TINY MUSIC LIFE

音楽を仕事にする方法やビジネス論、考察や小ネタなどをお届けする音楽情報ワンパーソンメディア。by TINY RECORDS八木橋一寛

女性アイドルの歴史。ソロ〜グループへの移り変わり

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外ロックのシーン変遷的な物をこのブログで書いていたら、「そういえば。」と急に気になってしまったので、自分なりに少しリサーチしてみました。

 

アイドル・シーンの変遷を。 

 

最初にお伝えしておきたいのですが、アイドルそのものについては全くの門外漢なので、間違いなどもあるかもしれませんが、温かい目で見守ってやってください。。。

 

”自分なりに少しリサーチした”情報と、私は1978年生まれなので80年代後半くらいからは大きな規模の人気アイドルは見聞きはしているので、ベースの知識としてはそれを元に進めていきます。

 

「そういえば、現場仕事や打ち合わせでアイドルのことを呼称するときは、無意識に”グループ”って呼んでいるけど、自分が子供の頃はアイドルといえばソロだったよな?」

と思った事もあり、その辺りだけでもクリアに出来ればなと。

 

 

アイドルとは

偶像、崇拝される人やモノ、熱狂的なファンをもつ人を意味する言葉で、日本では1970年代前半に放送がスタートした人気テレビ番組「スター誕生!」をきっかけに、アイドルという呼称が定着化したとされているそうです。

 

年代別 主な女性アイドル

1970年代

【70年代初頭】

  • 小柳ルミ子
  • 南沙織
  • 天地真理

 

【1972年】

  • キャンディーズ、ピンクレディーがデビュー。

 

【1973年】

花の中3トリオと呼ばれる

  • 山口百恵
  • 桜田淳子
  • 森昌子

がデビュー。

 

1980年代

【1980年】

  • 松田聖子デビュー。(同年に山口百恵が引退)


【1982年】

「花の82年組」と呼ばれた

  • 中森明菜
  • 小泉今日子
  • 石川秀美
  • 堀ちえみ
  • 早見優

らがデビューするアイドル黄金期となる。

 

【1985年】

  • 「夕焼けニャンニャン」スタートし、おニャン子クラブが誕生。


【80
年代後半】

  • 工藤静香
  • 中山美穂
  • 南野陽子
  • 浅香唯

の4人が「アイドル四天王」と呼ばれる。

  • 酒井法子
  • 森高千里
  • Wink

らの台頭もあるが、80年代後半はアイドル低迷期と呼ばれる事も。

 

1990年代

【1993年】

  •  TRFがデビュー

TRFのヒット以降、安室奈美恵や華原朋美、globe、篠原涼子、鈴木亜美ら小室ファミリーと呼ばれるアーティストが一大ブームに。

 

【1997年】

  • テレビ番組「ASAYAN」から、モーニング娘。がデビュー。

 

【1998年】

  • 浜崎あゆみが歌手デビュー

 

2000年代

【2000年代前半】

  • 小倉優子、若槻千夏、ほしのあき等、バラドルが台頭

 

【2005年】

  • AKB48が「会いに行けるアイドル」をコンセプトに劇場デビュー。

 

【2007年】

  • Perfumeが「ポリリズム」でブレイク。

 

【2000年代後半】

  • SKE48、SDN48がデビュー。

 

2010年代

【2010年】

  • フジテレビ主催のアイドルフェス「TIF」が初開催。

 

【2011年】

  • 「アイドルとメタルの融合」をテーマにBABYMETALがデビュー。
  • AKB48の「公式ライバル」として、乃木坂46がデビュー。

 

【2016年】

  • 欅坂46がデビュー

 

【2010年代後半】

  • でんぱ組.incやBiSHがブレイク。

 

ソロからグループへの主流の変化 

人間的な素を見せたおニャン子クラブ

これは自分がテレビやメディアを通じてアイドルを見ていた実感として、80年代の小泉今日子や中森明菜あたりまでは、ブラウン管越しで観るアイドルは、決して身近にはいないような美貌やカリスマを備えたまさにスターという印象でした。

 

それは、アイドルという言葉が意味する”偶像”という言葉がそのまま当てはまるものであったように思います。

 

この偶像を崩しにかかったのが、おニャン子クラブであるという事は、この記事を書くにあたり調べた中にも多く書かれていた論考で、当時私はまだ小学生でしたが、確かにそんな印象は感じます。

 

それまでのアイドルは歌番組でしかあまり目にする事はなく、バラエティ番組のような素を見せるような場面を排除している印象でしたが、「夕焼けニャンニャン」では逆に素を見せる事で人気を博していました。

 

グループコンセプトとしても、おニャン子クラブは身近である事を意識的にアピールしていたように感じます。

 

とはいえ、それでもまだ華やかな芸能界の住人というスター性は強く感じていました。

 

