TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

2020年大流行?いつもとは違う今回のバンドTシャツ・ブーム

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年2020年、バンドTシャツがトレンドだと言う記事や言説を度々見かけます。

 

実際にどの程度流行しているのかは、繁華街に外出をしていないので分かりません。。。

確認できるとしたら、インスタグラムなどSNSのコーディネート写真くらいではありますが、実感としてはなんとも言えないのが本音ではあります。

 

が、コロナショックもなかったとすれば、サイクルや流れを考えると確かに流行ってもおかしくはないタイミングなのかな?とは思います。

 

そんな訳で、音楽好きの方にも遠からぬお話だとも思うので、たまには今回は肩の力を抜いたライトな題材ということで「バンドTブーム」について、書いていきたいと思います。

 

ちなみに、今回のバンドTブームはこれまでとちょっと対象となるバンドが異なる印象で、個人的には結構乗っかって楽しみたいと思ってしまっています。

 

 

バンドTシャツの購入動機

私自身、かなりバンドTシャツを買う部類の人間だと思っています。

 

数ヶ月前、あまりのバンドTシャツの量に家のスペースが圧迫されていたので、ライブハウスなどで2度ほどバンドTフリマを行わせてもらって80枚くらい処分をしたのですが、それでもまだ50枚以上は手元に残っています。(ちなみにスタッフTの類は200枚くらいあって売るわけにもいかず困っています。。。)

 

これはコレクター気質で集めていた訳では全くなく、自然とそうなってしまいました。

 

どういう購入動機で買っているのかを考えてみると大きく3つの理由があるかなと思います。

  • スーベニア(お土産)要素
  • 主張(メッセージ)として
  • デザインの面白さ(インパクト)

この3つに分類されるのかなぁと。

 

私の場合はあまりファッション用途で買う事はありません。

 

厳密に言うと、普段着として着ることも考えて選んではいるのですが、結局ほとんど着る事がないというのが正しいかもしれないです。(ライブハウスに行く時などは意識的に着ることもあるのですが)

 

スーベニア(お土産)要素で買う場合

レコードや書籍に関しては幾らかのコレクション心というか、手元に物として持っておきたいというマニア的な気持ちも含めて買うこともありますが、ライブ会場で買うTシャツに関してはお土産代わりの部分がかなり大きいです。

 

私の場合、かなり思い出の記憶力が悪く、行ったライブとか全然記憶できないのもあり、思い出を脳に定着させる手助けにしているところもあったりも、、、。

 

あとは単純に好きなアーティストの物であれば、なんの打算もなく、純粋に欲しいと思う事ももちろん多々あります。これもお土産要素に入るのかなと。

 

例えば↓のダイナソーJRのTシャツなどは、完全にただ大好きなバンドだから問答無用で購入している感じです。

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ただ、貧乏性なもので完全にお土産と割り切る事がなかなかできず、ツアーTのような背中にツアー日程が書かれている物はほとんど買う事はありません。

 

ここでネックなのが、繰り返し起こるバンドTブームに置いては、ツアーデイトが書かれている方が高額商品対象にはなりやすい傾向にあるようで悩ましい。。。

 

元々は売るつもりで買っていないのでまあそんなに気にはしていませんが。

 

主張(メッセージ)として買う場合

もう一方の主張(メッセージ)として購入する場合です。

バンドTに限らず、プリントTシャツはこれが購入動機になっていますし、そもそもプリントTシャツ本来の存在意義かとも思います。

 

メッセージTシャツに顕著なように、プリントTシャツは自分の主張や考えをTシャツに施したプリントで表明する為の物だと思っています。

 

元々は学校名やバイカーズのチーム名に始まり、商品プロモーション、反戦メッセージなどがプリントTシャツの発祥だったはずですし。

 

メッセージでなくとも、好きなバンドのTシャツを着ていれば、そのバンドが好きな人だという事は一目で分かりますし、自分がどのような嗜好や属性の人間であるかをダイレクトに表現できるのがバンドT、プリントTの魅力だと思っています。

