今日5月22日、フジロック中止の文字がSNS上に飛び交い、Twitterではトレンド入りもしていました。
日本経済新聞が情報ソースとなっており、私が気が付いた時には当該記事は既に削除となっています。
私も以前、音楽ニュースサイトの運営をしていた事もあり、誤掲載にしろフライングにしろ、こういった事が起こり得る可能性や怖さを理解しています。
そこで、気になった点や、そもそもこの話はどういう事なのか?をまとめてみたいと思います。
経緯
まず、本日5月22日の深夜0時12分に、この中止記事はアップされています。
その後の午前10時21分に、日経電子版には【フジロックフェスティバルに関する記事の誤掲載をおわびします】として、以下のような謝罪文が掲載されています。
22日午前0時12分に「フジロックも中止 フェスなき夏、音楽ビジネスの修正不可避」という記事を日経電子版で誤って掲載しました。そのなかでフジロックフェスティバルが今年の開催中止を発表したと記述していましたが、中止は発表されていませんでした。読者と関係者の皆さま、取材にご協力いただいた方々にご迷惑をおかけしたことをおわびいたします。
この謝罪文のみを見ると、"謝って掲載"とあります。
"中止"という情報が誤りなのか、"掲載タイミング"を誤ったのかは明言されてはいません。
ですが、削除された記事を見てみると、どうも後者のようです。
以下は削除済みの掲載情報です。
そもそも、中止の確証なく記事の準備をする事は考えにくいですし(写真週刊誌ならいざ知らず)、記述的にSmash(フジロックの主催会社)からのプレスリリースを受けての記事のようにも見えます。
"●日"と書かれていますしね。
ニュースメディアの掲載情報ソースとは?
ここでは、"音楽ニュース"に限ったものとして書いていきます。
例えば、今回のような音楽フェス情報の場合、「開催決定!」、「第○弾ラインナップ発表!」といった物が特に周知したい情報です。
その際、自社のサイトやSNSだけでは周知としては不十分です。
そこで、数多あるメディアに情報周知を委託します。
記事やバナー出稿のように、有料でその周知を依頼する場合もありますが、"ニュース"として掲載を依頼する場合、プレスリリースを送る事で"最新情報"として無償で掲載をしてもらう事ができます。
(但し掲載の保障はありませんし、ニュース掲載も有料のメディアも存在します)
ご承知の方も多いかとは思いますが、プレスリリースとは、「○月○日○時に、こういった情報解禁をするので、掲載をお願いします」とメディア向けに展開する資料の事です。
多くのメディアは、このプレスリリースを元に、リライトを施した上で掲載を行います。
このプレスリリースは、情報発信元が直接メディアに展開する場合もありますし、代行してプレスリリースの展開を請け負う会社も存在します。
なぜ誤掲載が起こる?
情報元からのプレスリリースを記事にしているのに、なぜ誤掲載が起こるのでしょうか?
これは非常に単純な理由で、公開タイミングを誤ってしまうケースがほとんどです。
中でも、午前と午後の時刻を誤ってしまう事が考えられます。
また、プレスリリース自体の日付と曜日が間違えているケースも中にはあります。
私自身、ニュースサイト運営を含め、これまでニュース情報を掲載する業務を数多く行ってきましたが、何度やっても「万が一、解禁日時間違えていたらどうしよう。。」と戦々恐々としてしまいます。
これは完全にメディア"あるある"だと思います。
それを避けるため、ニュース掲載の際には、"情報元のサイトでその情報が掲載されたのを確認してからアップする"という方法を取る場合もあります。
但し、これが休日であったり深夜早朝などの場合、手作業ではなく、タイマーで記事を公開せざるを得ない事も多々あります。
また、"News"だけに、極力解禁時間からタイムラグなく、他メディアよりも早く公開をする事で、アクセスを集めたいという考えを持つ場合もあります。
話を日経とフジロックに戻します。
一つ基礎情報として伝えておきたいのが、フジロックはこれまでもラインナップの発表を深夜0時に行う事が多々ありました。
そこで1つ考えられるのは、本件はタイマー投稿された可能性です。
プレスリリース自体は情報元から受け取っており、記事準備をして帰社
↓
そのあとに、発表の延期連絡があったが止めるのが間に合わなかった
or
そもそもセットした日時を間違えてしまっていた
という流れが予想できます。
音楽メディアの場合は、いわゆる"すっぱ抜き"のような記事を作る事はまずありませんが、本件の場合は一般紙になるので、独自取材の上での推察記事である可能性もうっすらとあるかもしれませんが。。。
フライング記事の影響
このような誤掲載やフライング掲載が起こる事で、どのような影響があるのでしょうか?
どのような情報であっても、その情報をまとめたり、仕込みを行っています。
「第○弾ラインナップ発表!」
であれば、その発表されるアーティストに発表タイミングの確認を行っていますし、
「本日チケット発売!」
であれば、プレイガイドと発売に向けた仕込みを行っています。
その発表に合わせて、WEB広告や交通広告を準備している事もあります。
近年はSNSの普及により、発表タイミングに投稿を集中させる事で、バズを作りトレンド入りをしてさらなる拡散を狙う事もあります。
プロモーション上、情報解禁というのは一大事なのです。
これをフライング掲載などで、先に出されてしまうとどうでしょう。
他に仕込んでいたプロモーション施策との兼ね合いが崩れますし、やりとりをしていた関係各所にも迷惑が及びます。
プロモーションプランには崩れが生じ、収益に影響が出てしまう事すら起こり得ます。
本件の場合に戻します。
フジロックという、音楽フェスの中でも最も関心度の高いフェスで、コロナ禍において開催可否にすでに注目が集まっていました。
そんな中での今回の誤(フライング?)掲載だったので、奇しくも"フジロック"というワードがTwitterトレンド入りもしてしまいました。
トレンド入りとはいえ、この場合は炎上に近いです。
この情報が、フライングではなく誤情報で、中止はなく開催されれば、注目度はさらに増す結果ではあるので、結果オーライと受け止めれるかもしれません。
私は、フジロックきっかけで音楽業界にどっぷり浸かったフジロック信者です。
そうなってくれる事に、淡い期待を込めて締めたいと思います。
では、また◎