昨日の記事で、「やっぱり、ポジティブ情報って良いなぁ。」と書いた所ですし、早速そんな内容を考えてみました。
見出しに【My Favourite gigs】と書いた通り、これまで様々なライブを観てきた中でも特に印象深く記憶に残っているものを取り上げていこうと思います。
今回は、2010年のフジロックでのMassive Attack(マッシヴ・アタック)。
ベスト・ライブのような事を考える時にはいつも真っ先に頭に過ぎるライブだったので、この時のライブについて振り返って興奮してみようと思います。笑
ライブレポートではなく、思い出話という感じになりますが、どうぞお付き合いください◎
【目次】
舞台となったフジロック・フェスティバル '10
元々は行く予定の無かったこの年の開催
何年に自分が何をしていたという事を正確に覚えられない性分なので、定かではないのですが、おそらく2010年は渋谷宇田川町でレコード店を営んでいた頃だったと思います。
翌年くらいにこのレコード屋を閉めるくらいのタイミングだったはずなので、金銭的都合でこの年は、
「行きたいけどお金無いから諦めよう。。。」
と断腸の思いでチケット購入を見送ったと記憶しています。
この辺りもはっきり記憶できていないのですが、フジロックは1999年の苗場初年度から2009年までは毎年3日間行っていたと思うので、完全に毎年の恒例行事になっていましたし、開催初日を終えてもまだ、「めっちゃ行きたい、、、。」と悶えていました。
急遽苗場に向かうことに
苗場ではフジロックが開催2日目に入る中、レコード屋のカウンター内でいつものように過ごしていたのですが、友人から1本のメールが入りました。
「今、苗場なんですけど、チケットが余ったので来れませんか?」
という神の声。
事情を聞いてみると、なかなかにディープでした。
ある老夫婦に声をかけられ、その方からもらったとの事なのですが、経緯はこうでした。
「昨年他界してしまった息子が毎年楽しみにしていた、フジロックというものがどんな所か見てみたかったので初めて来ました。
どんな様子かも分かり私達はもう帰ろうと思うのですが、ちょうど息子と同じくらいの年頃のあなたを見て声をかけてしまいました。
よろしければ息子の分にと買っていたチケットがあるので、もらってくれますか?」
電話でこの説明を受けたのですが、内容が内容なだけに、「行きたいし有難いけど、その事情だともらいにくいな。。。」と思い、そう答えました。
が、「言葉で伝えるとそうだけど、単純に元々誰かにあげるつもりで1枚多く買ってきたと言っていたし、何よりもうチケットもらっちゃったんで。」との事だったので、もう2日目の夕方くらいでしたが急遽苗場に向かうことに決めました。
自分のお店の閉店時間は(確か)19時だったので、その時間に店を閉め、
「フジロックの為、お休みします。」
という貼り紙やWeb告知を済ませて電車に飛び乗り苗場へと向かい、開催2日目の夜からフジロック2010への参加を果たす事となったのです。
軽装&降雨により体調不良に
※たまたまグリーンステージの警備のバイトに後輩がいたので撮った1枚。
自分のお店からそのまま苗場に来てしまったので、いわゆるフジロッカー的な装備も無い超無防備状態での会場入り、、、。
毎年来場しているのでフジの過酷さは理解はしていましたが、3日間のフル参戦ではないし、声をかけてくれた友人が車で来ていて【場内1】の駐車場を確保していたので、寝床もまあ風雨は凌げそうという事で楽観視していました。
しかし、タイミングは覚えてはいないのですが、途中から会場は降雨に見舞われました。
それでも調子良くライブを観たりお酒を飲んだりして遊んでいたのですが、3日目の夜になると、「どうにも熱っぽく喉も痛い。」とすこぶる体調が悪い事態に。。。
マッシヴ・アタックの出番は最終日3日目のグリーンステージのヘッドライナー。
大好きだけどライブはこれまで観たことが無かったので、体調不良を押してでも絶対に観ようと覚悟は決めていました。
マッシヴ・アタック前の同ステージにはAtoms For Peaceが出演していたのですが、もちろんそれも観たかったので、よろよろにへばりながらも全編見届けました。
ライブが素晴らしかったのは頭では理解できるものの、ライブというのは受け手の事情で大きく印象や感想を変えてしまうもの。
体調が万全であればきっとこのAtoms For Peaceのライブも、もっと感動してのちの記憶にも残ったようにも思いますが、正直今ではあまり印象に残っていません。
次はいよいよマッシヴ・アタック。
「俺の体調よ、治れ〜。」
とリアルに心の中で唱え、さらに荒療治的にビールも腹に流し込み、その時を待ちました。
体調不良を吹き飛ばしたマッシヴ・アタックのライブ
