TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

音楽アーティストに直接聞いて感じた、コロナ禍やSTAY HOMEで募るライブへの渇望。

イブハウスの記事でも記した通り、音楽業界にとってはネガティブでしか無いため、あまり書きたくはないコロナ関連についてです。

 

と言っても、今回はそこまでネガネガはしない内容になると思います。

 

「音楽業界は何がどう変わってもアーティストが主役で、そのほかは全て裏方だ」とこのブログで何度か書いています。

 

つまり肝心なのは音楽アーティストです。

 

音楽業界とか音楽ビジネスと言うと、"音楽を通じで利益をあげる仕事"のようにも思いますが、利益だけのことではなく、"アーティストの目標や、やりたい事の実現を共に目指す仕事"だとも私は思っています。

 

なので、私達裏方の考えるところ、思うところも勿論ありますが、

アーティストが今このコロナ禍において何を思うのか?

ということを知るべきであるし、知りたいと思いました。

 

そこで、このブログとしてではありませんが、外部メディアの企画として、直接アーティストに話を聞く機会を作りました。

直接意見を伺うことで、我々裏方だけでなく、ファンの方もアーティストとの向き合い方のひとつの参考や指針になれば幸いです。

 

この企画を終えて、

「やっぱりライブって音楽にとっては大切なのだな。」

と強く実感させられました。

 

 

音楽アーティストの置かれる現状 

f:id:TinyBicycleClub:20200510030634j:plain

観客を入れたライブ活動の停止

緊急事態宣言下にある現在は、観客を入れた全てのライブ興行は停止されています。

ライブハウスや音楽フェス・イベントが軒並み中止や延期になっている事とイコールになりますが、アーティストのライブは現在は行われていません。

加えて、いつこの緊急事態宣言が解除されるのかも、解除されたとしてもどのような制限の下にライブが行えるかも、現在は分かっていません。

 

今後、「こういった条件の下であれば、ライブを行なっても良いです」となったとしても、すぐにライブができる訳ではありません。

 

観客を入れたライブを開催するという事は、仮にアーティストが趣味で音楽活動をしていたとしても、その公演は経済活動です。

ごく小規模なライブハウスであってもです。

ライブハウスという場所を使い、PAや照明、ホールスタッフの人件費が発生し、来場者はチケット代や入場料を支払い入場をします。

 

プロモーションライブや企業クライアント案件などで無い限り、その来場者からいただいた売上から、会場費や人件費は支払われます。

 

という事は、来場者がいなければ、誰かが身銭を切らない限りはライブ公演はできないのです。

そうならない為に、プロモーション期間やチケットの販売期間が必要となります。

 

人気アーティストであれば、SNS投稿だけのノンプロモーションでチケットは売り切ることができるかもしれませんが、大きなアーティストになるほど、必要となるスタッフや仕込む作業は増える為、やはり一定の準備期間は必要となります。

 

そのような理由から、例えば「6月からライブをしても良いです」となったとしても、その日からすぐにライブ公演が行える訳では無いのです。

 

現時点では5月末まで緊急事態宣言となっていますが、私達がライブをリアルの場で楽しむまでには、まだまだ時間がかかりそうです。

 

オンラインでのライブ配信

そんな" 場"を失う状況の中、すでに書いたライブハウス同様、ライブ配信が代替の場となっています。

 

ライブ配信による収益化については、上記の記事に記していますので参照をいただくとして、そもそもアーティストは、ライブ活動の停止による収益補填の為に、ライブ配信をしている訳では無いように感じています。

 

そもそも収益化の動線は全く作らず、ライブ演奏を無料で配信されているアーティストも非常に多いです。

 

それは何故か考えると、

  • 表現欲求
  • 社会貢献

この2つをアーティストは併せ持っているからではないかと、感じていました。

 

実際にアーティストに意見を聞いて見えたもの

回答いただいたアーティストとそのメディア

そんな推察の確認や、シンプルに「どう感じているのだろう?」という興味もあり、冒頭にも書いた通り、それを知る機会を設けました。

なにより、ファンはアーティストの音楽だけでなく、その声や意見も聞きたいはずなので、その"場"に少しでもなってくれたらという思いもあり。

 

 

セレクトショップのFREAK'S STOREの運営するWEBメディア「FREAK」というサイトでの企画となります。

 

「アーティストの考える“STAY HOME”とその先にあるもの。」

というタイトルで、全14組のミュージシャンに一問一答形式で、コロナショックによって今考えている事や気持ちを伺いました。

 

全3回の短期連載となり、その記事については以下のリンク先を参照いただければと思います。

https://freak.daytonajp.com/2020/04/17/stayhome_1/

https://freak.daytonajp.com/2020/04/26/stayhome_2/

https://freak.daytonajp.com/2020/05/08/stayhome_3/

 

今回、回答にご協力をいただいたアーティストは以下の14組でした。

 

vol.1

 

vol.2

 

vol.3

 

一問一答の質問内容は、

  1. アーティスト活動のスタイルに影響はありますか?
  2. 表現を続ける上でポジティブに捉えている側面はありますか?
  3. この状況が終息したらなにをしたいor行きたい場所はありますか? 
  4. 終息後に新たな活動などは考えていますか?

という4つ。

 

多くのアーティストからの回答になりましたが、そんな中でも、共通する回答がいくつかありました。

 

ライブがやりたい

記事として「FREAK」のサイト内にまとまっているものなので、ひとつひとつその回答をここでは挙げては書きませんが、多くの回答にこの言葉がありました。

 

「ライブがやりたい」

ということです。

 

これも、新型コロナとライブハウス。その影響・現状は? で書いたのと同じように、我々ファンがリアルなライブの場を求めるように、アーティストもライブを強く求めているのです。

 

音源がたくさん聴かれたり、オンライン配信がたくさん観られれば、"ファンの数"は認識ができます。

ですが、そのファンは当然数字ではなく、一人一人の人間です。

そんなファン一人一人の存在を感じる事ができるリアルなライブは、むしろファンよりもアーティストにとって必要なのかもしれません。

 

スキルアップやインプットの時間

もう一つの多くの共通する回答に、"スキルアップやインプットの時間"として、今のSTAY HOMEの時間を使っているというものがありました。

 

作曲などのクリエイティブに時間をかけたり、新しいチャレンジや学びに時間を割いたり。

その内容に違いはありますが、こんな状況であっても、アーティスト活動への向上に繋げる気持ちを感じる回答がとても多かったのです。

 

ライブだけでなく、スタジオに集まってレコーディングを行うことも難しい現状です。

でも、多くのアーティストが今、スキルアップやインプットの時間を過ごしていると考えるとどうでしょう?

 

名作、名曲、名演が生まれる予感がしませんか?

 

そんな楽しみを持てるだけでも、元気をもらえる人が沢山いると思います。

アーティストの偉大さを改めて感じる想いがしました。

 

まとめ

今回は、裏方ではなく、「主役であるアーティストの目線を知ろう。」という記事でした。

 

コロナショックが起こった事について、"良かった"なんて思うことはひとつもありません。

ですが、起こってしまった以上、その状況を生きなければなりませんし、いつか終息はあるものです。

 

音楽好きにとって、"また音楽を楽しめる"と事を想像するのは、とてもポジティブで励みになる事だと思います。

 

コロナに関しての記事を書くことはあまり気乗りはしませんが、今回は暗い気持ちにならずに書けた気がします。

 

アーティストはやっぱりグレートですね。

 

では、また◎

 


音楽評論ランキング