぎの営業と、国や各都道府県の給付金などに頼らざるを得ません。

 

すでにいくつものライブハウスが閉店しています。

まだまだライブハウスにとって難しい状況は続きますが、解決策だけは引き続き考えていこうと思います。

 

 では、また◎


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