TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

コロナ禍でのライブハウス体験で感じた参加者の意識のズレと所感

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3月27日を最後に、ライブハウスなどの酒類の提供を行う飲食店への入店はおろか、電車にさえ乗る事なく7月までの3ヶ月間、いわゆるステイホームやテレワークをして過ごしていました。(厳密には5月に1回だけバンドTシャツ古着の買取で電車乗りましたが。)

 

コロナショックによる非常事態宣言が明け、最初に足を運んだライブハウスは7月4日、渋谷O-EASTでの現場仕事でした。

 

その後、7月23日に下北沢でバンドTシャツの買取を兼ねた簡易的なDJイベント主催を、昨日8月2日には恵比寿でDJをしてきました。

この2つについては、仕事ではなく完全にプライベート。いわば娯楽・趣味になります。

 

私は20年に渡って音楽に関する様々な仕事をしてきましたが、それ以前から現在までずっと熱心な音楽ファンです。

 

しかし、このブログでは特に前置きがない場合は、かなりドライに仕事としての視点で書いてきたと思います。(そういう趣旨のブログなので)

その為、これまでこのブログで書いてきたビジネス視点な内容からすると、ライブハウスやDJバーにおける観客を入れたイベントに参加していることに違和感を感じる方もいるかもしれません。

なので、娯楽・趣味と前置きをしました。

 

「行きたい。」

「やりたい。」

という感情のみを優先した行動という事です。

 

結果、自分の想定や想像とは異なる、「読み違えていたかも。」という面がありました。

 

そんな話を中心に、約4ヶ月ぶりに2つのライブハウス(いずれもDJイベントです)に足を運んで感じた事柄について、今回はごく私的な感想を書いていきたいと思います。

 

 

参加者それぞれで異なるコロナへの意識の違い

ガイドラインに沿った十分な感染拡大対策の実施

いずれの会場でも入店時には検温、消毒を出演者含む全ての来場者に実施し、入り口のドアを解放するなどの換気対策を行なっていました。もちろんマスクの着用も。

加えて、昨日の恵比寿でのイベントについては、新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」のダウンロードや氏名・住所・電話番号・メールアドレスの事前送付or記入も来場者に義務付けていました。

 

この時点で、店舗としてすべきガイドラインに沿った指定の感染拡大対策はクリアしています。

 

"クリア"している訳ですから、私の認識や考えとしては、これ以上の条件を会場側に求めるべきでは無いと思っています。

 

小さなコミュニティでさえ起こる意識のズレ

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※バンドT買取イベントでの著者近影。苦笑

 

今回私が足を運んだ2つの店舗はいずれもメインフロアであるライブフロアは閉鎖し、バーエリアのみでの営業でした。

 

こういった小規模な会場に出入りをする人というのは、特にDJイベントの場合、約14,000,000人の東京都民といえども、「世間は狭いなぁ。」と毎度痛感させられるほどに、かなり狭い世界です。

 

ですから、私はこう思っていました。

「今ライブハウスでDJをしたりそれに来場する人は、私と同じくライブハウスを含めた飲食店への対応や風当たりについて、過剰だと感じている人なのだろうな。」

と。

 

「読み違えていたかも。」

というのはこの点になります。

 

7月23日は私は主催者という形、8月2日は出演者という形で参加をさせていただきました。

前者は会場スタッフから「この日が空いているのですがやりませんか?」、後者は外部の主催者から「店舗支援としてDJ参加しませんか?」というお声がけをいただき、いずれも長年親しくお付き合いしている方からのお声がけというのもあり、喜んでお引き受けさせていただきました。

 

私は根っからの出不精な上、仕事も完全在宅が兼ねてからの目標で、非常事態宣言下でのステイホームについては不都合やストレスもほとんどなく、むしろ「家に居たいから出かけるの面倒だな。」という気持ちが強かったのが正直な所でした。(実際飲み会とかはかなり断っていましたし、、、。)

 

それでもお引き受けして重い腰をあげて家から出た大きな理由の一つは、経営的に厳しいであろうライブハウスのお役にほんの少しでも立てるのならという事。

もう一つが、友人・知人に久しぶりに会うのも良いな。という事でした。

 

話を戻します。

会場は必要とされる感染対策は取っていました。

いずれも狭い界隈の小規模な集まりだったので、なおのこと自分と同じような感情や考えの人だけが来場されるものだと予想もしていました。

 

言い換えれば、新型コロナウイルス感染やその影響を、適切に恐れた人だけが参加していると思っていたのです。

 

しかし、この会場内においてソーシャルディスタンスを過度に気にしたり、場内で人が手で触れるものが消毒されているか否かなどを気にする人が存在しました。

SNSでは「DJはミキサーを触るので手袋をした方が良いのでは?」という投稿まで見かけました。

 

これは少々想定外でした。

 

まず、「会場に潰れて欲しく無い。」と思っている人だけが集まると思っていたのですが、そこはそうだったと思います。

会場は指定の対策を実施するだけでもかなりの負担やコストなどの犠牲を払った上で、それでも現在営業をしています。

 

