TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

ロック・ファン御用達、モッズコートと呼ばれるM-51フィールドパーカーとは?

のブログでもちょこちょこと書いているかもしれませんが、音楽とファッション、非常にリンクした関係です。

 

ミュージシャンはファッションにより、そのパブリックイメージを強固なものにしますし、音楽ジャンルによって特有のファッション・スタイルを持っていたりもします。

 

逆にファッション・デザイナーはミュージシャンのファッションをデザイン・ソースにする事も多いですし、ブランドの広告塔としてミュージシャンを起用する事も少なくありません。

 

シンプルに、音楽が好きな人にはファッションが好きな人が多いですし、ファッションが好きな人には音楽好きが多いですしね。

かくいう私も、アパレルから音楽に転身した身です。

 

という事で、今回はモッズコートについて書いていきます。

 

 

モッズとは?

その始まりと歴史

私自身大好きなカルチャーなので、詳しく書くとそれだけで記事が終わってしまうので、ここでは簡単に。

 

イギリス発祥のカルチャーで、1950年代後半〜1960年代中頃に流行した音楽やファッションを中心としたスタイル全般を指します。

 

音楽的には、ブラック・ミュージックやスカといったルーツ・ミュージックが愛好されていました。

 

しかし、”モッズ・バンド”として指し示す際には、THE WHO(ザ・フー)やKINKS(キンクス)、SMALL FACES(スモール・フェイセス)といった英国オリエンテッドなロックバンドがその範疇になります。

 

また、その後の1979年に公開された映画「さらば青春の光(原題:Quadrophenia)」で描かれるモッズのスタイルに触発された若者により、モッド・リバイバル(ネオ・モッズ)が起こります。

 

代表的なアーティストとしては、THE JAMが挙げられ、フロントマンのポール・ウェラーは今尚モッド・ファーザーとも呼ばれ多くのモッズ・ファンに愛されています。

 

広義に捉えると、1990年代中頃のBRIT POP(ブリットポップ)の中の一部のバンドにもモッド・アティチュードは見られ、しばしばネオ・ネオ・モッズのように呼称される事もありました。

 

そのファッションとライフスタイル

ファッションはというと、タイトにオーダーメイドした三つボタンスーツやフレッドペリーなどが代表的です。

 

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出典:amass

クラブイベントでの夜遊びを好み、その移動にはスーツでも乗りやすいランブレッタなどのスクーターを選びました。

モッズ・コミュニティ内での注目を集める為、ミラーなどでデコレーションを施していたのも象徴的です。

 

しかし、バイクでの移動は排気ガスなどでせっかくのオーダースーツが汚れてしまいます。

労働者階級の若者を中心としたカルチャーであったため、彼らにとってオーダースーツは高価なものでした。

そこで、アメリカ軍放出品として格安で手に入る”M51フィールドパーカー”に目をつけ、こぞってスーツの上に羽織るようになり、それが後にモッズ・コートと呼ばれるようになりました。

 

M-51フィールドパーカーとは? 

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1951年型のアメリカ軍の極寒地用の防寒服で、フィールド・ジャケットの上から羽織るものとして採用されました。

 

裾のバック部分の特徴的なデザインから、”フィッシュテールパーカー”とも呼ばれています。

 

後継モデルの"M-65"も類似のデザインで、厳密には年代的にもオリジナル・モッズは着用はしていませんが、モッズパーカーやモッズコートとして含む場合も多いです。(セカイノオワリがM-65を着ていましたね。)

 

多くのアパレル・ブランドがインスパイアされ、このタイプのコートを作っているので、似たものを持っている方も多いと思います。

ちなみに、オリジナルのM-51やM-65は状態の良いものだと、近年は徐々に見つけにくく、値段も上がってきています。

 

また日本では、「踊る大捜査線」で青島役を演じる織田裕二が着用をしていた事でも有名です。 

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出典:踊る大捜査線 グッズ捜査本部

余談ですが、何度か仕事でフジテレビのスタジオに行く機会があったのですが、このM-51がガラスケースにドドンと飾られていました。(それだけこの作品がフジテレビに及ぼした影響が大きいのでしょう。)

 

最後に

かなりの駆け足でしたが、このパーカー、モッズの為に作られた訳でも、もちろん青島刑事の為に作られた訳でもない事は伝わったかとは思います笑。

見た目が完全に軍モノなので誰もそんな事は思わないでしょうけど笑。

 

先にも書いた通り、多くのブランドでこのM-51やM-65をデザイン・ソースにした物が販売されています。

 

「オリジナルを着た方がいい。」

そんな事は全くないと思います。(私もユナイテッド・アローズが作ったインスパイア物しか持っていませんし)

 

ですが、もしインスパイアされたものを着るのであれば、”知っていた方が良い”とは思います。(できればモッズについても。)

 

例えば、バンドTシャツとかも、

「この人、そのバンド知らないで着てそうだなー。」

みたいになっちゃうより、知っていて好きで着た方がカッコイイかな?と思います。

(全く知らないでブラック・サバスのTシャツを可愛らしい女の子が着ていたらそれはそれで素敵ですが笑。)

 

そんな訳で、今回はロック好きであれば一度は袖を通した事がありそうな、M-51について触れてみました。

 

 では、また◎ 

 


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