TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

レコード店の出店・独立開業方法(オンラインショップ編)

「レコード屋を始めたい!」

という方も、そう多くはないご時世ではあると思います。

 

そんな需要の薄さはよそに、そんな方向けの記事になります。

 

はじめましての自己紹介(音楽業界に入ってから転職を重ねて今日に至るまで)でも書きましたが、24歳の時にオンラインの中古レコード店を、27歳の時に実店舗を出店した際の経験談になぞらえ、書き進めたいと思います。

 

その年齢でも自己資金のみで可能だった、小規模なお話となります。

小規模店であれば、ハードルはさほど高くありませんし、オンラインショップに至ってはすぐに開業可能です。

 

実店舗とオンラインショップの両方について書くつもりでしたが、案の定、とても長くなったので、今回は"オンラインショップ編"です。 

 

レコード屋ではないにせよ、ネットショップや独立開業を考えている方にも参考になる面はあるかと思います。

また、こんなご時世だからこそ、副収入の選択肢のひとつとしての提案にもなればとも思いますので、どうぞお付き合いください。

 

 

サイトオープン準備

f:id:TinyBicycleClub:20200511054958j:plain

販売サイト制作

オンラインショップとなりますので、当然、インターネット上で商品の販売を行います。

真っ先に準備したいのは、販売サイトになります。

 

ゼロからサイトを制作しても良いですし、近年ではBASEやSTORESなど、簡単に商品販売ができる多くのプラットフォームもありますので、それらを使ってはじめても良いと思います。

 

販売する商品

次に、何はなくとも販売商品です。

私の場合のように、もともとアナログレコードオタクで、既に売るほど所有のレコードがあればそれを元手にスタートするのも良いでしょう。

 

海外買付という方法もかつては一般的でしたが、マーケット自体が縮小している現在では、買付のためだけに海外まで行くのはハイリスクかもしれません。

海外ではなく、国内の中古レコード店を巡り、国内で仕入れをしても特に最初は問題はないと思います。

 

古物商許可申請

中古レコード販売の場合、「古物商許可申請」が必要となります。

いわゆる中古・ユーズド商品の販売に必要な申請になります。

「免許」と誤解をされている方を多く見受けますが、「申請」ですので試験があるような事はなく、必要書類の提出のみですぐに申請完了となります。

 

梱包資材の手配

商品が売れたら宅配サービスや郵便局などで発送を行いますので、その際に商品を梱包する物が必要です。

 

レコードやCDは「割れ物」ですので、衣料品や書籍に比べると梱包には気を使う方がベターです。

レコードは専用の梱包用ダンボールが販売されていますし、CDはエアキャップ(プチプチですね)を使うのが一般的です。

 

また、店名やロゴ入りのレコード袋も作っておけるとより良いです。

予算や時間的に間に合わない場合は、印刷の無い無地のレコード袋も売っているので、それで代用も可能です。

 

売り上げ管理の為の銀行口座

クレジットカード決済にしても、代金引換便にしても、お客様から商品代金をもらい受ける銀行口座が必要です。

今はほぼ全ての銀行で可能だと思いますが、オンラインで残高確認や振込ができるようにしておくと、何かと便利です。

 

販促(プロモーション)の準備

オンラインショップをインターネット上に公開をするだけでは、オープンした事は気がついてもらえません。

 

ロゴやサイトデザインもブランディングには大事な要素なので、プロモーションと言えますが、もうちょっと直接的な仕込みも必要です。

 

いわゆるSEO対策はマストで必要です。

ショップカードやフライヤー(チラシ)を作り、実店舗のレコード屋さんに置いてもらったり、音楽イベントに折り込んでもらうなども、ジャンルに特化した商品展開などでターゲットが絞られている場合には有効です。

SNS広告などもターゲットを限定して出せますし、少額でも利用できるので悪くないかもしれません。

 

必要な費用

費用はかけようと思えばいくらでも掛かりますが、ここではミニマムな金額感を記載します。

私の場合は、仕入れやサイト制作のコストが掛からなかった為、数万円しか掛かりませんでした。

 

サイト制作費用、独自ドメイン料、レンタルサーバー代

サイトを自分で作るのか、外注をするかで大きく変わります。

 

自分で作ればもちろん0円ですし、外注すればコストが掛かります。

ゼロから外注する場合、ページ数や内容にもよりますが、おおよそ20〜30万円程度で収められるとは思います。

 

販売プラットフォームを使用すれば、Web制作の素人でもほぼ自前で作れると思うので、軌道に乗るまでは外注をしないでも良いと個人的には思っています。

 

ドメイン(独自URL)については、取得しておいた方が良いです。

販売プラットフォームを借りる場合でも、途中で別の販売プラットフォームに変えたい場合や、改めてゼロからサイトを作成したい場合に、独自URLであればURLを変えずにサイトを移行できます。