 

バンドTの場合は「そのバンドを着ている」事自体がメッセージになるので、基本的には好きなバンドの物を着る事がイコール、主張になる訳ですが、すでに自分の事をある程度理解している相手に対しては、ジャンル的に少し外して「この辺りも好きですよー」という自己表現にしたりすることも。

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例えば私は大まかにはインディーロック好きですが、もちろんそれらしか聴かない訳ではないですし、時折このナパームデスのTシャツを着たりもします。

 

デザインの面白さ(インパクト)で買う場合

一見、ファッション用途のようにも似ているかもしれませんが、ちょっと違っていて完全にTシャツ単体の面白さやインパクトのみで衝動的に買ってしまうという場合です。

 

例えばこのキングクリムゾンのインパクトたるや。。。

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近年タイダイブームもうっすらあるので、これは普段も着てやろうと思ったりもするのですが、結局なかなか着ませんね。。。

 

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このポップグループなんかもなかなかやっちゃってます。笑

ひょっとこがスーツ着てインタビューに応じているデザインという、かなり風刺の効いたまさにメッセージTというところと、このデザインがAKIRAの大友克洋さんの息子の大友昇平さんによるモノというのが決定打となり購入。

 

ですが、その説明をしないとかなり誤解を招きそうなデザインなので、着る事はなかなかに難しいですね。苦笑

 

「ワンチャン普段着で!」

という貧乏心はありつつも、基本的にはデザインに対しての衝動買いなので、購入動機としては”刺さった”としか言いようもないのかもしれないですね。

 

バンドTシャツの魅力

買いやすい価格帯

購入動機としては上述の3つに分けれるかなというところですが、そもそもガンガン買ってしまう理由があります。

 

値段が絶妙に安いという事です。

 

基本的に国内アーティストであれば2500〜3500円、海外アーティストでも3000〜4000円くらいが相場かと思います。

 

ユニクロとかと比べてしまえば高いかもしれませんが、なにがしかのブランドのTシャツと比べたらだいぶ買いやすいお値段なので、特にお土産的に買おうとするにはちょうど良いんですよね。(ちなみに上に写真をあげたキングクリムゾンのは6000円くらいした記憶がありますが、、、)

 

価格的に買いやすいだけに、購入するときのセレクトのハードルが自然に下がってしまって、家に帰ったあと「なんでコレ買ってしまったんだろう。。。」となりがちで、我が家にはこんなにも全然着ていないバンドTが溢れてしまったのかと思われます。

(しっかりと吟味して買える人には無縁のお話になるのでしょうが。。。)

 

高いリセールバリュー

もう一つの魅力がリセールバリューが高いという点です。

 

Tシャツは直接素肌の上に着る、いわば下着にも近い衣類なので着用済の物を中古販売するハードルはやや上がってしまいがちです。

 

ですが、特にツアーTなどは、買い逃してしまうと中古で探すしか手段がないので、需要の高いバンドのものであれば、いらなくなった際にメルカリやヤフオクで売りやすいと思います。

 

実際、冒頭に買いたように、私のような四十路の親父が着た物であってもバカスカ売れましたしね。(まあ一枚300円という激安価格で投げ売りしたのもありますけど。)

 

物を捨てるのがとても苦手な私にとっては、300円であっても捨てないで済むのは良心を傷めずに断捨離できてとても有難い事であります。

 

いつもとは違う今年のバンドTシャツブーム

これまでのバンドTブーム

過去に何年と何年にバンドTシャツブームが起こったかまではちょっと正確に把握していないのですが、基本的にこれまでそのブームの対象となるバンドは80年代までの物が大半で、中でもハードロックやマドンナなどの80'sポップスターの物が人気の対象になっていたかと思います。

 

レッチリやビースティーボーイズあたりは高額対象になることもあり孤軍奮闘している印象でしたが、どちらもデビューは80年代なので。

 