祈ろうとも呑もうとも体調は回復する事なく、その時を迎えました。
雨も落ち着いてはきていますが降り止むには至らずという、私にはだいぶアゲインストなシチュエーション。
ステージが始まると、いよいよ観れる大好きなバンドのライブに大興奮はするものの、体調の悪さが邪魔をします。
5thアルバム「ヘリゴランド」リリース直後のタイミングでしたが、ここからの演奏は少なく、セットリストはフェスらしく代表曲をしっかりと組み込んだ嬉しい内容。
何年も聴き込んできた楽曲が主体という事もあってか、ライブも中盤に差し掛かり「Teardrop」が始まる頃には自分が体調不良であることを完全に忘れてステージを食い入るように観ていました。
"忘れていた"のだと思っていたのですが、その後には"治った"とさえ感じるほどに不調は吹き飛び、ライブ後半はある種の覚醒状態で彼らのショーを楽しみ切れました。
大好きなものの、ライブの編成に関しての事前知識は無かったので、フィーチャリング・ボーカルの多い彼らの楽曲ですが、そのボーカルもしっかり帯同していた事は嬉しい悲鳴でした。
楽曲としては「Teardrop」や「Safe From Harm」、「Unfinished Sympathy」あたりがフェイバリットだったのですが、このライブで圧巻だったのはホレス・アンディのボーカル。
マッシヴ・アタックの楽曲だけでなく、ホレス・アンディの作品はレコードで聴いてきてはいましたが、この日のライブはそれまでの期待や印象を遥かに上回りました。
ボーカル含め、ステージ全編でとにかく音源の凄まじい再現度の高さが印象的だったのですが、淡々と歌うホレスの声からは熱量や声量という意味ではなく、"声質"として音源とは別次元の求心力がありました。
ライブ中、「あれ!?治った!」と感じたのはまさにホレスのボーカル中で、ライブ後に友人に合流した私は、「まさに神を見た!」と鼻息を荒くしすぎて立体起動しそうな勢いでした。笑
フェスが終了し、東京に戻るとやはり体調はすこぶる悪く、10年に1度くらいしか不調では病院に行かない私もよろよろと病院に向かいました。
熱を測ると39度近い体温、喉は腫れ上がっていたようで、
「なんでもっと早く病院に来なかったんですか!」
と先生にお咎めを受ける始末。
心の中で、
「山奥にいたから病院行けなかったんだよ。」
と思いつつも、それでもライブの間、それを吹き飛ばしたマッシヴ・アタックに一層心酔する体験になりました。
マッシヴ・アタックの中でも、特にホレスのボーカル曲を集中して聴き返す日々が始まり、今では1st『ブルーラインズ』収録の「Hymn of The Big Wheel 」がフェイバリット曲へとアップデートされる事にもなりました。
最後に(今年2020年には来日公演予定も)
長々書いてみた通り、思いがけぬきっかけで行く事になり、体調不良の中で観ることになったこの日のライブ。
きっとライブそのもの以外のそういった要素も加わった上での10年経った今でも残る強い印象ではあると思います。
ライブや音楽はテストのように正誤判定できるようなものではありません。
聴いた人がそれぞれ自由に好きになったり良し悪しを言い合えるから楽しいのです。
それでこそのアートや体験消費でしょうし、勝手にこちらが要素を付け加えて楽しめる所が飽きずに楽しめるのライブの魅力だとも思います。
そんな訳で、これまでのライブ体験を振り返る時にいつも真っ先に思いつく、2010年フジロックでのマッシヴ・アタックのライブのお話でした。
そして、今年2020年10月には来日公演予定もアナウンスされています。
【Massive Attack(マッシヴ・アタック)来日公演】
2020年10月8日、9日:東京国際フォーラムA
2020年10月6日:グランキューブ大阪
公演情報サイト:https://www.somewhereimf.com/
アートワークには大きく『MEZZANINE(メザニーン)』と書かれているので、いわゆる再現ライブなのか!?と発表時に調べたのですが、特にそう明記はされていませんでした。(が、流石にそうでしょうけれど。)
今年一番行きたいと思っていたライブではあるのですが、2月にこの発表がされた以降、チケット発売日を含めた追加情報は出ていません。(私の見落としが無ければ。。)
10月ではまだ難しいとは思いますが、もし無事開催される暁には私も行こうと思いますので、同じ気持ちの方は会場で一緒に熱狂しましょう。
ではまた◎
※今後新たにスタートしていきたい企画やサービス、情報もあるので、以下のLINE@やTwitterのフォローもお願いします◎
TINY RECORDS LINE@:https://lin.ee/KiuyI9
個人Twitter:https://twitter.com/tinyrecords