モーニング娘。が見せたストーリーの共有

おニャン子クラブの解散から10年後の1997年に、同じくテレビ番組企画からモーニング娘。が誕生します。

 

オーディションからメンバー選抜までの過程、メンバーの素の人間性を視聴者に見せてしまうという手法はおニャン子クラブ同様でしたが、細かにレッスン風景やセールスプロモーション過程を見せる事で、より生々しいメンバーの人間像を感じました。

 

この事からは、おニャン子クラブとモーニング娘。のエポックメイキングな点は、テレビが圧倒的メディアであった時代に、アイドルというテレビの中のスターと一般人が同じ人間である事を明確に見せた事なのかと想像ができます。

 

”一般人からスターになるまでの努力の過程”というサクセス・ストーリーを視聴者と共有するという新しいフックでもあり、ソロではなくグループにする事でそのストーリー性をより高めています。

 

また、グループにする事で、多様な好みを持つ視聴者にも「この子は好き」と思わせる間口も広げていると思われます。

 

おニャン子クラブやモーニング娘。の手法を最大化したAKB48

おニャン子クラブのデビューからちょうど20年後、2005年に登場したAKB48は、この特徴を最大化したように感じます。

 

モーニング娘。は印象としては非常に身近なものに映りましたが、それでも実際に生で観るとなれば大きな会場で行われるコンサートで遠くから眺める事しかできませんし、手の届かないスター性はまだまだ残っていたと思います。

 

AKB48劇場という100名強ほどの小規模な会場をライブ主戦場とした事、ファンサービスとして握手会に特化した事で、物理的なファンとの距離を大幅に縮めました。

 

テレビという巨大メディアを通じて行っていたマスへのアピールから、小規模な会場で特定層をターゲットにする事でコアファンをまず獲得するというのはある種バンドマン的な手法に思えます。

 

AKB劇場の初公演は7名のお客さんしかいなかったそうで、セックス・ピストルズのマンチェスターでの初ライブにいた42人の観客がのちのシーンを作っていったエピソードも彷彿とさせていい話です。

 

これまでのある種不特定多数の大きな大衆に向けて訴求していたアイドルの間口を逆に狭める事でコアファンを抱え、その小さく閉鎖的なシーンで高めた熱量を伝染させて拡大していくという手法は、バンドマンでは当たり前でしたがアイドルにはあまり見られませんでした。

 

ビジネスモデルとしても、総選挙や握手会という形でグループ内でのメンバー序列を明らかにする事で、メンバーだけでなくそれぞれのファンにも競争意識を芽生えさせ、金銭消費でそれを応援させた事は革新的手法のように思えます。

 

小規模なライブ現場からスターダムへ駆け上がったAKB48の成功モデルにより、アイドルを志望する女性の裾野の広がりもあったとも思えますし、音楽業界内でもビジネスチャンスとしての認識は高まったと考えれられます。

 

多様化するアイドル・シーン

AKB48やその派生グループを筆頭に、大小様々なアイドルグループの台頭が始まります。

 

大規模なアイドルフェスも多数生まれ、各地のライブハウスのスケジュールを見るとアイドルイベントの占める割合は驚くほどに高いです。

 

近年ではその戦国時代とも言えるアイドル乱立状態から差別化を図るべく、コンセプトを特化させたグループも目立っています。

 

中でもBABYMETALやBiSHのブレイク以降、ロック(バンド)サウンドを打ち出したグループがトレンドである印象ですし、全体的に単に女性としての可愛らしさを売りにしたものではなく、音楽性にウエイトを置いたグループが増えているとも感じます。

 

メンバーの子自身も、アイドルを入り口に音楽性を求めたアーティスト活動を目標にするケースも増えているようで、アイドルのスタッフさんなどと話をしていると、アイドルから非アイドルにシフトする事を視野にしているケースも多く、このシフトのタイミングや方法でそれぞれ試行錯誤しているとの事です。

どうもこの事を「アーティスト宣言」というみたいですね。

 

まとめ 

駆け足で書いてきましたが、ソロではなくグループが主流となる現在のアイドルシーンのルーツを視点に考えると、おニャン子クラブ、モーニング娘。、AKB48がテストに出そうな感じがしますね。 

 

アイドルが多様化する中では、BABYMETALやでんぱ組.incによる大きな影響があるように思えます。

 

それ以前のソロ全盛時代で言えば、山口百恵、松田聖子はおそらくテストに出るのでしょう。

 

手の届かないスターから身近な存在にシフトし、ストーリーを共有して距離を縮める事で強固なコミュニティビジネスを展開している点は、近年のクラウドファンディングやオンラインサロンにも似た応援・共感構造を感じます。

 

今回はかなりの大筋のみだったのですが、多様化する現在の細かなシーンの分布のようなものも機会があれば調べてみたいなと思います。

めちゃくちゃ詳しい人が周りにいれば、その人にインタビューとかできると話が早そうなのですが、なかなか見つからず。。。

 

ではまた◎


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