TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

【魅惑のMVクリエイター①】 The Chemical Brothers(ザ・ケミカル・ブラザーズ)とDom & Nic(ドム&ニック)

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ュージック・ビデオ。

 

今回はこのMVにフォーカスをして、素晴らしき音楽と映像の世界を作り出すクリエイターをご紹介していきたいと思います。 

 

今後も何度か続けていこうと思いますので、初回となるこの記事では、The Chemical Brothers(ザ・ケミカル・ブラザーズ)とDom & Nic(ドム&ニック)にフォーカスします。

 

 

MV(ミュージック・ビデオ)とは?

いつしかPV(プロモーション・ビデオ)ではなく、MV(ミュージック・ビデオ)と呼ばれる事が多くなりました。

 

厳密にいつ頃からそう呼ばれ出すようになったのかは、はっきりとは言えませんが、Youtubeの台頭くらい(10年くらい前?)から増えだしたような印象もあります。

 

今でこそユーチューバーなど色々な映像が存在しますけど、当初は音楽ビデオを観るプラットフォームとして普及していったかと思います。

 

PVもMVも意味合い的にはニアリーイコールといった感じなので、どちらで呼んでも差し支えはないと思いますが、アーティスト側で発信する際の呼び方としては、アティテュードの違いになるかと思います。

 

”プロモーション・ビデオ”はもちろん、プロモーション、宣伝の為に制作されたビデオ・クリップという意味合いになります。

MTV全盛時代などでもそのように呼ばれていました。

 

”ミュージック・ビデオ”も、基本的にはプロモーションの為に制作はされていますが、わざわざ何故そう言い換えているのでしょう?

 

御察しの通り、”アーティスト活動の中の一つの作品として作り上げている”からです。

 

PVと呼ばれている頃から、マイケル・ジャクソンの「スリラー」に代表されるように、プロモーションだけでなく、アーティストや楽曲のイメージをより明確に伝える作品といての機能は担っていました。

 

そんな、”魂を込めて作り上げた映像作品”を”プロモーション”と呼ぶのは、表現者やクリエイター目線からすると、どこかしっくり来ないのは想像に難くありません。

 

The Chemical BrothersとDom & Nic

The Chemical Brothers(ザ・ケミカル・ブラザーズ)について

トム・ローランズ とエド・シモンズによるイギリスはマンチェスターの2人組、エレクトロ・ミュージック・ユニット。

 

The Dust Brothers(ダスト・ブラザーズ)名義での活動ののち、けたたましいサイレン音をブレイクビーツに乗せた名曲「Song to the Siren」でレコード・デビュー。

 

90年代後半にはファット・ボーイ・スリムやプロディジーなどと共に、BIG BEAT(ビッグビート)/デジタルロック・ブームを牽引し、以降世界中のフェスでヘッドライナーも務めてています。

 

前衛的でありながらも、ポップ・ソングへの目配せがありキャッチーな楽曲も多く、「Block Rockin’ Beats」、「Hey Boy Hey Girl」、「Star Guitar」等々、数多くのヒットを量産し、現在までダンスミュージック・シーンの最前線に君臨し続けているビッグ・アーティスト。

 

また、ノエル・ギャラガー(オアシス)、リチャード・アシュクロフト(ザ・ヴァーヴ)、バーナード・サムナー(ニュー・オーダー)、ベックなど多くのロック・アーティストもフィーチャリングしており、ロック・ファンからの人気も非常に高い。

 

Dom & Nic(ドム・アンド・ニック)について

1994年から活動を続けている、ニック・ゴフィーとドミニク・ホーリーの2人による映像クリエイター・ユニット。

 

主に、ミュージック・ビデオや広告映像を手掛けているが、特にザ・ケミカル・ブラザーズとの仕事で知られ、彼らの多くのMVを制作している。

 

他にも近年では、DAVID BOWIE & TRENT REZNOR「I'm Afraid of Americans (Uncensored Version)」や、ROBBIE WILLIAMS「She's the One」などを手掛ける。

