TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

コロナ禍におけるライブハウスの生の声

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急事態宣言も明け、完全とまではいかないまでも、一定の平穏を取り戻したようにも思えます。

 

しかし、真っ先にビジネスや職業としてその立場を失ったライブハウスは、ほぼ状況の好転をみてはいません。

 

私個人的な考えとしては、だからと言って

「状況が好転していないので、誰か責任とってなんとかしてください。」

とは思ってはいません。

 

ただ、正しく認識して欲しいとは思っています。

 

その気持ちとは裏腹に、状況は多くの人に伝わっていないと感じていました。

 

「緊急事態宣言も明けて仕事も再開したし、(ライブハウス含め)みんなもう大丈夫だよね!」

そんな空気感を強く感じています。

 

そもそも業種によってはコロナ禍でも経営、収入的な影響を受けていなかったり、むしろ伸びているケースもあるでしょう。

経営者は難しいままだと思っていても、雇用されている側にその危機感が伝わっていない事も多くありそうです。

 

音楽業界という広義には同業種であっても、影響の受け方や回復度合いにも差があります。

音楽関係の友人・知人とやり取りをしていても、業種や立場により、深刻度の差や認識の違いは感じます。

 

「ライブハウスやクラブは悪」、「生きるために不必要だから眼中にない」

という方も広く世間を見渡せば沢山いるでしょうし、そういった方には伝わらずとも、せめて音楽好きくらいには正しく認識をしてもらいたいと考えていました。

 

ご自身は、「影響を受けていない」、「受けていたけど回復した」とはいえ、他者もそうだとは限らないという事を、せめて音楽を好きでいる人くらいには伝えられないかという意図で、媒体を通じてひとつの記事を提案・作成しました。

 

音楽&カルチャーサイト「ミーティア」上で、ライブハウスへのQ&Aを行い、【ライブハウスが今、思うこと】という形で記事としてまとめました。

記事URL:https://meetia.net/music/livehouse2020/

 

現状についてはもちろん、その中での現在の取り組みも知って欲しい事のひとつでしたし、働き始めた動機やモチベーションも伝わって欲しい事としてありました。

 

ご協力をいただいたのは4名のライブハウス関係者。

 

下北沢Flowers Loftの中村麻衣子(きなこ)さん、下北沢BASEMENTBAR/下北沢THREE の服部健司さん、吉祥寺NEPO/大宮hisomineの森大地さん、大阪SOCORE FACTORYの矢田貝年朗さんにそれぞれ回答をいただきました。

 

回答いただいた内容については、上記の記事をご覧いただければと思いますが、みなさん長い間様々な形でお付き合いさせていただいている方々です。

 

Flowers Loftは今年2月オープンの新しいお店で、オープン間も無くコロナにより通常営業ができなくなっています。

駅からも近く、バーエリアがセパレートされていて居心地が良いので、イベント利用というよりも普通に飲みに何度か行かせてもらっていました。

お話を聞いた中村さんは、過去働いていたライブハウスの同僚でもあり、その後もそれぞれの仕事上でも関わる機会も多く、現在は同店舗の副店長という事でオープン直後に起こったこの状況を伺うべきお店とスタッフだと考えました。

 

下北沢BASEMENTBAR/下北沢THREEは長く下北沢で営業を続けている東京のバンドマンやライブ好きなら一度は足を運んだことがあるであろう老舗。

長く営業を続けている店舗のお話こそ伺う必要性を感じましたし、私自身、近年は会場としてお借りする機会はあまりなかったのですが、20年ほど前の若い頃はDJパーティーを何度もやらせていただいていた思い出深い会場でもあります。

お話を聞いた服部健司さんは、過去に彼が所属していたTHEラブ人間というバンドに何度か自分のイベントに出演いただいていて、その頃に知り合い、その後彼が務めていた渋谷LUSHで良く会うようになりました。

バンドマンとライブハウス店員の両方の目線も持つであろう彼にもお話を聞きたいと思ったわけです。

 

吉祥寺NEPO/大宮hisomineの森さんは両店舗のオーナーで、店長やスタッフとはまた異なる視点や考えを持たれているかとも思いお話を伺いました。

ミュージシャンとしても長く活動されていて、ライブハウスの他にもカフェやサンドウィッチ屋さん、音楽レーベルの経営などもされていて、その全てに強い理念を感じる同年代の方の中でも特にリスペクトしている方だったので、現状を伺いつつも知見を伺う相手としても外せない存在です。

 

大阪SOCORE FACTORYは、過去何度か関わっていたアーティストの大阪公演などで使用させていただき、東京で言うと恵比寿Baticaや下北沢THREEのようなアングラかつ特色のはっきりとした発信を行っており、関西でも好きなライブハウスのひとつです。

お話を聞いた矢田貝さんは、 Liaroid Cinemaというバンドのフロントマンでもあり、過去に私が運営していた音楽メディアでインタビューをさせていただいた事をきっかけに、今でも交流を持たせてもらっています。

東京の状況は肌感覚からも伝わってくる情報は多いですが、大阪の状況を伺う上で、意思を強く感じる営業をされているSOCORE FACTORYさんからお話を聞きたいと思いました。

 

今回の記事は、公開したのは7月10日でしたが、相談を開始したのは緊急事態宣言下のタイミングだった事もあり、メールでもQ&A形式になっています。

 

どうしてもライブ会場の話となると、今は先の見えにくいネガティブな側面が顔を出しやすくなってしまいますが、知って欲しいことはそんな事ではありません。

 

今回の記事作成にあたり、この4名の他にも複数の方にご相談をしましたが、了承を得る事ができませんでした。 

理由は一言で言えば「まだ今後の見通しが見えずなんとも言えないので。」といったものです。

この事からも”想像以上”の切迫感を改めて感じさせられました。

 

いわゆる3密の最たる場所として名指しをされてしまったライブハウスには、そもそもなんの落ち度もないですし、そんな中、最善の対策を尽くしていてもこれまで通りの営業を行うにはまだまだ時間がかかりそうです。

 

積極的な興味がないと知る機会の少ない、ライブハウスという職業を再認識してもらい、批判をするにしろその場を楽しむにしろ、そこには人間の体温がある事だけでも知ってもらった上でアクションして欲しいと願います。

 

ではまた◎ 

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