費用も、.comや.netなど、そのドメインにより料金は異なりますが、年間数千円程度です。

 

サーバー代

これも販売プラットフォームを利用する場合は基本的にはかかりません。

別途借りる場合でも、余程多くのアクセスやデータ量を使用しなければ、年間数千円のサーバーで事足りると思います。

 

商品仕入れ代

やりたい規模や、販売ターゲット、取り扱いが新品商品か中古商品かでもやや変わってくると思います。

 

いわゆるレア盤専門であれば商品単価が高くなりますし、廉価な中古盤であれば単価は低いです。

新品商品の場合は、販売価格(上代)と仕入れ価格(下代)が決められている為、利益率は低いです。

 

少ない商品数で次々と入れ替えて売るのも、アーカイブ的に多くの商品を展開して売るのも、それ自体がマーケティングです。

取扱商品や目標に掲げる売上に応じて、仕入れにかけるコストは設定をしてください。

古物商申請費用

古物商の申請は警察署で行います。

その際、手数料として19,000円が必要となります。

また、これは万一、許可が下りなかった場合でも、原則としては返金されないようです。

ですが、よほどなんらかの問題がない限りは、すんなり通ると思いますので心配は不要であると思います。

 

梱包資材費

梱包に使うダンボールや袋、ガムテープ、レコード袋などです。

一度に多くの量を仕入れるほど当然コストは下がりますが、高いものではないので最初は最小限の準備で問題ないと思います。小ロットでも1梱包100円程度です。

ダンボール LPレコード/12inchレコード[25枚セット]

ロゴや店名を印刷したレコード袋であれば、最低注文ロットもあるのである程度まとまった数量は必要ですが、それでも数万円で収まると思います。

 

販促(プロモーション)費用

音楽やレコードなど、ターゲットが絞られた専門性の高い業種の場合、広範囲に認知してもらう必要はありません。

 

サイトへの流入の大半は検索からになってくると思います。

検索結果の上位に表示されるよう、SEO対策に注力するのが一般的です。

通販でレコードを買いたいという顧客は、例えば「レコード 通販」や「ロック 専門店」など、検索ワードを入力して店舗を探します。

その際に検索上位(上の方に出てくる)であるほど、多くの人がお店に辿り着いてくれます。

 

SEO対策の業務を委託する会社も多くありますが、独学で書籍やネットで知識を得るだけでもある程度の対策は可能だと思いますので、まずは自身で実践するのが良いと思っています。

 

その他、SNS広告や音楽メディアへバナーやオープン情報掲載の出稿、ショップカードやフライヤー(チラシ)、ノベルティの制作なども選択肢には出てきますが、小規模に行う際には追って検討をする形で問題ないと思います。

 

出店経験からの補足とまとめ

オンラインショップの場合、偶然ふらっと入ってくるという事は基本的にはありません。

 

オープンした時点では誰もその存在を知らないので、"自分のショップを知ってもらう"、"一度サイトを見てもらう。"という事に、まずは全ての労力を費やすべきですし、おのずとそうなると思います。

 

長くしっかりと続けていれば、検索からの流入のウエイトは増えていきます。

検索をしてオンラインショップに辿りついた閲覧者というのは、

"レコードを買うつもりで検索している、能動的な顧客"です。

 

その為、見てもらえた次には、

「良い商品がある事」

が重要になってきます。

 

"サイトへのアクセスの流入""魅力的な商品構成"の2点が特に、オンラインショップの場合は重要ですので、そこにコストや時間をかける事が運営上合理的だと感じています。

"自分のお店"となると、サイトデザインなどのブランディングにこだわりたくなるとは思いますが、あとからいくらでも手直しできます。

 

商品が欲しくて辿りついたお客さんは、サイトデザインが好みではないからと言って、商品を買わなくなる事はありません。

欲しい商品がある店を探しているはずです。 

レコードなどの、マニア/コレクターをターゲットにしている場合は特にそうだと思います。

 

実店舗と違い、固定費やランニングコストがほとんど掛からないのが、オンラインショップの大きな利点です。

固定費のリスクが無いので、オープンをしてからすぐに売上が作れなくても、予算的な問題がありません。

走らせながら手直しをしていく事ができます。

やってみないとその直すべき部分も分からなかったりもします。

 

例えば、「ちょっとした副収入に」や「ゆくゆくは自分一人が生活できる収益が出せれば」という事であれば、個人的には"まずオープンさせてみる"事をオススメします。

 

実店舗編も、間を空けずに近日中にアップできればと思いますので、そちらも是非読んでみてください。

 

では、また◎ 

 


音楽評論ランキング