近年(と言っても20年くらい前ですが。苦笑)だと、UNDERCOVER(アンダーカバー)がコレクションでニルヴァーナの音楽を使ったりポスターに使ったり、Tシャツが大ヒットしたりで価格が高騰しましたが、この時はバンドTブームというよりもニルヴァーナ再評価という感じだったかなと思います。

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今回のバンドTブーム

で、今年。

 

今年は90年代のアーティスト、特にUKのバンドがブームや高額商品の対象にがっつり入っているのです。

 

これはなかなかにビックリな状況で、個人的には

「遂に来たか!」

とガッツのポーズをしたくなってしまいます。

 

予兆はかなりあって、というのも、近年90年代のUKロックのレコードの価格高騰は引くくらいの高額売買がされていて、つまり2020年の現在、90年代のレコードというのは十分にクラシックでコレクターの対象になり得た訳なのです。

 

私がレコード屋を営んでいた頃には普通の中古として2000円弱で売っていたようなレコードが、今では1万円2万円になっていたりするのですから、Tシャツもそのコレクターの対象になってきても不思議はありません。

 

しかし、バンドTブームというのは音楽が大好きな人の中だけで起きている話ではありません。

 

ファッション・シーンでのブームの話です。

 

アパレル業界の方やデザイナーには音楽好きは非常に多いです。

そのデザイナーや業界の方が一定以上のキャリアを重ね、影響力や裁量権を持った状態で、若い頃に好きだったバンドをモチーフに商品作りをするとしたら、90年代のアーティストがそろそろ対象に入ってくる頃だと思われます。

 

以前、アディダスオリズナルスやエイプのデザイナーでも知られる倉石一樹さんのオフィスにお伺いする機会があったのですが、FACTORY51 ハシエンダの図面の大きなポスターが額装されていて、なんだか嬉しくなり大興奮しました。

 

ちょっと頓挫してしまってはいますが、とあるメディアでファッションデザイナーさんに音楽についての取材をする企画を立てていた程に、音楽が好きな方は多いと思います。

 

シュプリームがモリッシーをプロモーションに起用したり、近年はオアシスをモチーフにしたTシャツも多くのブランドから商品化されていたりとジリジリと火が付いている気配がありました。

 

3年前に私も買いましたが、↓のビョークTもスマッシュヒットして、以来毎年セレクトショップで販売されています。(8000円くらいしたので買うときだいぶ悩みました汗)

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こうなってくると、周りとの差別化が重要なファッションの世界。

オリジナルであるバンドのオフィシャルのTシャツに流れるのは必然かなと思います。

 

大のオアシス好きの私でさえ、ライブに行くたびにに

「ダサすぎてお土産としてすらいらねぇ。。」

と思っていたツアーTが、今では数万円で売買されているのですから世の中何が起こるか分りません。

 

ビョークもセレクトショップでかなりヒットを飛ばしたこともあってか、中古市場だとアーティストオフィシャルのものは平気で3万円とかで売られています。

マイブラやジーザス&メリーチェインあたりもかなり高いみたいですね。(知らずにマイブラのフリマで300円で売ってしまいましたが。。。涙)

 

90年代のアーティストが高額売買の対象になった事もこれまでのブームとの大きな違いでもありますが、アメリカ以外のアーティストががっつり対象になってきたのも新しい波のように思います。

 

日本における古着というのは長年アメリカ古着だったと思いますが、近年はユーロ古着が大ブームです。

このユーロ古着ブームも、もしかしたら今回のバンドTブームの下支えになっているのかな?ともうっすら推測を立てていますがどうなのでしょう。

 

うっかり大量のバンドTの断捨離をしてしまいましたが、今年は改めて古着屋のパトロールの強化をして、堂々とファッションとしてバンドTを着れる喜びに乗っかりたいと思っています。(コロナのせいで、まだ人に会う機会があまりないのですが。。。)

 

ではまた◎

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