ですから、潰れて欲しく無いと思っている人が、さらに会場に負担をかける感染対策を求めるはずが無いと私は思い込んでいました。

 

ルール上は、これ以上会場は感染対策について負担を負う必要は無いはずです。

入店をして、「このドアノブは別の人も触った」とか「近づいたらダメだ」とか「ミキサーはみんなが触っているから消毒や手袋しろ」などを言うような方はこの時期に来場しないと思っていたのです。

 

「じゃあなんで来たの?」

とすら思ってしまったのが正直な気持ちです。

 

私はコロナショックで経済的なダメージを受けた身です。

その為、東京都民のうちおよそ0.000025%(計算間違えてたらすみません)の死者を出しているウイルスよりも、世の中の経済的な崩壊を恐れています。

ウイルスを無視している訳ではなく、そういう恐れ方をしているという事です。

 

現在コロナに関する対立構造は、蓋を開けてみれば"経済的なダメージを受けた人VS受けていない人"だろうと感じています。

 

会社員などの被用者は、仮に会社的にはダメージを受けていても本人が月額で受ける報酬に変わりはない為、ゼロリスクを求めるのは仕方がないと思います。

 

しかし、音楽業界、特にライブハウスはフリーランスや小規模組織が多く、最もダメージも受けた業種です。

ゼロリスクなど一番聞きたくない業種であろうと思います。

 

人と人が会う時点でゼロリスクではないので、まさかゼロリスク派がライブハウスに来場するとは想定していませんでした。

 

良かれと思った事が会場を苦しめる事も

もう少しだけ詳しく書かせてください。

 

そもそも、ライブハウスに限らず定義されている入場時の検温で37.5度以上の方は不可という制限。

コロナは感染しても発症しない事がほとんどです。

そういった意味で言うと、感染防止としては意味を成していません。

 

ですから、来場する=感染リスクはあります。

なので、"絶対に感染したくない人"は来るべきではないと思っています。

政府から出されたものがそういうルールなのですから。。。

 

ルールを守った上であれば、仮にライブハウスで感染者が出たとしても、ライブハウスに非は無いはずです。もしどこかに非があるとすれば、感染者が来場できるルールを作った側です。

 

消毒についても伝えたい持論はあります。

入店する人全てが手のアルコール消毒を行なっています。

その後に触れた箇所を都度消毒をしたり、手袋をする必要は一体どこにあるのでしょう?

手のひらからウイルスが滲み出てくるとでも言うのでしょうか。。。?

 

仮に未消毒な状態で手で触れたとしても、目や鼻、口などの粘膜部分に触れなければ済む話なので、ご自身が顔を触らないようにすれば良いはずです。

 

「いや、飲み物飲むときはマスクしてないから飛沫による感染もあるし。」

という事であれば、それこそあなたの安全の為に来場されないことをお勧めしたいです。

多く言われているように、居酒屋などの他の飲食店と比べてもライブハウスはよほど対策を講じていますので、そこまで気にされる方は非接触のゼロリスクを貫かれる方が懸命です。

 

ライブハウスを守りたいという気持ちで来場や出演されている事は理解していますし、尊いとさえ思いますが、会場の気持ちへの配慮やコロナの認識が不十分だと逆に会場を傷付ける事もあります。

 

これ以上ライブ会場(特に小規模会場)に制限を増やさないであげてください。

応援してくれている仲間だと思っていた人にまで、「対策もっとこうしろよ。」と言われるの、お店の人達はとても辛いと思いますよ。。。

 

最後に

今回は音楽業界で働くビジネス論云々という立ち位置ではなく、ライブハウス好きな八木橋一寛という個人のごく私的な心境を書かせていただきました。

 

加えて、自分をいちユーザーとしてみた場合、その思考や思想がやや特殊である自覚はあるので、そこそこの割合で賛同を得られないとも思ってはいます。

 

特に、このコロナについての思考や行動は、置かれた境遇や得ている情報源などで大きく異なるので、満場一致で賛同を得る事は不可能でしょう。

 

それでも今回伝えたかったのは、

「ライブハウスにこれ以上制限をかけるような発言を、せめて出演者や来場者はしないで欲しい。」

という事でした。

 

「この会場で感染者を出さないように!」と考えての優しさとは思いますが、出る出ないはロシアンルーレットのような物です。

出たとしてもその店が悪いと責めたてるような人は、そもそも一生ライブハウスに来ない人です。

 

お店側もそんな運任せなリスクや批判の可能性は覚悟の上で営業していると思いますので、出演や来場するからには極力普通に楽しんでくれればそれが一番会場の力になると思いますよ。 

 

ちなみに私は両日そんな風に過ごし、どちらも普通にめちゃくちゃ楽しかったです◎

ただし、想定外のゼロリスク派による楽しみきってはいけないムードを感じ、そこは強烈なストレスではありました。

楽しむ事をサービスにしている場所でストレスがかかるなんてサービスの崩壊になりますから、それを止めたいと思ったというお話でした。

 

ではまた◎ 

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