音楽ファンの方は既にご覧になった方も多いかと思いますが、最高でしたね。
THE FLAMING LIPS(フレーミング・リップス)によるコロナ対策として巨大バルーンを使ったライブ映像や写真のお話です。
C)荒木飛呂彦/ジョジョの奇妙な冒険より引用
同バンドの熱烈なファンな私としてはまさにこんな気分でした。
なんなら涙が出るくらいに痛快で感動したので、今回はこのバルーン隔離ライブについてや、彼らのこれまでのライブ演出について書いていこうと思います。
公開されたバルーン隔離ライブ映像
まずは件のライブ映像です。
まだご覧になっていない方は、是非こちらをご覧ください。
もしかしたら、
「いやいや、ジョーク過ぎでしょ。苦笑」
と感じた方もいるかもしれません。
ですが、私はモーレツに感動しました。
なぜなら、この演出はコロナショック下だから無理やり思いついた事をやっている訳ではなく、この人達、ずっとこういう人なのです。
THE FLAMING LIPS(フレーミング・リップス)について
1983年より活動を続けるアメリカのオルタナティブ・ロックバンド。
1993年にメジャーデビューシングル「She Don't Use Jelly」をリリース(名曲!)し、以降人気を不動の物とする。
サウンドは、サイケデリックであったりノイズ的であったりと実験的な側面と同時に、親しみやすいメロディラインやカラフルな音色でポップ・ミュージック然とした両面を持つことが特徴と言えます。
また、ドクロ型の大きなグミキャンディの中にUSBを埋め込み、食べないとUSBが取り出せないという作品や、CDを4枚同時再生すると1つの楽曲になるというアルバムをリリースしたりもしています。
のちにCORNELIUS(コーネリアス)が「Star Fruits Surf Rider」で12inchレコード2枚同時再生というシングルを出していましたが、こちらはレコードなのでDJ機材を持っている人であれば容易に聴けますし、1枚だけで聴いても曲として成立していました。
ザ・フレーミング・リップスの方は、CDなのでCDプレイヤーを4台持っている人などほとんどいませんし、1枚で聴いてもなんのことやらだったあたりも、ぶっ飛んでいて愛おしいです。笑
カラフルでエンターテインメント性の高いライブ演出でも知られていて、幾度も来日公演やフェスティバルへ出演をしています。
サウンド、ビジュアル、演出全てに独自性を貫いた活動を続けている事から、アーティストからのリスペクトの対象に挙げられる事も多く、アーティスト・オブ・アーティスト的な立ち位置にいると言えるバンドです。
独創的なライブ演出
1983年結成、1993年メジャーデビューなので、結成からは37年、ブレイクしてからでも27年というすっかりベテラン・バンドです。
ですが、ツアーなどの単独ライブなどは日本においても今でもしっかりとした動員力がありますし、フェス出演時の集客力も高い水準を保っています。
楽曲や演奏の素晴らしさは勿論、先にも書いたライブ演出にその理由はあります。
まず、フロントマンであるウェイン・コイン。
基本的には何かしら装着物が着いていたり、何かに乗っていがちです。笑
C) Photo by GETTY
わかりやすく例えるとやはりピエール瀧テイストになるのでしょうかね、、、?
ツノの付いた馬に乗っていますが、
「ユニコーンなら、羽は自分にではなく馬に付けるべきでは?」
とツッコミたくなります。笑
話逸れますが、BECKことベック・ハンセンと、このウェイン・コインが、”Myなりたい男2トップ”に長年君臨しています。
あまり賛同は得られないと思いますが、ダンディズムとユーモアが同居する感じが高田純次をいつも連想してしまいます。笑
一番最近私がライブを観た時は、3、4mの高さの巨大なお立ち台をステージに設営してその上から歌っていました。
また、観客側へ向けた演出も多く、レーザーや紙吹雪、スダレみたいなやつ(名前が分かりません苦笑)、そして、バルーン。
C) Photo By Teppei Kishida
水曜日のカンパネラもバルーンの中に入る演出をしていますが、勿論このウェインのパフォーマンスがモデルになります。
このバルーンによる演出は、中に入るVer.もあれば、普通の風船サイズのものを客席に降らせるVer.、1mくらいの大きなバルーンの時もあります。
前職の現場で、1m以上ある大きなバルーンをスタッフみんなで客席に投げ続けたのは良い思い出です。
ここに挙げたのはほんの一例ですが、ザ・フレーミング・リップはこのような独創的で芸術性&エンターテインメント性の高いライブ演出を長年続けています。
コロナ禍を逆手に取ったライブ演出
話を件のライブ映像に戻します。
あのライブ映像はアメリカのTV番組「The Late Show」でのもので、観客は入れていますが、ライブ興行として行われたものではありません。
「感動した。」
と書きましたが、それにはきっといくつかの理由や要素があります。
一つは、そもそもザ・フレーミング・リップスのファンである事。
二つめは、ここまで書いたように、まず彼らがこれまでのバルーンを使ったりとライブ演出にこだわりのあるバンドである事をすでに認識していた事。
もっと言えば、昨年ウェインはバルーンの中に入って結婚式を行なっているほどの筋金入りです。笑
三つめに、コロナショックにより、直接的な打撃を受けている当事者である事。
四つめに、このライブ演出は「こうすればライブできるよ。」という意図ではなく、単純に私たちを楽しませようとするエンタメ的なパフォーマンスであると感じた事。
大きくこの四つがあったから感動したのだと思います。
確かに演奏者も観客も閉鎖されたバルーンに入れば感染しないでしょうし、ライブができるかもしれません。
ですが、
「そうか!この方法なら観客入れてライブが出来る!」
とは私は思いませんし、彼らも思っていないでしょう。
急にどこかのアーティストが同じ事をしても、それこそ最初に書いたように「何のジョークだよ、、、苦笑」とほとんどの人は感じるでしょう。
コストだって掛かりますし、キャパだって結局バルーンの直径で結構なソーシャルディスタンスになるため、相当潰す事になります。
テレビ番組というチケット収入をあげる必要の無い場だから出来る事でしょうし(クライアントがいれば出来きますけども)、その事からも彼らが”今度のライブの形を提案した”訳ではなく、ショーとして行なった事が裏付けられます。
(まあ、そこまで考えなくても、パッと見で分かりますけどね。笑)
シリアスに
「ここまで対策しないと、もうライブって出来ないんだ。。。」
のような映像を見せられても気が滅入るだけですが、彼らがいつも通りおなじみの巨大バルーンを”観客にも使う”というひと工夫で、率直に”楽しいライブ映像”にして届けてくれているのが良いのです。
この状況下で重苦しいメッセージ抜きで、無理なく出来る範囲で楽しませようというスタンスを感じたからこそ、
「コロナ禍で大変だと思うけど、みんな楽しくやってる?」
そんなメッセージのように感じられて感動したのかなぁと思いました。
まあ彼らの事なので、あのバルーンで観客入れたツアーとかもやりかねないですけどね。笑
ではまた◎