 

MV紹介

The Chemical Brothers - Wide Open ft. Beck (Official Music Video)

このミュージック・ビデオが好き過ぎて、この記事を書こうと思ったようなものです。笑

 

公開された2016年当時、レコード・リリースに先駆けてこのビデオがリリースされたので、曲と映像を同時に初めて観て聴いたのですが、曲、映像共に度肝を抜かれました。

 

まず、UKではなくUSのアーティストであるBECK(ベック)をフィーチャリングしている事が驚き&嬉しかったですし、ケミカルのリード・トラックとしては珍しくダウンテンポでミニマルな楽曲である事にも驚きました。

 

ただ、そういったギャップ的な要素ではなく、何より度肝だったのは、曲と映像のクオリティです。

 

私はベックの大ファンでもあるのですが、「オディレイ」や「ミッドナイト・ヴァルチャーズ」といったごった煮のポップ然としたベックらしいヒット作よりも、「ワン・フット・イン・ザ・グレイヴ」や「ミューテイションズ」のような内向的なアコースティック・アルバムが特に好きでした。

(グラミーも受賞したその後の作品「モーニング・フェイズ」も最高です!)

 

この切ない失恋ソングである「Wide Open」は、それらの素晴らしい歌唱のどれにも勝るベックの”歌の良さ”が引き出されていると感じました。

 

そして、映像。

構成としては、女性バレエ・ダンサーがひたすら踊り続け、その中で次第にその形が失われていくというシンプルなもの。

それがひたすらに美しいのです。

 

これは個人的な好みですが、派手な演出やシーンの切り替えはあまり好きではなく、”ワンアイデア”を突き詰めて撮られたものが非常に好きです。

 

ザ・ケミカル・ブラザーズで言うと、延々電車の車窓からの映像が続く「Star Guitar」や、さながらリアル・レガッタ人形のような「Go」、BMXで延々と街を走る姿を逆再生したイアンブラウンの「F.E.A.R」など、ワンアイデアであるからこそ印象も強く残ります。

 

好き過ぎて長くなりましたので、次に進みます。苦笑

The Chemical Brothers - The Making Of Wide Open

好き過ぎて、そのメイキング映像です。笑

メイキングではありますが、楽曲に合わせて編集されているので、非常に観やすいと思います。

 

本編を観れば、

「これ、どうやって撮っているんだろう?」 

と誰もが思う映像なので、純粋にその技術を楽しめてオススメのビデオになっています。

The Chemical Brothers - Hey Boy Hey Girl (Official Music Video)

一般的にはおそらく最も有名な楽曲。フェスでも必ずプレイされていますね。

 

MVでは、”見た人間がみんな骨だけに見えてしまう”という女の子を中心に進んでいきます。

英国人らしいアイロニカルなアイデアが面白い作品です。

 

The Chemical Brothers - Setting Sun (Official Music Video)

オアシスのノエル・ギャラガーをフィーチャリングした初期の大ヒット曲。 

 

ブリットポップ全盛の1996年の作品なので、改めて今見返してみると、映像の色味やファッションなど、かなりブリットポップ臭が強いですね。笑

 

当時の英国ユース・カルチャーを切り取ったようなショート・ムービー的な作品です。

 

まとめ

思い入れの強さから「Wide Open ft. Beck」に文字数をだいぶ割いてしまいました。苦笑

 

ザ・ケミカル・ブラザーズのMVでは、ドム&ニックによる映像が非常に沢山あります。

 

ジャケット・デザインを固定のデザイナーに委ねる事で、アーティスト・イメージを強化するように、ミュージック・ビデオにおいても同様の事が言えると思います。

 

お気に入りの曲であれば特に、MVも併せて観ていくと、一層楽曲を好きになったり楽しめるのでは?

という事で、また次回も別のアーティストで書ければと思います。 

 

TINY RECORDS八木橋でした◎

では、また◎

 


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